『蒼海』7号掲載6句
掛稲の列見晴るかす小海線
信濃路や軸逞しき榎茸
ほの温きおやき頬ばる秋の暮
校正の眼の奥熱し曼殊沙華
まちぼうけ喰ひしごとくに帰り花
決心は固し紺地の日記買ふ
南波志稲
『蒼海』には毎回10句投句しているのですが、どうも6句掲載が定位置になっていていかんなぁと思います…が、落とされた理由は投句から半年近く経ってみるとなんとなくわかるもので、精進せねばと思います。
この前半の句は昨年10月のはじめごろに(あの猛烈な巨大台風の災害の直前です)、長野在住の元所属欄の先輩歌人を訪ねた時のものです。新幹線を利用すれば早いのですが、せっかくなのでわざわざ遠回りして小海線に乗ったのでした。
軽井沢では話題のスーパーツルヤに連れていってもらい、信州の立派な茸やお野菜に驚き、PB商品の数々を買い込んで散財したり、上田の病院最上階のレストランで食事したのも良い思い出…それだけにあの台風災害の被害には胸が痛みました。
この春先からは新型コロナのあれやこれやで身の回りのいろいろなことが一気に変わってしまい、昨年のこともずいぶん昔のような気がします。でもこうして振り返ってみると、どんな暮らしを自分が望んでいるのかあの頃から真剣に考え始めていたことが、現在につながっているのだろうなと改めて思います。
*ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。