アメリカ大使館
さて、ここからは日本にいながら娘のアメリカパスポートを手に入れるべく動き始める。
当日の夜は心も身体も疲れていたがやっぱりのうのうと眠りにつけるわけがなかった。空港での旦那の寂しそうな顔を思い出すと、一日でも早くアメリカに帰らねば、もたもたしていられないぞという思いが頭の中をぐるぐるする。あぁ今回のミステイクはかなりキテるな、焦ってるなぁ自分と客観的に感じた。何か出来ることあるんじゃないかな、大使館のウェブサイトを見てみる。読んでみると兎にも角にも予約をしないことには入館すら出来ないようなので、まずは予約をすることにした。普通の予約をしようとすると一週間先まで埋まっているが、エマージェンシー枠だと翌日から予約可能とのこと。エマージェンシーがどんなシチュエーションを指すのか分からないなと思いながらも、一日も早く解決したかったので一か八か、その枠で予約希望を出してみた。ウェブサイトは基本的にどのページも日本語、英語どちらでも読めるよう言語設定が可能だが、この予約希望やエマージェンシー枠希望の理由を説明する欄なんかはすべて英語のみでの記入だった。なんとか伝えたいことを伝えられるくらいの英語力はあって良かったと、安堵と共に少し自信がついた気がする。翌日しばらくすると返事が来て、エマージェンシー枠で受け付けるとのこと。ホッ。良かった。実は夜な夜な、あれも書いておいた方が良かっただろうか、これも伝えるべきだったかな、却下されたらどうしようなんてモヤモヤしていたのでまた夜が来る前にこうして返事をもらえて良かった。
旦那も同じように、どんな書類が必要かなどすぐに調べてくれていてアメリカに着いた翌日から動いてくれていた。時差ボケも酷いだろうに、本当にありがたい。旦那の書類関係に強いところ、面倒くさがらずテキパキとやってくれるところには頭が上がらない。結婚してグリーンカードの申請をする時にも、山ほどの書類をこなしてくれた。書類という書類が大嫌い(重要であればあるほどやる気がなくなる)な私には、本当に有難い存在だ。この恩を忘れまいと思う。人には向き不向きがあるんだから、私の書類嫌いと同じように彼の不向きなこと(服を床に脱ぎ散らかし放置、テーブルを拭くということはカスを床に落とすことだと思っている、ティッシュをポッケに入れたまま洗濯機に入れる、etc)には目を瞑ろう、やんや言わないようにしよう、感謝をするといつも同時にこんなことを思う。でも忘れて、またやんややんやしてしまう。2025年はもっと良いところに目を向けよう。少し話がずれたな。
山ほどの書類を数日のうちに仕上げ(しかもただ記入するだけでなく役所に行ってハンコを押してもらわなければならない書類なんかもあるのに…鬼のスピードだ…)、一番早く着くレターパックで送ってくれた。私たちはその間、カメラのキタムラに証明写真を撮りに行ったり手元にある書類のコピーをしたりと出来ることをしてレターパックの到着を待った。
ここで余談。今回の件を旦那が同僚に話していると、その方の知り合いにsenator(上院議員…??)がいるから繋いであげるとのこと。その方のおかげで??なのか、予約日前日にアメリカ大使館から直々に電話があり、旦那様からお聞きしています、今回は大変でしたね。とお気遣いの言葉に加え書類が全て揃っているかの確認や小さいお子様お連れなので予約時間は気にせずゆっくりいらしてくださいと。なんだか必要以上に優しく丁寧で、知らない世界を見た気がした。
とはいえ私は一般人なので、予約していた時間に間に合うように念には念を置いて前泊をした。通勤ラッシュの電車に乗って、イヤイヤ期真っ只中の娘を私一人で連れて行くのはどう考えても白目案件だった為だ。母が調べてくれて良さそうだったので、国会議事堂前のアパホテルに泊まることにした。初アパ。ギラギラとした派手な装飾、あの有名な女社長さんが出版された本や顔写真がついたペットボトルの水が置いてある、ニヤついてしまった。こんなにも自分好きを世に主張しているのってちょっと面白い。屋上の露天風呂が最高だった、温泉は約二年ぶりだった
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1月16日(木)予約日当日。昨日娘が抱っこ紐で寝てくれているうちに、ホテルから大使館までの道のりを練習しておいたのでバッチリ。歩きたがるが歩かない娘をラグビーボールのように担ぎ、通勤で急ぐ人々の流れを止めまいと同じスピードで歩く私。あぁ練習しておいて良かったと心の底から思った、おろおろと迷おうもんなら後ろのサラリーマンに轢かれていただろう。14番出口から地上に出た時のひんやりした空気と、大使館までの緑いっぱいの道が気持ち良かった。
大使館入り口には手荷物検査の長蛇の列。娘大丈夫かな…と不安になりながらも列に。しばらく進むと腰の高さ程の看板が目に入る。なんと私が並んでいたのはビザの列で、パスポートの方にはまったく列がなかった。こんな看板があったなんて…悔やまれる。看板をもう少し高くするとか、声をかけながら誘導するとか何かしらないのか。看板の前でただ突っ立っていたそこの警察官を横目で睨みつけておいた。
手荷物検査を終え中に入り、パスポートの方はこちらという案内に沿って進む。用意した書類すべてを提出し、しばらくすると名前が呼ばれるので窓口へ。書類を一緒に確認し、同意のサインをしたりと簡単な作業だけだった。またsenatorパワーか!?と思ってしまうほど、担当の方がやたらに良い人で一時間ほど待ってもらえれば発行しますよと。本来エマージェンシーでも14時に交付が原則と書かれていて、子連れでどう時間潰そうと思っていたのでとても有難い。と同時に、世のsenatorやその家族、知り合いなんかはいつもこうやって特別扱いしてもらえるのかなぁなんてちょっと色々と考えてしまった。結局30分ほど経った頃にパスポートを受け取ることが出来た。あんなに緊張していたけど、あっさり終わった。窓口は日本人も外国人もいて、人によって日本語だったり英語だったりと言う感じだった。そういえば、ウェブサイトには大きな荷物で来ないでくださいとあったのでダイパーバッグをわざわざコインロッカーに預けてきたのに、子連れの人はみんな大きな荷物にベビーカーに、余裕で持ち込んでいた。いつかまた来ることがあるとすれば、これは覚えておきたい。
あ、あとホリエモンがビザを取りに来ていた。テレビで見たのなんて何年前が最後か分からないほどなのに、顔を見てパッと(ホリエモンだ…)と名前が出てきた。テレビってすごい。英語でMafiaと書かれたTシャツを着ていた、挑戦的である。
無事パスポートが取れたので、ユナイテッドに電話をしてフライトを取り直した。この間乗れなかったものはキャンセルになり全額返ってこないと思っていたが、ご好意で無料で取り直しをしてくれることになった。子連れにつき、さらなるご好意で課金対象の一番端の席を無料で取ってくれた。ユナイテッドにはsenatorの根回しはしていないので、これは本当のご好意だ。有難い。大きなミスをした時や予期せぬ事態が発生した時、いつも最終的には人の暖かさに救われる。Eチケットをメールにて受け取ったことを確認し、電話を切る。
ふぅぅうう。。
正直セントルイスに着くまで気は緩められないが、良かった、一通り終わった。旦那も一気に気が抜けたようで、久しぶりによく寝れたと。みんな頑張った!あとは出発の日を待ち、飛ぶだけ。残り4日の滞在、有難いことに週末も挟んでいるので両親と一緒に、最後まで有意義に過ごそう。