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Wi-Fiルーターがある建物の中を透視する技術が開発される
COBRAの2023年5月21日の記事「Situation Update and Cobra Conference in Japan」で紹介された記事「A breakthrough system can see through walls by using Wi-Fi routers」を翻訳しました。
※翻訳がお気に召しましたら、記事下部からサポートをお願い致します。
”さらに物理層は、携帯電話の基地局や携帯電話本体、Wi-Fiを使ったスカラー網で監視されて管理されます。”
元記事
| Jan 19, 2023 08:38 AM EST
高機能の監視カメラやLiDARなどを使わずに、建物の中の人の動きを検知するという技術は、これまで何年にも渡り開発が進められてきた。
2013年、マサチューセッツ工科大(MIT)は携帯電話の電波を使って、壁を透視する技術を発表。2018年にはMITがまたも、今度はWiFiを使って、別室にいる人間の動きを探知できると発表。そして現在、カーネギーメロン大学とウォータールー大学の研究チームが、WiFiを使った透視技術をさらに進化させたという。
透視の仕組み
カーネギーメロン大が発表した新たな技術とは、WiFiルーターの信号だけで、装置がある部屋の中にいる人間の体を3D立体模型として投影できるというものである。ロンドンの研究チームとフェイスブックのAIチームが共同開発した「DensePose」という技術がある。これは、写真などのイメージ画像に写った人体をピクセル解析し、3Dマッピングするシステムである。
本来は人体の骨格検知や、遠隔で姿勢を確認するための技術であった。これにルーターのWiFiの送受信信号を組み合わせ、人体をリアルタイムで映し出すというディープ・ニューラルネットワークを作り出したのである。
その仕組みはこうだ。低出力のWiFi信号を送信すると、それは壁を通り抜けて、部屋の中で反響する。すると、部屋の中にある物体は全て検出される。物体が静止していると信号は相殺されるが、動いていると信号は反射する。その反射を利用して、画像を生成するのだ。信号は壁もフェンスも、コンクリートも通過する。もちろん、範囲と精度は壁の種類による。
カーネギーメロン大は、「従来のRGBカメラよりもWiFiだけで人体マッピングが可能になる」と説明している。確かに、設備投資がWiFiだけということは、通常のカメラが直面する問題、例えば照明やレンズの曇りといった問題を克服したに等しい。プライバシー保護の観点でも改善につながると述べたのは、おそらく必要機器が要らずにこの技術を導入できるという理由からだろう。先進国ならば、今ではほとんどの家庭にWiFi機器が設置されているはずだ。つまり、高齢者の健康状態や家庭内での不審な行動の特定に利用できるかもしれない。
ウォータールー大学はこの技術を用いた透視ドローン「Wi-Peep」の開発を発表。家の中にWi-Fiがあれば、それを壁の外から検知できるというものだ。
ネットワークがパスワード保護されていても、ネットワークに接続しているスマートフォンなどから侵入できる。ドローンからの信号はスマート機器に送られ、自動的に応答される。その応答時間の測定により、Wi-Fi機器の位置を1メートルの範囲内にまで特定できる。
Wi-Peepの真価
この技術が注目されている真の理由とは、誰でもこういうものが作れてしまうという点だ。少しの専門知識があれば、大型家電店で売っているドローンなどで、実は誰でも簡単お手軽に同じものが作れてしまうのである。
もちろん、この技術を応用すれば人助けにも貢献できるだろう。例えばテロリスト対策、火災が起きた建物内にいる人の捜索や、救助活動など。しかし、プライバシーへの懸念は大きく、邪悪な意図で利用された時の被害の大きさは計り知れないのである。
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