スペースX社が初の有人宇宙船の打ち上げに成功!人類の宇宙新時代の幕開けとなるか
COBRAの6月2日の記事「Peace Meditation」で紹介された記事「With SpaceX's first astronaut launch, a new era of human spaceflight has dawned」を翻訳しました。
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"ポジティブなニュースとしては、スペースXが過去9年間で初の米国本土からの有人宇宙飛行として2名の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに送ることが出来たことです。
本件は、人類の宇宙旅行の新たなサイクルの開始とともに、ベール貫通の持続的かつポジティブな結果をもたらして、惑星地球の隔離状態解放に資します。
イーロン・マスクは、トラウマをベースとするプログラミングで支配されてきた本質的にはポジティブな人です。いま彼は時におかしなTwitter投稿をすることからわかるように、自由になることを望んでいます。" - COBRA
元記事
6月1日 By Mike Wall
以前にも、私たちは希望を持ったことがあった。
半世紀も前、NASAのアポロ計画の成功によって、人類はすぐに火星に到達するだろうと思っていた。
実際NASAは1980年代初頭までは火星有人探査に乗り出す計画を立てていたのだが、政治的、社会的な変化によってこの構想は立ち消えになってしまった。
1989年、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は、1990年末までに宇宙飛行士を月に送り直し、2010年には火星に人々を送り込むことを目的とした 「宇宙探査計画」 を発表した。
彼の息子であるジョージ・W・ブッシュ大統領もまた、有人月旅行の再開を目指して2004年にその輪郭が明らかにされたコンステレーションという計画を立てたが、いずれの計画も次の大統領が決まると間もなく打ち切りになってしまった。
2020年5月30日、宇宙飛行士2人を乗せたスペースX社のファルコン9ロケットがフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。二人はPad 39Aからクルードラゴン宇宙船に搭乗する予定。(画像提供:SpaceX)
これまでの経緯から、土曜日(5月30日)にはスペースX社が初の有人打ち上げを行ったという発表をしたものの、宇宙ファンはまだ少し懐疑的に思ってしまうのも当然だ。
だが、国際宇宙ステーション (ISS) へのDemo-2ミッションは、NASAが2011年にスペースシャトルを辞退して以来初となる軌道上での有人宇宙飛行の試みとして、いま大きな話題を呼んでいる。ドナルド・トランプ大統領は「商業宇宙産業は我々の未来だ」と言ったが、果たして今度こそは期待してもいいのだろうか?
実際、その可能性は十分にある。
実はDemo-2ミッションは一回限りの計画ではないのだ。これは、ISSへ有人ミッションを行うにあたって、スペースX社のクルードラゴン・カプセルとファルコン9ロケットの性能を試すための、いわば「テスト飛行」に過ぎない。同社は6回の有人飛行を実施するため、NASAとの間に26億ドルの契約を結んでいる。Demo-2の結果次第だが、最初の本ミッションは今年8月末を予定している。
スペースX社はこの分野で頑なに挑戦を続ける、非常に野心的な企業だ。これまでに沢山の成功を収めてきた。例えば、2012年からNASAのためにISSへ届ける貨物ロボット(無人)飛行を行った。この過去の経歴もあって、スペースX社が契約を履行できることや、他にも様々なミッションを地球周回軌道上で遂行する十分な能力があることには疑いの余地は無いと言える。
イーロン・マスクの会社はすでに、クルードラゴンを他の顧客とも契約している。例えば、地球周回軌道に商業宇宙ステーションを建設することを目指す、ヒューストンに本社を置くベンチャー企業アクシアム・スペースは、2021年後半を目標にISSへクルードラゴンによる打ち上げを行うことをすでに予約済みだ。
宇宙旅行会社スペース・アドベンチャーズ社は、同時期にこのカプセルを利用してISSのはるか上空の地球周回軌道へと乗客を運ぶ旅行計画を立てている。
ボーイング社もスペースX社と同様に、NASAの民間有人プログラムと契約を結んで6回の有人ミッションをISSに往復させようとしている。同社はすでに『CST-100スターライナー』と呼ばれるカプセルによって無人の軌道飛行を成功させている。
準軌道領域での活動も活発化してきている。
例えば、ヴァージン・ギャラクティック社も最新のスペースシップ2の機体である「VSSユニティ」を使用した有人飛行をすでに2度行っている。
同社は現在、テスト飛行の最終調整段階にあり、6人乗りのユニティに宇宙旅行者を乗せ始める準備を整えているところだ。
アマゾンのジェフ・ベゾス氏が経営する宇宙飛行会社Blue Originは、 「ニュー・シェパード」 として知られる準軌道飛行用宇宙船で何度も宇宙に到達している。
テスト飛行はこれまでも行われてきたが、ニューシェパードが顧客を乗せ始めるのもそう遠くないだろう。
ここまで挙げてきた会社名の数々は、今回の宇宙旅行の実現への期待を高めてくれる。資金不足については心配しなくても良さそうだ。ベゾス氏は世界一の富豪だし、マスク氏とブランソン氏も億万長者だ。ボーイング社は航空宇宙の巨人であり、有人宇宙飛行の分野では長い歴史を持つ。同社はISSの主契約企業だし、アポロ計画を打ち上げたNASAの巨大なサターンVロケットの第1段を建造したのもボーイング社だった。
今回こそは有人宇宙飛行の新時代が幕を開けたと期待する本当の理由があるというわけだ。人類が再び月に降り立ち、今度は火星などもっと遠い惑星へと足跡を残す日も近いかもしれない。
マスク氏が2002年にスペースX社設立した理由として、「人類を火星に植民させたいから」という想いがあるという。その願いを実現するためにこれまですでにスターシップの試作機でテストしてきたと強調してきた。
ベゾス氏にはブルーオリジン社の展望(ビジョン)として、何百万人もの人々が宇宙で生活することを支援したいのだと繰り返し述べている。
いずれも民間企業だが、もちろんNASAも有人宇宙飛行を諦めてはいない。宇宙への深い野望を抱いているのだ。NASAが発表したアルテミス計画によると、2024年に2人の宇宙飛行士を月の南極近くに着陸させ、2028年までに月面とその周囲に基地を建設し、長期的な人間の居住を可能にすることを目指している。
計画通りに進めば、人類は月を踏み台として火星に到達できるようになるだろう。
NASAは2030年代までにこれほど大きな飛躍を遂げたいと考ているのだ。計画を実現するにあたり、今回はその政治的意志と資金が十分な期間保持されるか、見せてもらうとしよう。