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咲月晴れ

ある日の朝


(ピピピピピ)


◯ ふぁ~今日で最後か。今日はちょっと豪華にしてあげるか


そう言ってキッチンに向かい、朝食とお弁当を作り始めた





しばらくすると


? パパ、おはよぅ…


◯ おはよ、咲月。顔洗っておいで


ーー


「「いただきます」」




◯ 明日で咲月も高校卒業かぁ…


咲 うん、ほんとあっという間だったなぁ。ねぇ、パパ


◯ ん?


咲 ありがとね。三年間お弁当作ってもらったりして支えてくれて。パパはお仕事もあるのに負担掛けたりして



◯ 気にすんな。これはパパが好きでやってることだから負担だなんて思ったことはないよ。それにママとの約束だったしな


咲 ママとの約束?


◯ そ。咲月を高校卒業させること。それだけじゃないけども




俺の妻であるみなみは咲月が5歳の時に病気を患って亡くなった


亡くなったあと、みなみの部屋から俺への手紙が出てきた。そこにはいろんな約束事が書かれていた


その中のひとつに書かれていたのが咲月を無事に高校を卒業させることだった




咲 そうだったんだ。じゃあ、ママも喜んでくれているかなぁ?


◯ 当然だろ。お前の卒業を喜ばない親がどこにいる。天国から喜んでくれてるよ


咲 それなら良かった。パパ、ごちそうさま


◯ あいよ


咲 じゃあ、行ってきます


◯ 弁当持ったか


咲 うん、パパが作ったお弁当いつも楽しみだから忘れるわけないじゃん


◯ そう言ってくれると嬉しいよ。ほれ、行ってこいよ


咲 うん!行ってきま~す👋




咲月を見送ると1枚の写真の前で伝えた


◯ みなみ…約束どおり咲月を無事に高校卒業させられたよ。初めは不安しかなかったし、咲月はママが良いって言って駄々こねてたから大変だったけども、今じゃあんなになってくれたから良かったよ


すると


(ピンポ~ン)



? おはよ、◯◯。上がってもいい?


◯ おはよ、飛鳥。構わないよ



ーー


飛 明日で咲月ちゃんも高校卒業なんだね


◯ ほんとあっという間だったよ。3年なんて


飛 みなみとの約束守れたんだね


◯ 破ったらみなみに天国から何て言われるか分かんないからね


飛 言えてる。優しいみなみが唯一◯◯にだけには厳しかったからね



飛鳥は俺とみなみが中学の頃に知り合った友人。みなみと付き合い始めるきっかけをくれたのも、結婚するきっかけも飛鳥がいたからこそだ


◯:なぁ、飛鳥


飛:ん?


◯:俺はちゃんと咲月の親出来たのかな。



飛:不安なの?


◯:俺は俺なりに咲月の親をやってみたつもりではいるけども周りから何て言われてるか知らないから飛鳥からはどう見えてるのかなって


飛:最初は危なっかしくて見てられなくて手伝ってたけども、今じゃ立派に咲月ちゃんの父親やってると思うよ。自信持っていいよ。ここまで育てたんだからさ


◯:そっか、ありがと。それが聞ければ満足だよ


そのあとも俺はこれまでの三年間を振り返るように飛鳥と語り合った



そして卒業式当日


ーーーーーー


咲:パパ、おはよ


◯:おはよ、いよいよだな


咲:うん、パパも来るんでしょ。卒業式


◯:当たり前だろ、咲月の晴れ舞台だからな


咲:良かった。じゃあ行ってきます。パパも遅れないでね


◯:はいはい


ーーーーーー


その後、無事に卒業も終わり、咲月と二人で家に帰った


◯:良かったのか、友達と一緒に帰らなくて


咲:大丈夫だよ。仲が良い子とは大学も一緒だし、それにパパに言いたいことがあったから


◯:なんだよ、それ


咲:パパ、今までずっと支えてくれてありがとうね。ママがいなくなって最初は寂しくて、ずっと泣いてたよね。小学生のときはパパと二人で暮らしてるって友達に言ったら仲間外れにされたし、中学ではいじめを受けてたけどもパパが守ってくれてたよね。それからパパは事あることに私を守ってくれたよね。それがすごく嬉しかった

私にはママはいないけども代わりにパパがいる。だから私は幸せだよ。パパ、ありがとう!!ギュ


そう言って咲月は俺の胸に飛び込んできた


◯:ふっ、大きくなりやがって…




◯:さっ、帰るぞ。今日は卒業祝いだし、夕飯は咲月の好きなもの作ってやる


咲:ほんと!じゃあ、ママのオムライスが良い!


◯:うし、そうと決まれば買い物行くぞ!


咲:うん!



fin


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