悪魔のおにぎりと南極
少し前のことですが、「小学5年生より賢いの?」というクイズ番組を観ていたら、
「去年、南極大陸の史上最高気温を観測。その温度は?」
という問題がありました。
答えは...、約18℃!!
最近の東京の最高気温がそれくらいなので、そりゃ南極大陸の氷も溶けるよな、と、妙に納得してしまいました。
南極と言えば、で思い出したのは、こちらの一冊。
南極観測隊に調理隊員として参加された経験のある、渡貫淳子さんの著書です。
読むキッカケになったのは、以前にドライブしている時に、TOKYO FMの何かの番組に、綿貫さんがゲストで来られている放送を拝聴したからでした。特に興味があったわけではなく、BGM代わりに流していただけなのですが、この綿貫さんが、かの有名な「悪魔のおにぎり」の生みの親であるという紹介があったので、そこからちゃんと聞くようになった、という感じだったかと思います。
悪魔のおにぎり、美味しかったんですよねぇ、辛くしたり具材を増やしたりと色々とアレンジされていましたが、初期の悪魔のおにぎりが自分は一番好きでした。あれはレギュラー化し続けてほしいなぁ、と思います、ローソンさんお願いします。
悪魔のおにぎりからは離れて、この「南極ではたらく」の話しに戻ります。
南極観測隊の人たちの仕事が、綿貫さんの視点から語られていますが、そこに至るまでも含めて、ここで働くことへの"覚悟"が相当なものであることが伝わってきます。これほどの覚悟を持って、就職面接に臨んだ記憶も無ければ仕事に取り組んだ覚えもない自分からすれば、まるで雲の上の人たちのように、観測隊の方々が映ったのを覚えています。
そして、1年間逃げ出すことの許されない環境で任務を遂行することの過酷さ。仕事に真面目に向き合うことは当然としても、物理的にも逃げられない環境で過ごすということは心身ともに相当にストレスだろう、とは、素人ながらに思います。その中での学びとしては、やはり「誰しもが一人ではない」と感じられることの大切さです。
個人で乗り越えられないものがあれば、チームで乗り越える。少年漫画の中だけではなく、リアルでも"チームの力"はあるのだ、ということが、この本の中で語られる南極観測隊の方たちのエピソードから伝わってきます。そして、様々な経験をされた渡貫さんから発せられるこのメッセージは、どんな机上論よりも伝わるものがありました。
「仲間は出会うものではなく、作り上げていくもの。」(p.175)
良い人材が集まってこない、良い出会いに恵まれない、と嘆くことは多々あれど、ではその状況でどのようにして困難を脱出していくか、に目を向けることができるでしょうか。
昨今、チームビルディングや組織論の話題が賑やかです。優秀な人材が獲得できるに越したことは無いのかもしれませんが、それ以上に、人材をどう育てていくか、渡貫さんの言葉を借りれば「作り上げていく」かということにも着目すべきと言えるのでは、と、私は考えました。
寒いところが大きらいな私としては、南極に行ってみたいなんて思うことはおそらく一生無いでしょうが、行かれた方の経験から学びを得ることができた、と考えれば、寒さ嫌いであることが全くのムダである、とも言えないな、と感じたところで、今回の記事を終えたいと思います。