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第4回:仮クライアントワーク(2020/6/1-2)
1週遅れての投稿です!すみません!
今回の授業では今回は2件のレストランからお店のメインキャラクターの作成依頼が来たという設定で架空のクライアントワークを行いました。
クライアントの要望
それぞれのお店の情報と要望は以下の通り。
1件目:ファミリーレストランA
お店の情報
・イタリアンレストラン
・全国に10店舗
・客単価2000円前後
・ポスターと看板に使用
クライアントからの要望
・みんなに愛されるキャラが良い
・とことん可愛いのがいい
・動物とかいいかも
・キャラは全身入れたい
・名前もつけたい
・将来的にはグッズ展開も考えたい
送られてきた参考イメージ
・遊園地の着ぐるみ(キャラクター)
・アメリカンチックなキャラクター
2件目:高級イタリアンレストランB
お店の情報
・イタリアンレストラン
・ドレスコードあり
・客単価1万〜2万円前後
・テーブルは5席、夜2回転
・ポスターと看板に使用
クライアントからの要望
・抽象的なのが好きです
・スタイリッシュに!
・店の雰囲気を壊さないようにしてください
送られてきた参考イメージ
・線で構成されたイラスト
・書き込みが少なく、ベタ塗りを使用しているイラスト
A・B共に情報や要望がかなりざっくりしています。本来であればここでお店について細かく質問し、詳細に詰めていきますが架空のクライアントのためあまり掘り下げることはできません。
リサーチとラフ
まず、ラフ案を考える前にリサーチを行いました。今回の依頼主の共通点はイタリアンレストランというところです。そして、一口にイタリアンレストランといっても種類があることがわかりました。
Aのような日本でいうファミリーレストランはトラットリア=大衆食堂に当たります。一方、Bのような高級路線のレストランはリストランテと呼び、主にお食事を楽しみます。お酒を楽しむことがメインのお店ならばバル、エノテカなどと呼称が変化するようです。
次にAの要望で動物が良いかもとのお話があったので、動物を考えていきます。レストランで使用される豚や牛が良いかとも思いましたが、他のお店とかぶる可能性があります。イタリアの国獣がイタリアオオカミだったのでこちらで独自性を出していけたら良いなと思い、基本的にはイタリアオオカミをモチーフとすることに決めました。
それぞれ本命案の他に比較用の捨て案も用意しておきます。
Aのラフ案
左が本命案です。可愛いという点を重視しました。参考画像でいただいたイメージがかなり狂気を感じる顔で個人的にあまり可愛さを感じなかったのでアニメ調のきぐるみっぽい顔にしました。
真ん中はグッズ化しやすいという点を重視しました。ピザはイタリアンレストランで提供される代表的なメニューなので一目見ただけでお店のイメージがつきやすいかと思います。お店のメニューをそれぞれキャラ化するとグッズ展開しやすいです。
右は左の本命案をベースにしつつ、より一般受けを狙った案です。アニメ調ではない親しみやすいイラストにすることで価格帯をわかりやすくしています。ただし、シンプルが故に個性がなくフリーイラストのような印象を受けます。
Bのラフ案
こちらも左が本命案です。高級さを損なわないよう色数を絞り、ラインで見せていく案です。抽象的にというオーダーでしたが、抽象的になりすぎて何の店かわからなくならないようにシェフのイメージにしています。顔から体に繋がる一番長いラインが「S」(店名にSが入っているため)になっています。また、皿と料理の質にこだわっているとのことなのでそこはあえて具体的に描いています。
真ん中は1本の繋がった線でシンプルながらもおしゃれさを感じさせる案です。オーナーシェフが盛り付けをしている場面をイメージしています。左の案よりも少しカジュアルな印象です。
右は素材の質にこだわっている点を押し出した案です。色のついた光(人の周りにある丸)を新鮮な野菜に見立てています。こちらの案は健康食品感が強く、イタリアンレストランという印象がないためあまり推していません。
ラフフィードバック
出来上がったラフ案をクライアントに送り、各案の説明をしながらフィードバックをもらいました。
まず、Aのラフ案。
1番左の案が本命でしたが、アニメに寄りすぎているため良い反応ではありませんでした。イタリアオオカミをモチーフとしている点については好印象だったようで、シンプルな右の案をベースにして進めていくことになりました。シンプルな顔はアメリカンチックな顔に変更し、全体的にわんぱくでアホっぽい感じを出して欲しいとのことでした。また、現在右の案は犬っぽいのでもっとオオカミに寄せていきます。
次に、Bのラフ案。
こちらは本命案にOKが出たので、左の案をベースにして進めていくことになりました。形をもう少し崩して、強弱を強くして欲しいとのことでした。鉛筆の線が良い感じなのでこの感じを残しても良いかも、下側にある横線(台の表現)は使いにくいので消してくださいとのオーダーでした。
ブラッシュアップ
ここからそれぞれの案をブラッシュアップしていきます。
大幅な修正が必要だったA案は新規ラフ案を描きました。それがこれです。
雑な上に尻尾が2本なのは見逃してください。
ベース案とは違い、頭身高めで動きが大きいポーズにしています。オオカミらしく歯も生えましたが、大口を開けてアホっぽいので怖くはないと思います。右手には完成したピザ、左手ではピザ回しをしています。完全にツッコミ待ちです。
B案はラインに強弱をつけたり、単純化しただけなので大幅な変更はありません。
完成
調整の結果、このような仕上がりになりました。
Aの完成イメージ
キャラクター設定
名前:アドルフォ
設定:ファミリーレストランAのシェフ、美味しそうに食べる人が好き、明るく元気なお調子者
モチーフ:イタリアオオカミ(国獣)、シェフ
ファミリーレストランのキャラクターなのでお子様にも愛される明るく元気なお調子者という設定にしました。ラフ案よりだいぶクライアントのイメージに近づいたのではないかと思います。大きな曲線を使うことで動きも出たので性格が表現できて良かったです。
ちなみに名前のアドルフォはAdolfoと書き、古高ドイツ語で「高貴なる狼」という意味です。主にドイツや北ヨーロッパで用いられ、イタリアでも使われているそうです。名付けの際にイタリア人の男性名なども検索したのですが、どれも守護者や神と共に〇〇のようなかっこいい意味が込められていました。このキャラクターが高貴かどうかは分かりませんが、ヨーロッパ圏の文化を感じますね。
Bの完成イメージ
はじめはIllustratorのパスツールで塗りつぶしていたのですが、のっぺり重い感じになってしまいました。塗りつぶしを鉛筆っぽくしてみたもののデジタル感が出てしまい、違和感が拭えなかったのでアナログで制作しています。
今見返すとラフの時より頭が大きくなり、カジュアル感が強くなってしまった気がします。描いているときは強弱をつけているつもりでしたが、こうして見るとあまり変わっていないので残念です。線の美しさも洗練されていないので微妙で気持ち悪い違和感に繋がっているなと思いました。
まとめ
今回はリサーチとクライアントへの質問の重要性を実感しました。架空のクライアントだったので、色々なことがふわっとした状態で投げられてかなり困りました。
イメージが具体的であればあるほどデザインに制限がかかってくることもありますが、逆にふわっとしすぎているとクライアントの望むものがわからないものです。
欲しいイメージがふわっとしているクライアントから具体的に望んでいるイメージの情報を引き出すのもデザイナーのスキルで重要なんだなと思いました。