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私の腕時計遍歴3 TISSOT T-Sport PRS516 クロノグラフ バルジュ

前回の続き。

一生モノの高級腕時計を探し始めたところまで話した。

時計を探すにあたり、当時は情報も少なく、最初に腕時計年鑑を購入して、どのようなブランドがあるかを知るところから始めた。

腕時計年鑑には、有名なブランド、簡単な歴史、代表的な時計のモデル、価格帯などが紹介されていてとても参考になった。

実際のモデル比較は、腕時計大全で、寸評や番付などを読んで学んだ。

時計の名称などの基礎知識は、ファッション誌の特集をかき集めて学んだ。

そんな中で、世の中には三大時計があることや、時計には用途に応じて様々な種類があることや、素材や駆動形式の種類、値段が高い理由などを知った。

実際に百貨店に実物を覗きにもいき、ケース越しに写真ではわからなかった高級感や立体感を体感した。

学べば学ぶほど、スイス製の機械式時計の魅力を感じ、何か一つでも手に入れてみたいと思うようになった。

読んだ本の中では、三大時計はもちろん、ロレックスやオメガの紹介に多くのページが割かれ、他に、タグホイヤー  、ブライトリング、ベルアンドロス、フレデリックコンスタントそしてなぜかボールウォッチの特集が頻繁に組まれていた。

どの時計も魅力的であったが、当時最も惹かれたのは、ゼニスのエルプリメロストラトスフライバックだった。

黒ベースに赤のアクセントが入ったクロノグラフに加え、ゼニススターがたまらなくかっこよかった。

ただ…その時点で高級腕時計を購入するような金銭的な余裕はなかった。

それでもスイス製の機械式時計が欲しい。

次に始めたことは、自分の予算内でそれなりに歴史のあるいいメーカーの時計が買えないか探すことだった。

せっかくなら、誰とも被らないメーカーがいい。

そんな目で、腕時計年鑑を読み込んで選び抜いたのがTISSOT。

歴史はそれなりに古く、1853年創業であり、ロゴにスイス国旗を使える数少ないメーカーの一つである。海外における生産数は圧倒的であり、数々のスポーツの公式計時も担当している。

歴史と実績を兼ね備えたメーカーでありながら、良心的な価格で本格的なスイス製機械式時計を提供している。

今でこそ、お値段以上のデザイン性や性能に注目が集まって、銀座にブティックを構えるまでに人気になったブランドであるが、当時は全くの無名。

扱いのある時計店は皆無に近く、唯一、越谷レイクタウンのアウトレットショップで扱っていたような状況であった。

誰とも被らない独自性を追い求めていた私にはまさにぴったりといえた。

クロノグラフが大好きだったこともあり、店につくなり様々なモデルを見せてもらい、当時の最新モデルであったT-Sport PRS516 クロノグラフ バルジュの購入を決めた。

時計の名前の由来になった名作クロノグラフムーブメントの話やバルジュの名前を冠した意義などをスタッフの方が丁寧に解説し、最後に、いい時計ですよと言っていたことを思い出す。

デカ厚ブーム期でもあり、時計は45mm径。時計は大きく、また重かったが、その重みに意義を感じ、ふるえながら15万円を支払ったのを今でも覚えている。

当時の私には15万円は途方もない大金であり、購入した時計は一生大切に付き合って行こうと思っていた。

しかし現実は思い通りには運ばない…

実際に使ってみると、重量感やサイズ感から使いこなすのはなかなか難しかったのだ。

腕が細い分、時計がとても目立ち、距離感を見誤ってよく壁などにぶつけていた。夕方になると、疲れも出る有り様。

側から見ても大きさばかりが注目されて、時計ではなく、漬物石をつけていると揶揄される始末。

時計ブランド自体を知るものは皆無に近く、ごくまれに年配の方に「チソット」だと言われるぐらい…

気がつけば、圧倒的に使いやすい元のCASIOの時計に回帰しつつある自分がいるのだった…

当たり前のことであるが、時計は実際の使い勝手が最も大事であるという視点が欠けていたことから起こった失敗だった…

しかしながら、デザイン自体はよく、この時計は今でも我が家の卓上ストップウォッチとして活躍している。

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