私の腕時計遍歴1 夜明け前
私は時計が好きだ。大好きかどうかは知らない。
少なくとも、時計に話しかけるほどの愛情はないことは確かである。
某SNSで写真投稿を始めだしてはみたものの、時計にまつわる思い出を語るには、あまり適さないということで、ここでその手の話を展開することにした。
一人の人間が時計好きになっていった過程を楽しんでいただければ幸いである。
興味のない人々からすれば、「時計」を何本も持つことや購入に100万円以上をかけることは理解不能であるに違いない。
理解のギャップを埋めよう、時計好きの世界へ引き込もう、、、、様々な言語を駆使しながら、時計好きたちはその魅力について大いに語る。
「偉大な歴史」「複雑な機構」「装飾技巧」「資産価値」などなど。。。
正直なところ、興味のない方々にはどうでもいいことでしかない。むしろ、語れば語るほど、気持ちは離れていくのは間違いないだろう。
時計は時を知る道具である。
一度実物を見て、身につけ、気に入れば買えばいい。
最近は広告も多くなってきているから、そこから気に入ったものに出会い、価格に仰天して、記憶を抹消し終了する方々も数多くいるであろう。
どのような道を辿ろうが、それはその人の自由である。
さて。私はというと、時計とは苦い記憶の塊であり、苦手なものであった。
スタートは中学生。中学受験でそれなりに結果を出し、ご褒美に買い与えられたSEIKOの時計を1ヶ月で無くすところからスタート。
あんなに重いものがどうやって消えるのか、未だに謎でしかないが、紛失を隠し通すことなど到底できず、激しく叱責されてトラウマになり、しばらく時計とは無縁の生活を送る。
高校生になり、今度は新たにG-SHOCKを買い与えられるが、また1ヶ月もしないうちに真夏の湖に飛び込んで遊んでいた時に水没。そのまま使用不能に。防水能という概念を知らなかったが故の愚行・・・叱責再び。そして時計と距離を置く生活再び。
大学時代。様々な都合からどうしても腕時計がないと困る事態に直面。トラウマ克服の意味も兼ねて、SEIKO5のメタルブレス(よく見かける金属ベルトのタイプの時計)の自動巻時計を購入。ホームセンターで5000円くらいだった気がする。
バイト代で初めて自分で購入した時計だったが、数ヶ月後に時計から異音発生。以後、二度と時を刻むことなく今に至る。トラウマ克服どころか、悪化である。
おかげで、未だにメタルブレスのSEIKOの時計とG-SHOCKは怖くて買えない。
このような学生時代を経て、すっかり時計嫌いになっていた私であったが、いよいよ社会人生活に突入する。
この当時知っていたブランドといえば、因縁深きSEIKO、G-SHOCKのCASIO、よく見る時計CITIZEN、何となく高級として知っているロレックスとオメガ。以上。
あっ!格闘家の魔裟斗さんがコラボしたことでオーデマピゲは知った。テレビの映像で流れたミレネリーを見ながら、「何でわざわざ文字盤が歪んでるんだろう?」と思った記憶がある。失礼な話だ。
まあ、ごくごく一般的な時計の認知度はこのくらいなのではないだろうか。
社会人といえば、もはや時計は道具として必須である。いや・・・・あったほうが色々な場面で助かることが多いのは間違いない。
時期を同じくして、某番組で有名人が腕時計を買う企画がスタート。最初は必要のない高額なものを買わされていく姿が滑稽で、面白半分で見ていたものの、徐々に時計そのものへの興味が湧くようになる。
番組で様々な時計を見る中で、時計にはメタルブレスのいかにも「おじさん」がする時計だけではない、様々な種類やデザインがあること、想像以上に数多くのブランドが存在することを知る。
そのような目で職場の先輩や上司の腕元の時計を見て気がついたことはロレックスとオメガ、G-SHOCK率の異様な高さだった。
理由はわからないが、全体会議でお偉方が並ぶとデザインは違えど、揃いも揃って金とステンレスのコンビのロレックスデイトジャスト。中堅どころはロレックスのサブマリーナかオメガのスピードマスター。若手はだいたいG-SHOCKか学生時代のファッション時計の継続使用と相場が決まっていた。
(・・・今とは違って家電量販店などで気軽にロレックスが買えた時代の話である。マラソンしなければ買えない現状にはただただ驚くばかり。)
他の時計はというと・・・・ない。
散々見て回った挙句にようやく見つけたのはオメガのコンステレーションをつけている上司だった。
・・・・何という個性のないつまらない職場なんだ。
そう思って心の中で嘆いたのは言うまでもない(余計なお世話だ)。
そんな中で、全く違う存在感を放っていたのが、プレゼンをしていた他社の営業の方が着用していたオリエントのレトロフューチャーシリーズのロードバイクモデル。
メカのような外観に映える黄色がかっこいい時計で、オーナーの爽やかな印象とマッチし、驚くほどスーツ姿に溶け込んでいた。(なかなかスーツに合わせるには難易度の高い時計でオーナーのセンスの良さを改めて感じる)
これこそおしゃれな時計の楽しみ方か!と衝撃が走ったのを今でも鮮明に思い出す。
どうせ時計を買うのなら、無用なマウンティングを仕掛けられることなく、没個性的な物選びをすることなく、時計につけられることもなく、極力ヒトと被らずに自分が納得する時計を選び抜きたい。
そんな今にもつながる根本理念が確立し、時計への本格的な興味が芽生えた瞬間であった。
が・・・・
すぐに本格機械式腕時計の沼に突入していった訳ではなく、私はここでさらに回り道をすることになる。
だいぶ長くなってきたので今回はここで終わり。
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