【248日目】先生の白い嘘
映画、先生の白い嘘を見に行った理由
最初は、猪狩くんが出ている、というただの1点。
これがなければ、確実に触れることのなかった作品だろうなあ、と思う。
舞台挨拶や公開直後は、観劇の予定などと重なり、物理的に行けないことが確実だったので、取るという選択肢はなかった。
そんな中、公開寸前にあまり良くないことで話題になり、
テーマも決して軽くはなく、後味は悪いかも、というのは想定できていて、見ない、という選択もあったかもと思う。
猪狩くんが出ている、私にとってはとても重要なことでありながら、
話題になったあれこれを見ていて抱いた感情、必ず女性である自分がまっさらな気持ちで見れるわけではないシーンがあるとわかっていること、
これらを考えると、猪狩くんという存在だけでは見るという選択は正直できなかったと思う。
そんな中、舞台挨拶についてのネットニュースを読んでいて、
猪狩くんが、撮影前に奈緒ちゃんと話す機会があって、不安を溢した猪狩くんに、奈緒ちゃんが、
「この作品を撮り終わったときに、猪狩くんがまた演技やりたいって思ってくれたら、私の中ではそれが一番だよ」と言ってくれたというエピソードや、
それに対して、撮了後猪狩くんはちゃんと言えてなかったけれど、舞台挨拶の場で「また演技やりたいです」と奈緒ちゃんにまっすぐ伝えたこと、
そこで奈緒ちゃんが涙したことを知った。
撮影中、猪狩くんと奈緒ちゃんが、お互いに光だったと語るインタビューも読み、あまりの尊さにその一節を読んだだけで泣きそうにもなった。
風間くんや原作者の鳥飼さんのコメントなどで、「誠実」という言葉がたびたび出たのも心に留まっていた。
こんなにも真摯に、誠実に向き合って演じた作品がある、
それに猪狩くんが参加していて、
誰もが誠実だと言う奈緒ちゃんから唯一の光と言われてる、
それを私は目にするべきだと思ったし、
それが一連のものを読んで、奈緒ちゃんに抱いたリスペクトの気持ちを表現する一番大切な方法だと思ったので、見に行くことを決めました。
実際に映画館で見て
まず、中身や見た人の感想含む事前情報を入れていたのもあって、十分すぎるくらい構えて見たので、自分が受けるダメージは最小限にできたと思う。
キングダムと別日に見たら感情が意味不明になっていそうだったので、別日に落ち着いて見たのも正解でした。
ただ、予想通り、監督や企画サイドの男性に対しては胸糞悪いなあ、という気持ちが残った。
そもそも、例のインタビューでお話されていた中ですごく引っかかっていたのが、
・10年前くらいに原作読んだ、当時は男性目線で性を描いた作品が多くて新鮮な感じがした
・男性の自分にはわからない感情があった
・早藤、新妻の感情はわかるが、美鈴の気持ちはわからない部分があった
新鮮、という感想は男性だから出てくるものだと感じたし、わからない部分があるのにこの題材を使うの???と激しく疑問に思った記憶がある。
わからないのに、容易く扱っていい話題じゃないよ、これは。
その姿勢が、それを言ってしまうことが、まさに、という感じで不快に思われたし、
見ていても時折、ああ、これは女性目線ではないな、と感じる瞬間はあった。
最後の最後のシーンも、
いや、光見せときゃいいってそんな簡単な話じゃなかったよね???と、思うなどした。
でも、制作サイドには思うことはあれど、
演者さんたちはみなあっぱれでした。
奈緒ちゃん、素敵な俳優さんだなあと思ってはいたけど、本当に本当に、強くて凛としたかっこいいお人。ファンになってしまった。
風間くんが誠実と語っていた意味がよくわかりました。
そして、猪狩くんがこの作品を経て、本当に演技をまたやりたい、と言えたのは間違いなく奈緒ちゃんのお陰なのだとよくわかった。
2人の、ラストの方のロッカーのシーンで、お互いを光と言ったそれが強く伝わってきて泣けた。
新妻を演じる、猪狩くんを見ることができてよかったなあ。
さらに猪狩くん、目力が強いタイプではないと思っているのだけど、新妻くんの目、とっても良かった。
前髪の奥、というのもあいまって、引き込まれる上に、目から新妻くんの感情というか、心の揺れ動きが鮮やかに伝わってきて素晴らしかった。
私、吉沢亮に惚れ込んだのは、お芝居してるときの目だったんだけど、
吉沢さんの目に惚れた瞬間を思い出すようでした。
いろいろな感情が芽生えたけど、
演者のみなさんの舞台挨拶の言葉を改めて読み返していると、
この作品を受け取ることができてよかったと思う。
確かにここに受け取った人間がいるよ、
小さい1人という数字だけど、受け取った人間が確かに1人いる、という証を作れてよかったなあ。と今は思っている。
(参考)
舞台挨拶記事
奈緒ちゃんと猪狩くんのインタビュー