昨日をリセットする掃除
「散らかっているのは良いけど、不衛生なのはイヤなんだよね」
コーヒーメーカーのスイッチを入れ、掃除道具を手に取る。
コポコポと音を立てるドリップを背に、まずは立てつけの悪い雨戸を開ける。寸足らずのカーテンを揺らし、ダイニングに朝の風が流れ込む。
でも、まだ昨日が終わっていない。
前の晩、突然の低気圧にひどい頭痛を覚えて、夕食をとった後は毛布に包まったまま朝まで寝てしまったのだ。
昨日と今日の境目が曖昧になっている。
今日を始めるには、リセットが必要だ。
この掃除がその機能を担っている。
ダイニングの絨毯にコロコロをかけ、次は玄関マット、トイレマットと続く。
それから仕事スペースを設けた寝室の遮光カーテンを開け、デスク下も簡単に。
それでも、家の中には薄暗さが残る。
今度は、ウェットモップのスティックを取り、ダイニングのフローリング部分を拭いていく。
間取りに合わせて順に廊下、脱衣所も…。
脱衣所の洗濯籠が溜まっている。
コーヒーが落ちるまでに間に合わないだろうが、回しておくか。
ごうんごうん、と縦型の洗濯機が室内に響く。
少しずつ生活音がしてきた。
排水溝に溜まった生ごみを処理し、
最後にトイレを掃除してシートを“ぽい”、と捨てる。
4月25日(土)朝7時半。
一杯のコーヒーが淹れられた。
ここが、昨日と今日の境界線。
自分で作った、リセット方法
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