【書評】『うちの夫を神夫に変える方法』河村陽子著/青春出版社
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読んだ本
『うちの夫を神夫に変える方法』河村陽子著/青春出版社
「神夫」とは、家族を大切にして、仕事に邁進して、家事にも自発的に取組んでくれる夫のこと。
著者の家庭もかつては困った夫に振り回されていた。単身赴任中に発覚した夫の女性問題に心を痛めながらも、幼い娘のために必死に夫婦再構築を図る。その根幹にあるのは、「娘にとって父親は一人しかいない。私の大切な家族を絶対に崩壊させない」という強い想いから。
自身の経験を基に夫婦問題カウンセラーへ転身した著者は、これまで9000件以上の悩める夫婦たちの相談に乗って来た。そこで見えてきたことは、夫婦再生に必要不可欠なものは会話。いや会話術であると提唱する。元々著者は営業職のキャリアウーマンだった。営業時代に学んだ「購買意欲の8段階」をベースに、夫婦問題を解決するための会話テクニックを盛り込んだ「夫婦関係修復メソッド5ステップ」を考案する。
本書はこの5ステップをメインとして、家族に関心のないダメ夫と関係を修復したい妻との実践的な会話術を解説している。
1章で、まず目を引くのは「神夫」と対比させて「鬼化」という言葉を使い、夫が鬼化する言ってはいけない言葉、やってはいけない行動と題して、夫への取り扱い注意事項を並べている。「言い方ひとつで夫は鬼化します」と。夫を逆ギレさせないために男女の考え方の違いも説明。
それを踏まえた上、2章でいよいよ5ステップへ。順を追ってダメ夫を神夫に仕立てていく過程を、例え話を入れてわかりやすく解説。家族に関心がない夫をどのように振り向かせていくか。
3章では、神夫へ変貌を遂げた家庭、夫婦の事例5選を紹介。よその家はどんな状況で、どうやって幸せな日々を取り戻したのか。皆、自分と同じような境遇の人を探し、そこから成功した人の話を知りたがる。カウンセリング9000件以上の実績を持つ著者だからこその、なまなましい実例集。本書の肝は、3章目の「本当にあった隣の家の話」を知ることができるところかもしれない。
著者は、大切なことは自分がどうしたいかであると妻たちに呼びかける。夫の機嫌をとろうと無理して良妻賢母を努める必要はない。賢く会話術を駆使して家庭内でのパワーバランスを握る方法を説いて、夫との関係に心を擦り減らす妻たちを元気づける。トンネルのような暗闇から抜け出せたら、かつての仲睦まじかった二人に戻れるかも。悩める妻は一読の価値あり!