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日本最古のハーブ農場 ~開聞山麓香料園レポート〜
今回は、約80年の歴史を誇る日本最古のハーブ農場「開聞山麓香料園」のレポートです。
開園はなんと1941年。第二次世界大戦真っ只中の時代です。
この時期、それまで輸入に頼っていた香料が、戦争の影響もあって仕入れが困難になっていきました。
そんな最中、この園の創始者である宮﨑巌さんの育てていたローズ・ゼラニウムが、「曽田香料」の創始者である曽田政治さんの目に留まり、本格的に蒸留を始めるようになったそうです。
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園に入ると、伸び伸びと育つ木々がお迎えをしてくれました。良い意味で過保護すぎない環境に置くことで、その植物本来の萌芽力や個性を伸ばしているのかなと感じました。
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こちらは、なんともたくましいティートゥリーたち!
背の高いティートゥリーに挟まれるような形で、地面にはローズ・ゼラニウムが植えられています。
ふと、以前フランスの農場に行った際に、農場主のマダムであるヴァレリーさんがおっしゃっていたことを思い出しました。
「1つの畑に1つの植物しか植えないと、どうしても弱いものもできてしまい、芳香成分も少ないものになってしまう。だからあえて混在させて、それぞれの植物の力を増幅させているの。」
そして彼女はこう続けました。
「人間と同じかもしれないわね。色々な人々と交わる中で、それぞれの個性が引き立ったり、心が鍛えられたりするでしょ。」
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その他にも、少し手を触れただけでうっとりするような香りを放つマジョラムや、青紫色の小花を元気よく咲かせるローズマリーなど、エネルギッシュな植物たちがたくさん。
スタッフの方々は植物たちに丁寧に目を配りつつ、過度に手入れをしすぎない素敵な距離感を保つことで、こんな伸び伸びとしたハーブを育て上げていらっしゃるのかなと感じました。
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入り口の近くには、この園でたくさん栽培されている芳樟(ほうしょう)の木が。
芳樟はリナロールを多く含む植物で、精油は今や貴重なものとなったローズウッドを彷彿とさせる、温かくも気品溢れる香りです。
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スタッフの方に「この芳樟の葉をちぎって揉み込むと、良い香りがしますよ!」と教えていただき、早速試してみたところ、何とも華やかで高貴な香りが^^
一時は合成リナロールの登場で需要がなくなり、蒸留もされない時期があったそうですが、最近はまたアロマテラピーの広がりによって生産や蒸留が再開されたそうです。
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こちらは蒸留所。
この日は蒸留日ではなかったので、中に入ることはできませんでしたが、歴史を刻み続けてきたこの建物を見られただけでもとても感激しました。
開聞山麓香料園。
私が受けた印象は、なんとも硬派で真摯。
おしゃれで素敵なガーデンという風貌とはまた違った、自然の力をそのまま活かした生命力豊かなハーブ農場にとても感銘を受けました。
そして、地に足のついたこの在り方のおかげで、80年もの間、植物たちが生き生きと幸せに育ってきたのかなと感じました。
次回は蒸留のある日に、ぜひまた再訪させていただきたいと思います*