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えっ!?コンクリートにアルミ粉を?-発泡剤としてのアルミニウム粉末-

アルミニウムは酸にもアルカリにも溶ける両性金属

そんなアルミニウムの粉末と生石灰と水を混ぜ合わせると、
水素と強い反応熱が生じます。

アウトドアや災害時の調理に使われる発熱剤はこの反応熱を利用したものです。

死なない防災!そなえるTV様)

反応の流れは以下の通りです。

まず、生石灰が水に溶解することで酸化カルシウムが水酸化カルシウムになります。
生石灰+水→水酸化カルシウム+反応熱
CaO+H₂O→Ca(OH)2+15.2kcal
次にアルミニウムに水酸化カルシウムと水が反応してアルミン酸カルシウム
水素と反応熱が生成されます。
アルミニウム+水酸化カルシウム+水→アルミン酸カルシウム+水素+反応熱
Al+1/2Ca(OH)2+2H₂O→1/2CaO・Al₂O₃+3/2H₂↑+93.8kcal

参考:モーリアンヒートパックの仕組み|発熱剤 モーリアンヒートパックの株式会社協同|防災 非常用
化学式:アルミニウム発熱剤による熱傷の1例,日本職業・災害医学会会誌 56(3): 128-130, 2008.菅又

発泡剤としてのアルミニウム粉末

アルミ粉は発熱剤として活用されるほかにコンクリートに入れることもあります。

このときの主役は水素です。

上記の反応と同様に、コンクリートが硬化する際に水和反応によって生み出される水酸化カルシウムとアルミニウム粉末と水が反応することで水素が発生します。
コンクリート中に生成された水素は微細な気泡となります。

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気泡の生成によって打設直後のコンクリートにおいて3つの良いことが起きます。


水和収縮や乾燥収縮による体積変化を気泡が補償することで
鋼材との付着性能低下を抑制する

骨材の沈下を抑制し材料分離や沈下ひび割れを防止する

単位容積に占める空気量を増やすことで単位容積あたり重量を軽減することができる

①②参考:膨張性高流動コンクリートによる沈下補償に関する研究,コンクリート工学年次論文集 30 (1), 153-158, 2008,神代 他
③参考:セラミックス博物館 建材・ガラス1 / ALC(軽量気泡コンクリート),セラミックス博物館

軽量気泡コンクリート(ALC)

とりわけ③の特性を活かしたコンクリート、軽量気泡コンクリート(ALC)は建築の現場で多く活用されています。

ALC(軽量気泡コンクリート)は欧州から技術導入された建築材料である。日本では、鉄筋によって補強されたパネルとして工場生産されており、建物の外壁、床、間仕切り等に使用されている。
ALCの最大の特徴は軽量性である。1mm程度の気泡が約50容積%占めているため、「水に浮く」コンクリートである。軽量であるため、建物への負担が低減できる、工事期間の短縮が図れる等のメリットがある。その他、耐火性、断熱性などにも優れている。

セラミックス博物館 建材・ガラス1 / ALC(軽量気泡コンクリート),セラミックス博物館

ALCの主原料は珪石、セメント、生石灰、発泡剤のアルミ粉です。

これを水で練り混ぜて高温高圧の蒸気釜で加熱するオートクレーブ養生をすることで硬化します。このとき水和反応により結晶が生成されるとともに上述のアルミ粉と水酸化カルシウムの反応による水素が発生し微細な気泡ができます。
この気泡のおかげでコンクリートの軽量化だけでなく耐火性や断熱性、遮音性も向上するためALCパネルは住宅や商業施設などで広く使われています。

まとめ

今回はアルミニウム粉末をコンクリートに入れると水素の泡が発生し、収縮を抑制したりコンクリートを軽くしたりすることができることについてまとめました。

ちなみに私はアルミニウム粉末を仕事で使ったことはないです。
発泡剤についてはコンクリート技士の勉強で初めて知ったほどです。

しかし、世の中ではALC造の建物にALCパネルが多く使われています。
私たちの知らないうちにアルミニウム粉末の恩恵を受けているのかもしれないとおもうと、なんだか面白いですよね。


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たいらのどか
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