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なぜコンクリート片は落ちてくるのか-塩害による鉄筋腐食の例

空からコンクリートが!?

いつものように通学路を歩いていると突然コンクリート片が落ちてくる。
頭上に降ってくれば最悪死んでしまうかもしれません。
恐ろしいことです。

コンクリートの剥落は毎日のように起きています。

25日朝、那覇市にある「那覇文化芸術劇場なはーと」向かいの雑居ビルのひさしから、コンクリート片がスクールゾーンにもなっている道路に落下しているのが見つかりました。
けが人はいませんが、市が周囲の道路を通行止めにしています。
(中略)
沖縄では、本土復帰直後まで塩分濃度が高い海砂がコンクリートの材料として使われていて、内部の鉄筋が腐食してひさしなどが落下する事故が絶えません。

スクールゾーンの道路にコンクリート片落下 周囲を通行止めに|NHK 沖縄県のニュース

何らかの力が加わる

なぜコンクリートは剥落するのでしょうか。
原因は様々ですがどの事例でもいえるのは、コンクリートに何らかの力が加わったりコンクリートの耐久力が低下したりすることで元の状態を維持することができなくなり、ヒビが入って一部が落ちるという流れです。

剥落発生の概略(断面図)

剥落の原因のひとつ 塩害

上記の沖縄でのコンクリート剥落もコンクリート中の鉄筋が塩化物によって腐食したことで膨張した、塩害が一因とあります。

具体的なメカニズムは下記の記事を読むとわかりやすいです。

塩害は鉄筋コンクリート中に一定濃度以上の塩化物イオンと水と酸素がある場合に発生します。
とりわけ塩化物イオンは鉄筋を腐食から守る不動態皮膜を破壊することで鉄筋の腐食を促進します。

酸化していない鉄と酸化鉄を比べると後者の体積は2.5倍程度に膨張します。

コンクリート内部で発生した膨張によってコンクリートは押し広げられます。
そのため、引張応力がかかることでヒビが発生して、やがて大きく割れて剥落するのです。

塩害による鉄筋腐食・剥落の概要(断面図)

つよそうに見えるコンクリートも何らかの力がかかれば壊れてしまうのです。
だからこそ劣化しないようにちゃんとコンクリートを打ったり、劣化しそうな兆候があればすぐに補修したりすることが大事なのです。

危険な構造物の見分け方

みなさんの身の回りにも作られて長い年月の経った構造物があると思います。

浮いたコンクリートをはつり取って修復材で埋め戻す、断面修復をするなど適切な補修をしていれば長持ちします。
しかし、そうでない場合には上記のような剥落がいつ起きても不思議ではありません。

落ちてくるコンクリートにぶつからないためには少しでも危なそうだなと思う構造物からは離れることが重要です。
例えば頭上のコンクリート構造物にひび割れがあり、ひびから茶色いシミが出ているコンクリートは上述の鉄筋腐食が発生していると見て間違いありません。

鉄筋の腐食によりひび割れから錆汁が確認できる図(断面図・底面図)


このような状態になると剥落も時間の問題です。
なるべく近寄らないことをおすすめするとともに施設管理者がいれば補修の必要性についてお話しても良いかもしれません。

まとめ

今回はコンクリートの剥落に関するニュースから初心者向けになぜコンクリートが剥落するのかについて書いてみました。

今後、老朽化したRC造の建物が増える中で剥落は今まで以上によく聞く言葉になると思います。

公共物ならば国や自治体の予算で修繕できても、民間の施設だと高額な補修費用を捻出するのは困難なことがほとんどのように思います。
したがって、どうすることもできず剥落するコンクリートはたくさん出てくるものと思います。

さて、そんな剥落ですが塩害以外にも中性化や化学的侵食、疲労など様々な原因があるのです。
しかし、すべて紹介するとあまりに長くなってしまうので、今回は簡単にまとめることにしました。

最後に剥落しそうなところを通る人に言いたいことは…
「君子危うきに近寄らず」ですね。気をつけてほしいと思います。


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たいらのどか
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