アルカリシリカ反応ってなに?
アルカリシリカ反応とは
コンクリートの劣化のひとつにアルカリシリカ反応(以下ASR)というものがあります。今回はASRについて簡単にまとめていきます。
コンクリートに使われる骨材の中にASRの反応を引き起こす反応性骨材といいうものがあります。
これが一定割合(ペシマム量)の反応性骨材とアルカリ・水が反応することによって吸水性のあるアルカリシリカゲルという物質を形成します。
アルカリシリカゲルは吸水膨張することで膨張する応力をコンクリートに及ぼして、亀甲状のひび割れや鉄筋の断裂を引き起こすのです。
コンクリート初心者あるある
さて、私は昔コンクリートについて初心者だった頃ASRについて知りました。
正直ASRに対しての感想は「いみわかんねー」でした。
反応性骨材って何?
なんで骨材がアルカリと反応するの?
アルカリシリカゲル?
ペシマム量って何?
などなど謎だらけでした。
というのも、例えば鉄筋の腐食なら酸化鉄は鉄の数倍に体積膨張するからひび割れを引き起こすわけです。
これは中学理科レベルの知識があればすんなり理解できます。
しかし、ASRは違います。
ASRのしくみ
順を追って考えていきましょう。
骨材の中でもケイ素の結合が弱く不安定なシリカ鉱物を含むものが反応性骨材です。
日本の反応性骨材として主に火山岩の安山岩や、流紋岩があります。
ほかにも堆積岩のチャートや砂岩、頁岩(けつがん)など様々な種類のものがあります。
ASRの流れを大まかにいえば
反応性骨材はシリカ鉱物がアルカリと反応することでアルカリシリカゲルを形成し、水を吸って膨張します。
これを詳しく説明すると下記の図のようになります。
反応性骨材とアルカリイオンが接触
アルカリイオンと非晶質のSiO₂が反応して溶解し水ガラスの一種を生成
水ガラスとカルシウムイオンの反応でアルカリシリカゲルを生成
ゲルが水を吸収して膨張
ということなのです。
ペシマム量
アルカリシリカゲルを生成するためにはアルカリ濃度が一定以上である必要があります。
反応性骨材が多すぎると骨材の総表面積あたりのアルカリイオンが少なくなり、アルカリ濃度が低下してしまうため、かえってASRが起きにくくなります。
逆に反応性骨材が少ないとASRが起きてもアルカリシリカゲルも吸水膨張も少ないためコンクリートの劣化は軽微なものとなります。
したがって反応性骨材がコンクリートにダメージを与える最悪の比率、すなわちペシマム量というものがあるのです。
ちなみにペシマムというのは最悪という意味なのです。
予防する方法
このようなASRを予防するには大きく分けて4つの方法があります。
反応性試験の結果無害と判定された骨材(区分A)を使用する。
コンクリート中のアルカリ総量を規制する。(3.0kg/m3以下)
アルカリシリカ反応抑制効果をもつ混合セメントを使用する。
膨張の原因となる水を供給しない=乾燥させておく
このうち1の無害な骨材を使用するのができるのが最善です。
しかし、質のいい材料ばかり使わるわけもなく無害でないものを使用せざるをえないこともあります。
そこで3の混合セメントを使用する方法がよく使われます。
混合セメントを使えばポルトランドセメントが少ない分アルカリ総量も減らすことができるからです。
乾燥させておくことについては雨水がかからないように水切りを設置したりコンクリート表面に撥水性のあるシラン系の含浸剤を塗布しておいたりすることも有効です。
あとはASR予防効果のある亜硝酸リチウムをあらかじめ混ぜておくこともあります。亜硝酸リチウムはものすごく高い(1kg/4,000円以上)ので小規模な補修に使う防錆剤やモルタルに使われることが多いです。
補修については
様々な工法がありますので下記一般社団法人コンクリートメンテナンス協会様のサイトをご参考にされて下さい。(丸投げ)
まとめ
今回は簡単にASRについてまとめました。
ASRについては初めて勉強したときは難しく感じました。
しかし、ASRは反応性骨材にも沢山の種類があったり検査・調査の方法もたくさんあったりするなど奥深い現象だと思います。
明日2022年7月24日(日)はコンクリート診断士の試験日ですね。
私も試験に向けて頑張っている方々を見ると受験した頃を思い出します、
そして初心にかえってコンクリートについて勉強していこうと思いました。
受験される方はがんばってください!