フンザの穴場観光スポット!? ホッパー氷河
今年はカフェの業務が忙しくて、なかなかセントラルフンザから外に出る機会が無かったんだけど、先日、ようやく一念発起して一泊二日の小旅行に行ってきました。
目的地はホッパー氷河。のどかカフェのあるアルチット村からだと大体25kmくらい。ぼくのぼろ車でゆっくり走って、2時間ほどの場所にあります。とても素晴らしい場所で、YouTubeでもその様子をレポートしていますが、ここでは動画で伝えきれない情報を書いていこうと思います。
ホッパーまでの行き方
まずホッパー氷河までの行き方。一番簡単なのは、カリマバードやアルチットから車をチャーターして行く方法です。相場はきちんと調べていませんが、アルチット→アリアバード間で1000ルピーなので、それを考えれば普通のセダン車で、値切らないで5000ルピーくらいかな?値切れば3000~4000ルピー位になるかも。
公共交通で行く場合は、アリアバードのPSOガソリンスタンドの前辺りから、本数は多くないものの、Nagar Khas行きのハイエースが出ているそうです。これならたぶん数百ルピーでNagar Khasまで行くことが出来るはず。Nagar Khasとは、フンザ川を渡って対岸のNagarにある小さな町で、中心部の交差点にはタクシーやハイエースが何台か止まっています。ほかの乗客がいれば、一緒に乗って、ホッパーまで安く行くことができるし、車をチャーターしても、1000ルピーくらいでホッパーに連れて行ってくれるでしょう。
でも、Nagar Khasに着いたら、そこからホッパーまで8kmくらいだから、歩いて行くのもいいと思う。その道自体、車が少なくて雰囲気や眺めが素晴らしいし、一本道なので迷うこともない。ほかにも歩いている村人がいるし、歩いていたらかなりの高確率で車やバイクから、「乗っていく?」と声をかけられるでしょう。
ちなみにフンザからホッパー氷河まで、自転車やバイクに乗って、あるいは歩きで自分で行くことも可能でしょう。そういう人向けに解説すると、経路はカラコラムハイウェイのフンザ川に架かる橋を渡ってすぐに右折。あとはひたすら道なりに行けばNagar Khasの三叉路に到着するので、そこから右に上っていけばホッパーです。簡単な道だし、村の人に聞きながら行けば、まず迷うことはないはず。
ホッパー村の様子
ホッパーは農村で、街道沿いに、とても美しい田園風景が広がっています。昔、オランダの美術館で見た、ゴッホが描いた田園風景の絵を思い出しました。ポプラ並木があったり、村人や家畜がのんびり歩いていたりする街道を突き当たりまで進むと、ホッパー氷河のビューポイントです。ここには土産物屋や宿が何軒かあります。観光客はあまり多くないので、特に予約していなくても、どこかの宿には泊まれるでしょう。
ぼくが泊まったのは、Hopper Hiltonという8部屋ほどのゲストハウス。シェールさんの友人がオーナーです。ダブルベッドとシングルベッドが一台ずつある一番高い部屋に泊まりましたが、5000ルピーでした。ほかの部屋は3000ルピー。トイレも部屋も清潔、電気は時々停電し、Wi-Fiはない。でも、自分が持っているSCOMのSIMカードでは、4Gのアンテナが2本立っていたので、メッセージのやりとりくらいなら出来ました。ホテルはまずまず、快適に過ごせました。
氷河が見える展望台
駐車場やホテルがある場所から2,3分、丘を登ると、氷河のビューポイントです。ビューポイントは崖っぷちにあり、そこから100mから200mくらい下に氷河が広がっています。だから、氷河を見下ろす形になります。初めてこの光景を見たときの印象は、氷河って白いと思ってたから、案外黒っぽくて、そして波打っているのに驚きました。
あと、氷河に気を取られて見落としがちなんだけど、氷河の真反対方向(北方面)にも注目してください。そちらには、ウルタル山系の絶景が広がっています。ウルタルは、フンザのアルチットやカリマバードの裏にある山で、のどかカフェからだと近すぎてそのてっぺんを見ることは出来ないし、ずっと見上げていると首が痛くなるんだけど、このホッパーからだと、その山並みの全体像を遠く、絵画のように、はっきりと眺めることが出来るのです。
閑話休題、氷河を左下に見ながら谷の奥に進むと、さらに高台にカフェや宿泊施設を備えた展望台があり、時間が限られていてもそこは是非訪れるべきです。行ってみると、氷河が谷の奥まで続き、その果てに6361mのBruche峰が見えます。(Bruche峰はGoogle検索してもなかなか出てこないのだけど、のどかカフェにあるトレッキングマップに載っていました。)
以前もぼくはシェールさんのツアーでホッパーには来たことがあったんだけど、その時は時間の都合で、この展望台を往復しただけでした。でも今回は一人旅だったので、氷河の近くまで降りてみることにしました。
迫力満点の氷河
上から見るだけでもホッパー氷河は絶景ですが、できれば氷河の近くまで降りていくのがおすすめです。氷河まで降りる道はそれなりに急で大変、歩きにくい箇所もありますが、滑落を気にするような危険な場所はありません。
なんとなく道なりに行くと、氷河の近くに立っている青い小屋の近くに来るはず。そこからさらに小道を10mほど下ると、氷河のふちにでます。氷河と河岸の境目ははっきり色が分かれていて面白かったです。岸のほうは、乾燥して白っぽいのだけど、氷河の方は、溶けかけの氷と岩石や砂利が混ざりあって、黒っぽく、じゅぶじゅぶしています。氷河の上はぬかるんでいるところもあるので、スニーカーではなく登山靴やトレッキングシューズで来た方が安心です。
氷河の岸辺から少し歩くと、いよいよ氷の山が出てきます。近くで見ると、本当に白い氷があり、ぼくはじんわりと、深く感動しました。氷の中には、岩や砂が層になって混じっていて、これが遠くから見ると氷河が黒っぽく見える理由なのだと合点。あと、氷河は近くで見るとそれ自体が急峻な山のように尖っているのも印象的でした。
氷河はなぜこんな色、形なのか?ホッパー氷河から帰って来たあとで先日、学生時代に氷河の研究をしていたという日本人のお客様がカフェに来たので、その質問をしました。その方曰く、氷河は押し固められた雪が氷になるんだけど、そこにいろいろな方向から力が加わって割れることで鋭く山のようになるそうです。また、時々周囲の山から崖崩れなどで岩石や礫が氷の上に落ちてきて、そのあとに再び雪が積もることで砂や石の層が氷の中に生まれる、とのことでした。
氷の上に乗ることも出来ますが、何せ尖った氷の小山なので滑ります。アイゼンやピッケルがあればどうってこと無いでしょうが、それがないと1mくらいの小さな氷の山に乗るのも一苦労です。また、周囲には大小様々なクレバスが開いています。クレバスは、幅数十センチのものから、数メートルのものが近くにはありました。自分が落っこちるのももちろん怖いですが、携帯電話やカメラなど、小物を落としても回収は不可能なので、注意が必要です。
ところでこの間、のどかカフェに、日本を代表する旅系ユーチューバーのシゲ旅さんが来てくれて、彼にも、ホッパー氷河をおすすめしました。氷河から帰ってきたシゲさんに感想を聞くと、「とても素晴らしかった!」と大絶賛。シゲさんは以前、南米パタゴニアで氷河の上に乗ったことがあるそうで、その時の氷河と比べてどうだったか尋ねてみると、パタゴニアの氷河のほうが白くて、河幅も大きかったそうです。ただ、パタゴニアの氷河は上に乗るだけで4万円くらい払わなければならず、氷河トレッキングのルートも決まっていたそうです。シゲさんはその点、「ホッパー氷河は無料であちこち自由に歩けるのが良かった」、と行っていました。
とにもかくにも、この氷河の上を歩く散歩、とってもおすすめです。ぼくが行ったときは周りに誰もいなかったので、本当に絶景を独り占め状態でした。大自然の驚異を前に圧倒され、少し心細かったのですが。
ホッパーは、宿泊がおすすめ
氷河のあるところまで下って、それなりに氷河を満喫してまた展望台まで戻ってくるなら、それだけで最低3時間くらいかかります。だから、急ぎの旅でなければ、ホッパーに宿泊するのがおすすめです。そうしたら時間を気にせずに氷河の上でお茶をのんだりお弁当を食べたりも出来るし、あと10年、20年経って、観光客がたくさん来るようになればそんなことも出来なくなるかもしれないし、氷河までの途中のトレッキングでも、ゆっくり景色を眺めることができます。
また、宿泊する人は大分少ないようで、夜になると本当に静か。晴れていたら、星月夜を自分だけで満喫できます。僕が行ったときはちょうど煌々と月の輝く夜で、氷河やウルタルの山々が青白く光りとても神秘的でした。ただ唯一惜しかったのは、例の、カフェや宿泊施設を備えた展望台にたくさん電灯がついていて星明りを邪魔していたこと。こういうときにこそ停電すれば月も星もよく見えるのに、と残念に思いました。
辺りには誰もいないので、夏場、マットや寝袋を持っていけば、ホテルの部屋から抜け出して、崖っぷちで夜空を見ながら楽しい夜を過ごすことができます。次回は僕も野営道具一式を持っていこうと思います。
まだまだありそう、ホッパーの魅力
今回は1泊2日だったから、氷河に降りて、あとはほんのちょっと村を散策して終わってしまいました。でも、ホテルの人曰く、ほかにもホッパー村を抱く山にバイクで駆け上がってみるなど、見どころがたくさんあるそうです。個人的には、ホッパー村の田園地帯をもっとゆっくり散策したいと思いました。またさらに、氷河を渡って3日くらい歩くと、ラッシュピークという、比較的初心者でも安全に登れる5000m峰があるそう。今夏カフェを訪問してくれたプロの旅人の近藤瞳さんも登っていました。来年はぼくもそこまで行きたいと思っています。
フンザに来たら、ホッパーでの宿泊もぜひ検討してみてください!!