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29歳になったりコロナになったりかまいたちと電話したり【後編】
前回の記事更新から丸2ヶ月以上空いちゃってるじゃん。でお馴染み、喉笛なるおです。
本当にすいません。
さてさて、年始からあったことざっと振り返ろうシリーズ、ついに完結編です。
年始からとか言ってもう6月になろうとしてます。
なにやってんだか…。
もう6月って早すぎだろ…。
さて、コロナの味覚障害で地獄を味わってから数週間。
私はいつも通り家で仕事をしていました。
すると突然、私用のスマホが音を立てて震え始めました。
電話です。
画面を見ると「非通知設定」の文字。
まさか…
いやいや…
でもまさか…!!!
私は半信半疑でスマホを持ち上げ、応答しました。
「もしもし?」
遡ること3ヶ月前、2022年10月16日。
私は1通のメールを送っていました。
件名は「ヘイ!テレフォン!」
本文は「怪しげなサークルに勧誘されて、アウターをすべて失った話を聞いてください。」
宛先は…
かまいたちのヘイ!タクシー
私は2021年の4月に上京してきました。
上京してから、渋谷のスクランブル交差点やスカイツリー、東京タワー、ありとあらゆる「東京」を感じながら生活していたのですが、それまで住んでいた奈良、兵庫、名古屋とは圧倒的に違うものが1つありました。
それが、ナンパの多さです。
私みたいなものは、人生でナンパをされた経験なんて本当にほぼないと言っても過言ではないくらいなかったんです。
本当になかったんです。
いや本当に。
それが東京にきてから、まーーーーナンパされるされる。
道を歩けばあらナンパ。
立ち止まったらそりゃナンパ。
ナンパナンパのナンパ祭りときたもんです。
そしてそのナンパ男たちは、第一声口を揃えてこう言うんです。
「これ勧誘とかじゃないんですけど…」
聞いたことがあります。
世の中には、怪しげな宗教やビジネス、サークルなんかに若者を勧誘して、お金を騙し取る不届者がたくさんいると。
マッチングアプリでも、自己紹介欄に「勧誘系は一切お断りします。」と書いている男性も多く、友人の中には「実際にアプリで知り合った人が勧誘系だった」という人もいて、とにかく今「勧誘」というのは、特に身近な危険な存在なんだろうということを知っていました。
ただ、私自身は幸いマッチングアプリでも何かに勧誘された経験はなく、たとえ勧誘されたとしても話を聞かずに立ち去れば良いと楽観的に考えていました。
そんなある日。
暦の上では冬も終わりを告げようという2月のこと。
私はその日、付き合って間もない彼氏と渋谷に映画を見にいく約束をしていました。
約束の時間より少し前についた私は、渋谷のスクランブル交差点のTSUTAYAの下で、彼を待っていました。
そんな時。
「あの〜すいません…」
前方から、30代後半〜40代と思われる女性と、20代後半〜30代と思われる男性が声をかけてきました。
男性1人で声をかけてきていたら、おそらくナンパだろうと思って適当にあしらうのですが、見るからにナンパではなさそうなので、「はい」と返事をしました。
すると、
「あの、ケンミンSHOWという番組ご存知ですか?」
そう聞かれ、私は気分が高揚しました。
間違いない、街頭インタビューだ!!!
そう思った私は、
「はい、知ってます!!」
と元気よく答え、
「あ、ありがとうございます!あのよかったらお話し聞かせていただけますか?」
と言うその2人組に、出身地や出身地の自慢、現在の職業、年齢など色々と話しました。
その2人はとても聞き上手で、私も気分よく話していました。
一通り話が終わると、女が言いました。
「ありがとうございました!
あの〜私たち、地方から上京してきた人を集めて、みんなで仲良くなろう!っていうサークルをやってるんですけど…」
めちゃくちゃ勧誘でした。
それはもう見事なまでに。
街頭インタビューと思わせての勧誘。
敵ながら天晴れと思いましたね。
浮かれ気分の地方出身者には1番効く手口なんじゃないでしょうか、えぇ。
そっからずっと、モヤモヤしていました。
奴らは、要は地方出身者を探していたわけです。
どっからどう見ても東京で生まれ育ってない奴を、探していたわけです。
あの大都会、渋谷。
信じられない数の人間が行き交う場所。
そこで「こいつはどっかどう見ても東京で生まれ育ってないな」と思う奴に声をかけたわけです。
それが、私だったんです。
舐められている。
完全に舐められている。
私は東京に舐められている。
そこで私は思いました。
アウターを捨てなければならない。
私が当時来ていたアウターは、今から10年近く前、20歳そこそこの頃に若者向けのアパレルブランドで購入したアウターでした。
そのアウターは中綿がパンパンに詰まったチェスターコートで、兎にも角にも温かかったのです。
あまりの温かさに「布団コート」と名付けるくらい、とにかく温かいコートでした。
とにかく寒い日は布団コートを着ていれば大丈夫というほどに温かかった上に、私はとにかく物持ちがよくコートが傷むことも汚れることもなかったので、私は布団コートを長年手放すことができませんでした。
しかし、どっからどう見ても布団コートのデザインは時代遅れでした。
もう誰も着てないチェスターコート。
20歳そこそこの女子が着るブランド。
しかも30歳目前の女に似合わない薄ピンク色。
なるほど、そりゃ奴らも私を田舎者判定するはずだ。
わかったよ…
捨ててやるよ、何もかも…!!!!!
そして私は手持ちのアウターをものの見事に捨ててやりました。
サヨナラ、布団コート。
私はもう東京の女になるの。
そして月日が経ち、季節は秋になりました。
今年の冬は、近年稀に見る大寒波がくると言われていました。
冬に備えて、クローゼットを開く私。
そこで愕然とするのです。
アウターがない…………!!!!!
私はあの一連の出来事をすっかり忘れて、アウターゼロで最強寒波を迎えようとしていたのです。
これは…
これは…………
かまいたちのヘイ!テレフォンに応募しよう!!!
ラジオリスナーの性です。
面白いことがあったらラジオに投稿するのが当たり前なんです。
それ以来、非通知拒否設定を解除して、かまいたちからの電話を待っていました。
時には謎の中国人からの電話や、変なセールスの電話がかかってくることもありました。
そして時は戻って、2022年1月23日。
スマホが音を立てて震えます。
画面には「非通知設定」の文字。
まさか、まさか…
いや、また謎の中国人からの電話かもしれない…
いや、でも、もしかしたら…
私はスマホを持ち上げ、応答しました。
相手が誰か分からないので、応答してから暫く、黙っていました。
すると…
「もしもし?」
聞き慣れない男性の声がしました。
「…………はい?」
私は自分が出せる最も低く無愛想な声で、応えました。
相手が変なセールスだった場合、舐められてはいけないからです。
「かまいたちの山内です!」
私の心臓は飛び跳ねました。
よく知っている声で、よく知っている名前です。
電話の相手は、かまいたちのお二人だったのです。
心臓が勢いよく脈打ち、全身が熱くなり、手足が震えました。
電話の向こうでは、かまいたちの2人がやりとりする声が聞こえます。
「喉笛なるおさんですか?」
「はい、そうです。」
私は座っている椅子から転げ落ち、オンラインオフィスから退出し、急いでスマホを充電器に挿しました。
まともに座っていることができず、土下座の体制で通話を続けました。
「では、怪しげなサークルに勧誘されてアウターを全て失った話を聞かせていただけますか?」
「あ、はい…」
私は先ほどの一連の話を始めました。
いつ電話が来ても良いように、お風呂場で何度も何度も練習した話です。
ちょっとした笑いどころを交えつつ、ユーモラスに、明朗快活に、面白おかしく話す予定でした。
しかし、
「あの私が一昨年、仕事の都合で東京にきたんですけど…」
と話し始めた瞬間、あっ死ぬ、と思いました。
呼吸が上手くできなくて、息継ぎができないのです。
電話口には憧れのかまいたちの2人。
高校生の時に一緒に撮ってもらった写真を部屋に飾り続けているかまいたちの2人。
かまいたちさんに…
おろもいと思われたい…!!!
その想いが溢れすぎて、緊張に次ぐ緊張をし、プレッシャーと焦りと緊張で頭が真っ白になりました。
そして話の途中で
「すいませんっ…ちょっとドキドキしてしまって…!!」
と言うと、濱家さんが
「いいよいいよ、ゆっくりで大丈夫よ」
と言ってくれました。
濱家さんは、もう、本当に、素晴らしい御仁です。
クソテンパリ素人女にすごく優しくしてくださいました。
しかしその後、落ち着きを取り戻せるわけもなく全く練習通りじゃないグダグダトークをし、オチ前まで来た時に気づくのです。
やばい、メール送った時から季節が変わっている。
私がメールを送ったのは秋。
用意していたのは
「〜で、この冬めちゃくちゃ大寒波くるらしいんですよ。私、アウターなしで大寒波迎えることになりそうです。」
というオチでした。
しかし今は1月の終わり。
もう完全に大寒波迎え終わってるんですよ。
しかも私もうアウター買っちゃってるんですよ。
そして咄嗟に出たのが
「〜で、アウター返せよって思った…って話です」
でした。
濱家さんは「返せよの話だった!」と突っ込んでくれてましたが、体感としては
クソ滑った
という感じでした。
まじで誰も笑ってないと思いました。
その後、山内さんから
「アウター捨てたあとずっと暖かかったんですか?」
など面白指摘もしてもらったんですが、なんか電話口の山内さんの声がブチギレてるように聞こえてしまって、もうヘラヘラすることしか出来ませんでした。
おもんなすぎて山内さんキレさせたと思ったんです。
そして濱家さんも、おそらく作家の森下さんも、忙しいのにおもんない話すんなよクソ素人が。と思っているに違いないと思ってしまっていました。
その後も、「そのサークルに入ってたらどうなってたんだろうね?」という質問に、絶対放送できないような答えをしてしまったり、「かまいたち のヘイ!タクシーですって声かけられても応えたらダメよ」という話にもヘラヘラすることしかできず、
本当にまじでなんもおもろいこと言えないじゃん…
と落ち込んでいました。
そして何も面白いことも盛り上げることもできず、話が終わるぞと言うタイミングで、濱家さんが
「でもアウター捨てちゃったなら、まだそんなにないですよね?」
と聞いてきたのですが、ここでも特にボケることもなく
「はい、2着くらいしか…」
と答えました。
すると、続けて
「モンクレーって知ってますか?」
と質問されました。
私はすぐにピンときました。
「これ、私物プレゼントのやつか!!!
もしくは、今日のロケがたまたまモンクレーで、リスナープレゼンで提供してくれたのか!?!?いや、待てよ、もしかして、モンクレーがスポンサーについたのか!!!!
なんにせよ、
モンクレーがもらえる!!!」
そして勢いよく「はい!知ってます!!!」と答えると、濱家さんは「欲しいですか?」とさらに聞いてきます。
貰えるもんはなんでも欲しい、でお馴染みの私なので、「はい!欲しいです!!」と答えると、濱家さんは「自分で頑張って買ってください」と言われました。
私はなんか、濱家さんとイチャイチャしたような感覚になって、なんだかんだとても嬉しかったです。
でもモンクレーはマジで貰えると思ったので、「本当にもらえると思いました…」と告げて、電話を終えました。
体感としては、かまいたちさんの前で滑り続けた数分間、という感じでした。
そしてその興奮状態のまま仕事に戻れるはずもなく、姉や友人に起きた出来事をひたすら説明する時間を過ごしました。
そして2週間後の月曜、2月6日。
ついにヘイ!テレフォンが放送になることをTwitterで知りました。
オンエアを聞いて、まずめちゃくちゃビックリしたのが、自分の声がキモすぎるということ。
そして、電話で話してた時よりも全然滑ってなかった。
山内さん、キレてなかった。
あのグダグダしたとことか、言っちゃダメなこと言ったとことか、すごい綺麗にカットしてくれてる!!!
そして最後、めちゃくちゃ笑ってくれてる!!!!
とにかくもう、編集の素晴らしさに感動しました。
面白いとこだけ残して、私のグダグダとか何もなかったかのようにして、やっぱ、プロってすごい。
濱家さんも山内さんも、面白くなるように話引き出してくれて、天才すぎる。
濱家さん、山内さん、編集の方、本当にありがとうございました。
そして驚きだったのが、濱家さんが「明らかに良い子なんやな」と言ってくれたり、Twitterでも「可愛い」とか「純粋」とか「良い人そうで心配」とか、めちゃくちゃポジティブに捉えてくれてる方の多いこと!!!
ただ単に
テレビでたい!!!タダでモンクレー欲しい!!!
という、とんでもなく強欲で意地汚い人間だというのに…
皆さんこそ騙されやすいのでは…
とにかく、本当に貴重でめちゃくちゃ素晴らしい体験をさせていただきました。
もう、本当に
かまいたち最高!!!!
もちろんこれからも応援し続けます!!!
そして、上京してきた地方出身者の皆さん
弱いアウターは直ちに捨てましょう。
それではここで一曲聴いてください。
The Black Eyed Peas で「 Pump It 」