れいわ新選組の規約改正 -山本私党脱却いまだ見えず-

れいわ新選組は、今月12日の「れいわ地下二階B2サンデー」で代表山本太郎が言及していた課題の一つである「規約改正」を総会を開催しておこなったと22日に公表した。これは二段にかけておこなう規約改正作業の一段目の改正ということになる(二段目は衆議院選挙後を予定とのこと)。

筆者は支持者の立場から、過去記事『れいわ新選組の岐路 -山本私党からの脱却-』で、れいわが「山本私党」のレベルから脱却するために最低限必要な規約案(組織改革案)を提案していたが、結論から言えば、残念ながら今回の改定では脱却への道遠しと言わざるをえない。というのは、もっとも重要な組織改革(要するに党内民主主義の確保)がスルーされているからである。その組織改革は上記の規約案を補足すれば以下のようになる。

◉ 党は党員で構成し、党員が党の方針を決定する権限を持つ
◉ 党員は地域総支部で活動することを基本とする
◉ 党を地域総支部の連合体として組織する
◉ 党の執行機関は代表を含む党役員会とし、議決機関は党員総会、地域総支部総会とする
◉ 党の最高議決機関は党員総会とする
◉ 代表を含む党役員の任期は二年とする
◉ 党役員の選出、罷免、再任等は党員総会で決定する
◉ 事務局は党役員の下に設置し、専従者選定と処遇は役員全員で決定し、総会の承認を必要とする
◉ 支持者、ボランティアに党活動への参加制度を設ける

では今回の規約改正はどうだったか。上掲の規約案と比較してみると以下が指摘できる。

第一に、党員制度は完全に見送られている。第二に、(地域)総支部の活動と権限にまったく触れられていない。第三に、役員会などの党の執行機関は設けられず、したがって執行機関と議決機関は代表と総会であいまいに分担されたままになっている。第四に、代表の選出は規定されているが解任の規定がないままである。第五に、新しく副代表制が導入されたが、その選任は総会ではなく代表権限となっている。第六に、党は従来通り、議員と立候補予定者で構成されたままだが、構成員の権限が総会招集権以外はまったく規定されていない。第七に、党事務局は従来通り代表権限の下に置かれたままである。第八に、離党には総会の承認が必要とされているが、党から脱退するのは自由であるべきで理論的にもおかしい。第九に、支持者、ボランティアの党活動参画については完全スルー。

要するに、ほんらい規約改正でやるべきだった重要な組織改革にほとんど手がつけられておらず、その結果、れいわの「山本私党」状態、換言すれば「代表独裁制」はほぼそのまま維持されている。これをどう考えるべきだろうか。

党員制の導入を含め、重要な組織改革はいちおう「れいわ地下二階B2サンデー」では言及されていた。だから「今回は見送ったが、衆議院選挙後の第二段目の改正に織り込む予定だ」との釈明もありえる。しかし、かりに時間的制約などの理由があったとしても、支持者のれいわ離れが進行している現状で、またアベ政権の末期が近づき、立憲と国民の合流で野党の布陣が大きく変わりつつある政局で、公党への脱皮に必要な重要な組織改革に手を付けなかったのは、あまりに危機意識が欠けていると言わざるをえないし、常識的にはありえない。さらには、重要な組織改革があまりに見事にスルーされているので、スルーは意図的ではないか、つまり本音のところでは「代表独裁制」を維持したいのではないかという疑念さえ浮かぶ。それゆえ今回の規約改正は、支持者の期待を裏切るものであり、残念ながら支持者のれいわ離れにブレーキをかけることにならず、逆に加速することになるだろう。かりに時間的制約などが主たる理由で第二段の改正には「代表独裁制」改革を含む重要な組織改革を盛り込む予定なのであれば、(危機意識のなさには呆れるしかないが)その予定を明確に支持者に告知すべきと考える。

ここで一つだけ補足しておきたい。立憲と国民との合流は、結果として国民の代表を務めていた玉木雄一郎氏が合流せずに分党し、新党を立ち上げることになりそうだが、先日、山本太郎氏が、国民の山尾しおり議員、立憲の須藤元気議員、立憲を除名されている高井崇志議員が会談し、これには玉木雄一郎氏も参加予定だったという報道が流れた。真偽のほどは分からないし、玉木氏も報道を否定しているようだ。しかしかりに会談が事実であり、それが反緊縮を旗印にしたれいわと玉木新党との合流や、合流まで行かなくても何らかの形で連携をすることを目指したものであれば、それが明らかになった時点で党としてはもちろん社会運動としてのれいわは新選組は完全に終焉することになるだろう。なぜなら早晩玉木新党は、維新と協力し、自民の別働隊として「憲法改正」に加担することになるだろうからである。これは悪夢のようなシナリオであり、そうならないことを望むが、今回の規約改正をめぐるれいわの危機意識のなさから判断すると完全に否定することは難しい。支持者としてはさらにれいわに距離を置くことになるだろう。




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