コロナでなぜかくも悲惨な結果になっているのか

以下は9月17日にツイッターにあげたコメントをまとめ、一部加筆したものです。

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そもそも昨年2020年1月末に発生したダイヤモンドプリンセス号のコロナウイルス感染状況から、感染症の専門家であれば「空気感染」の可能性は推測できたはずだし、その裏付けを取るため模擬的な実証実験もできただろう。そして飛沫感染とともに感染経路として空気感染が確認できれば、❶積極的なPCR検査で無症状者を含め陽性者を早期発見し、❷臨時医療施設へ収容隔離し、❸部分的ロックダウンを含む封じ込めを実施することなどを最も実効的な対策として採用できたはずである。

しかし政府と専門家会議は、空気感染を「ありえない」と頭から否定し、さらにPCR検査の拡大を妨害し、濃厚接触者を追うクラスター対策が最も効果的だとして部分的ロックダウンもやらなかった。その結果、ダイヤモンドプリンセス号内の感染拡大を防げなかっただけでなく、国内へのコロナウイルスの侵入を許してしまった。

だが、政府はこの初動対応の失敗を認めず、感染経路を「飛沫感染」と断定し、クラスター追跡戦略を採用し続け、濃厚接触者のみPCR検査とし、かつ「発熱後4日間自宅待機」を事実上強制し、臨時医療施設は建設しないという完全に誤った対策を取り続けた。

しかも、世界各国の陽性者初期治療の試みから学ばず、「コロナウイルスに早期治療法はなくやれるのは発熱を抑え、肺炎の重症化を抑えることだけであり、根本的な治療法はワクチンしかない」としてワクチン一本槍路線をとった。この路線がワクチン接種まで陽性者を放置することになり、結果、医療逼迫中等症患者の自宅放置を生み、かつすでに海外で報告が上がっていたワクチン接種副作用への対応を遅らせることになった(現時点でもこの対応は整備されていない)。

さらに、ワクチン一本槍路線はワクチン万能論を含むものであったため、陽性者早期治療をなおざりにしただけでなく、イギリス、アメリカ、中国などではすでに専門病院が開設されているにもかかわらず、コロナ長期後遺症(long_Cov19)への対応も大幅に遅らせる結果をもたらした。

かくてパンデミック抑制に失敗し、アジアでもフィリピンに次いで最大の感染者を出し、結果として首都圏と大阪で医療崩壊を招くことになったのである。極め付けは、医療崩壊の進行を止めるためという理由で、厚労省が「中等症以下の感染者は自宅療養を原則とする」として、感染者の自宅放置=棄民を公然と宣言したことであった。

このような経過を振り返ると、アベスガ政権は、最初からコロナ対策に真剣に取り組んでいなかったことは明らかだろう。その理由は、彼らにとって本年7月からのオリパラ開催が至上命題であり、それが全てに、したがってコロナ対策にも優先していたからに他ならない。

さらに、コロナパンデミックを利用して(災害に便乗して)、まるまる2ヶ月も国会を開催しないまま(これは明白な憲法53条違反)、例えば国民管理のためのデジタル庁設置などさまざまな悪法を準備導入してきた。アベスガ政権にとってオリパラ開催を含め「政権維持」が最優先であり、国民の命と生活を真剣に守る気がないことはコロナ対応で露呈したというべきである。

アベスガ政権の姿勢は、国の体制が違うとしても、中国、台湾、ニュージーランドがとったコロナ対策と比較すれば明らかとなる。たとえば直近ではニュージーランドではデルタ株陽性者一人を発見した直後、ただちに全土で1ヶ月のロックダウンを決定し、迅速に動いた。

中国も、PCR検査で陽性者を無症状者を含め徹底的に洗い出し(その規模は全市、全省レベルで数百万人に及ぶ)、発見すれば隔離と治療を行い、絶対に感染拡大させない体制を構築している。これらの国では国民の生命を感染危機に晒さないことが最優先課題になっていることは明らかである。

なぜアベスガ政権のコロナ対策がかくも無残な結果(治療を受けられず、自宅放置で亡くなる人たちはおそらく2,000人に及ぶのではないか)を生んだのか。先に指摘したように政権維持を最優先としていたことが最大の理由であるが、それに加え、あらゆる対策が厚労官僚、医師会、さらに製薬業界や財界などさまざまな利害関係団体(利権団体)との調整でがんじがらめになっており、素直に科学に頭を下げる(従う)ことが不可能になっているからだ。

およそ科学に従うことなくして、一貫性のある、そして誤ったときにはすぐに軌道修正できる対策が取れるはずがない。

このコロナ対策の顛末は野党連合政権ができれば暴かれることになるだろう。しかし仮にそうはならなくとも、今後の感染症パンデミックに科学的に迅速に対応するために国会か在野で「コロナ対策検証委員会」を設け経過を徹底的に洗い出し、尻身をはじめ専門家チームでPCRデマ、空気感染デマなどを流した人間たちの責任を追及しなければならない。

9-17.2021

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