改めてれいわ新選組規約を考える

もともと、れいわ新選組が政党としての組織を持たないのは、大野党構想の中で(独立した政党ではなく)触媒組織として位置付けられていたからではないかという疑念を持っていたが(note『一つの疑念』)、その後、「いや、れいわは中心のない『党ならざる党』を目指しており、これまでの政党のような組織がないのは当然」という安冨歩氏が代表する見解が実態ではないか(note『安冨歩氏の組織論と推測訂正』)と思い直し、現在に至っている。

だが、改めてれいわ新選組の規約を見て、少々愕然とするところがあったことを書いておかなければならないと感じる。規約は短いので、以下引用する。

第1条 本党は、れいわ新選組と称する。
第2条 本党の主たる事務所は、東京都に置く。
第3条 本党は、れいわ新選組綱領及びそれにもとづく政策の実現を目的とする。
第4条 本党は、国会議員及び国会議員予定候補者で構成する。
第5条 本党の議決機関は、総会とする。
第6条 本党に代表を置く。
第7条 本党の代表のもとに、事務局を置く。
第8条 予定候補者は、代表が選定し、総会の承認を受ける。
第9条 予定候補者は総支部を結成することができる。
第10条 本党の経費は、寄附金、事業収入、政党交付金及びその他の収入をもって充てる。
2 本党の会計年度は、1月1日から12月31日までとする。
第11条 本規約の改廃は、総会において決定する。
第12条 本規約に定めなき事項については、代表が決定する。

ご覧のように、れいわ新選組は、国会議員と議員予定候補者のみで構成され、一般党員は存在しない党である(第4条)。また議決機関は総会とされ(第5条)、党には代表が置かれ(第6条)、代表が議員予定候補者を選定し、総会の承認を受けるとされるが(第8条)、代表は総会で選出されるのか、任期はいつまでなのかは書かれていないし、総会の権限も予定候補者の承認以外は明記されていない。代表と総会の意見が対立した場合、最終決定はどうなされるのかも不明。また予定候補者は総支部を結成できるとされているが(第9条)、それがどんな権限でどんな組織かも書かれていない。さらに、支持者や後援者との関係についての規定もない。

さすがにこの規約を「党ならざる党だから」という理由でそのまま肯定することはできないだろう。とりわけ代表の選出手続きや権限、任期が書かれていないのは致命的な欠陥である。なぜならこの規約では、代表である山本太郎を制約するものが何もなく、事実上彼が党を独裁するからである。たとえ山本太郎の指導性を誰も(議員や支持者の大多数)が認めるとしても、およそ党の代表が党内の手続きによらず党の上に君臨し、独裁を肯定するのは近代政党とは言えない。愕然とするのはここである。

しかし、だからといってれいわを頭から否定するのは早計だろう。政党として致命的な欠陥があり、したがって早急に欠陥を克服する必要があるとしても、れいわがめざしている方向は間違っておらず、また「党ならざるカオスとしての党」が社会運動の新しい可能性を持つことは確かだからである。カオスとしての党であれば、今後、運動の中で議員や支持者たちが欠陥を克服していくことになるだろう。

12/25 2019

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