ジムキャリー主演「マスク」山寺宏一さんについて

こちゃんはこの映画が子どものころ大好きで、セリフ覚えてしまうくらい観てた。
金曜ロードショーでの地上波放送のものをビデオに録画して何度も観た。声優を目指すきっかけになった作品でもある。

山ちゃんの持ち味は何といっても七色の声だけど、実際真似して自分の声を録音してみても、声色や音色は変わっても山ちゃんみたいにコロコロ変わらない。そして、無理に変えようとしても喉を潰してしまう。

声というのは、肺から出した空気が喉の声帯を震わせて音になり、口の中で色んな響きになって唇の形で言葉になる。

大きな高い声の「あ」を出すのであれば、肺から多くの息を出して声帯が細かく震えて口の形が大きく開くから「あ」と高い音が大きく聴こえる。体は楽器なんだね。

山ちゃんは、「息の量の変化」「声帯の震わせ方」「口の中でどこに空気をぶつけて響きを変えるか」「唇の形で明確に言葉を伝える」種類を自由自在に組み合わせて色んな声を出してるのね。

これは勝手な考えだけど、山ちゃんは特に「音の高低」と「口の中の響き」の種類がえげつないんだと思うのよ。だからとんでもなく色んな音が出せる。

山ちゃんの何かのインタビューで、イルカの音は出せるけど、喋れない、喋れるようにしたい的なことを言ってた。声帯を限りなく震わせて「高い音」にして、喉の奥と前歯の辺りに息を当てて「響き」までは模写できるけど、それを唇を使って明確な「言葉」にはできないんだと思う。

声のことばかり言ってるけど、山ちゃんのすごいのは、ただでも声を変えるのに意識や集中力を使うのに、「相手役との会話にも自然に対応している」んだよね。

芝居でセリフの掛け合いをするのって、相手の出方を見て、その役で反応して、言葉をかけなきゃいけないけど、はちゃめちゃに集中力がいる。だって台本は決まってるのに感情はその時相手からの言葉で反応しないといけないから。しかも、声優ともなると映像の中の役者とも合わせなきゃいけない。いや、縛り多すぎやろ。

多分、最近の声優や知らない声優でも色んな声を操るのが上手い人は多いと思う。でも山ちゃんは、「この人ならこんな声も出せるだろう」ってブランドを身につけて、それを披露する場を得ているのもデカいんじゃないかな。

「僕は器用貧乏です」と謙虚に言っているところを見たことあるけど、いやいやあんた器用は器用でもひとつひとつのクオリティが高すぎるのよ。実力もあって良い人とか、ほんといい加減にしてください。

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