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「母親の呪縛」を解く旗振り役になりたい。女性起業家/インフルエンサー/そして母…明石奈々が語る想い
Profile
氏名 明石奈々
会社名 株式会社MamaLady
出生年 1988年
略歴 1988年札幌生まれ。妊娠中だった2014年に始めたブログをきっかけにインフルエンサー、モデル、ママ会イベンターとして活動。ママ会(MamaLady Party)では披露宴会場等を使用し、ドレスコードを設けるなどの「豪華路線」を打ち出し、札幌ママたちから絶大な支持を受ける。2018年、株式会社MamaLadyを設立。2019年には札幌を飛び出し、東京・銀座の「GINZA SIX」で”ママ会”を開催した唯一の人物。さらに、オシャレな箱に育児用品を詰め込んだ”頑張るママへのプレゼント”「MamaLady Box」は北海道ママを中心に年間1,500個配布されている。SNS総フォロワー約3万6210人
interviewer
たいようママ
「ママになってからの人生を思いっきり楽しもう!」
そう声高に語る明石氏の元には未だに否定的な声が届くこともあるという。
「母親は家で家族のために献身する存在」
「母親は子どものために自分を犠牲にすべき」
ジェンダー平等を掲げる現代でもそんなステレオタイプが根強いことを痛感させるエピソードだ。
そんな状況を打開しようと2018年に設立されたのが明石奈々氏が代表を務める株式会社MamaLadyだ。子供向け・ママ向けだからと言って「可愛いクマさんにウサギさんのデザイン」でなくても良い。世のママたちの「憧れ」となるようなスタイリッシュで洗練されたデザインで「ママレディ(自己実現していて人生を楽しんでいるママのこと)を増やす」ことを掲げている。
自身はインフルエンサーでモデルでもある。まさに「ママレディ」を体現している明石氏の起業に至った経緯や想いについて伺った。
ー【聞き手:たいようママ、以下:ママ】株式会社MamaLady様のミッションは「ママになってからの人生を思いっきり楽しもう!」だと拝見いたしました。そこには、どのような意味や想いが込められていますか?
ー【話し手:明石氏、以下:明石】自分の母がものすごく真面目な人で、すごく一生懸命私を育ててくれましたが、「頑張りすぎ育児」の代表例のような人で。育児日記とかもびっしり書いているし、「本を読むのが良い」と聞いたら私に毎日10冊とか読んでくれましたし。私が欲しいものがあって家計が足りなかったらアルバイトにまで行って買ってくれました。本当にものすごく頑張って育ててくれたんです。
しかし、それがプツっと切れてしまったんだと思います。ある日、料理を作っている途中にいなくなってしまったんです。そこから、「家事や育児は頑張ってくれなくても良いから、お母さんが笑ってくれているほうが良かった。」と強く思いました。ただただお母さんが笑ってくれていれば、そのほうが幸せだったな、と思いました。
しかし、自分が母親になってみると、「”母親はちゃんとしなきゃ”という呪縛」があることに気が付きました。子どもからしてみたら笑っていてくれるだけで幸せだったけれども、それ、難しいぞ!と気づいたんです。
ママが自分を輝かせるために、自分のために自分の時間を使って自分のことを考えること、出来ますか?と言われたら、出来なくないですか?罪悪感もあるわけです。いらないんですが。誰かが旗振り役になって、「ママだって楽しんでいいんだよ。ママになってからの人生楽しもうよ!」って言ってくれる人とかコミュニティーとか組織とかがないと実現できないんじゃないかな?と思ったんです。
そのため理念を「ママになってからの人生を思いっきり楽しもう!」にしたのですが、その裏には日本はそういう理念が必要な社会である、というマイナスな部分が隠れているということです。
自分も母親になってみて、いかに母親になってから自分が自分の人生を楽しむことが難しいか、と思いました。だって、「良い母親」になりたいから。
「自分の人生を楽しむこと」と「子どもの人生をないがしろにすること」はイコールではありません。でも、どこかに罪悪感を持っているのが母親だと思います。
ー【ママ】いまお話しをお伺いして、母親が人生をいわゆる「謳歌」するという価値観自体に罪悪感を持つ女性が現状では多いと理解しました。それを打破するための「旗振り役」になりたいとおっしゃっていましたが、「旗振り役」になるために具体的にされていることはありますか?
ー【明石】まず、分かりやすいキャッチーなイベントをすること。ママたちが主役になることで、ママたちが自分の人生を楽しんでいるんだ!と(実感できる)。
もう一つはSNSです。私は自分のSNSでもそうですが、楽しいことしか発信しません。「ママレディ」=「明石奈々」のイメージになっていると感じるので、自分自身が一番「ママになってからの人生を楽しんでいる」ことをアピールするのが大事かな?と思っています。
もう一つは補足的ですが、周りにいる人たちがママになってからの人生を楽しめるように、相談に乗ったりですとか、すごく小さなことですが、出会った人や、知り合ってくれた人や、SNSでメッセージくれた人とか全員に対して、悩んでいたらすごく丁寧に向き合います。そういうところから始まると思うんです。
ー【ママ】なるほど。小さなことに思えても結果的に長年の積み重ねで変わっていくんですね。
ー【明石】そうです。そのため、24時間、全部の自分の発言とか行動とか、全てが「ママになってからの人生を楽しむ」という軸で私は生きています。
ー【ママ】なるほど。
ー【明石】自分の軸と会社の軸が一緒だからその人生を生きれるんです。きっと。もし会社の軸と自分の軸が違ったら難しいと思うんですが、24時間やり続けるのが。私がそこが一緒なので24時間明石奈々だし、24時間ママレディだし、24時間人生を楽しめるから、多分みんなが感化されてくれるんだと思います。
インタビュー後記
実母とのエピソードから「母親は家族のために生きるべき」という価値観に疑問を持ち、社会を変えるために熱心に活動を続けている明石氏。筆者も子を持つ母として「子育てと自己実現のバランス」に悩んだ一人である。時に逆風が吹く中で既存の価値観に果敢に立ち向かう姿は、「良い母親像」に揺れる母親たちに気づきとキッカケをこれからも与えていくだろう。一人の母親として、全力で応援していきたい!
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