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スピーチとスカートは短いほうがいい

「スピーチとスカートは短いほうがいいよネ(The shorter, the better)」

周りに聞かせるようにつぶやいて、ウィンクしてきた年配の男性。

レセプション会場で、誰か「エラい人」のスピーチがおこなわれているとき
横にいた70代くらいの男性が言った。元議員らしい。

周囲の女性陣はとりあえず口の端を上げながらも、目は笑っていない。こいつあとでしばいたろか、という暗い炎がゆらゆらしてる。そりゃそうだ。
こういうのは苦々しく思ったほうがいいのかもしれないな...
 
でもなぜか・・・既視感が・・・このおじさんに親近感が。
 
そうだ!

私たちもまったく同じこと言ってたー!
 
その昔、女子高生だったことがありました。

みんな思ってた。
 
「制服のスカートは短ければ短いほうがいいに決まってる!」
「先生の話は短いほうがいい!」
 
制服のスカートはウェストのところでクルクル折ってとにかく短く。

始業式や卒業式、先生の話はどうして長いんだろうな。少なくとも、本人が「しゃべるのが好き」ならそーなんだ、仕方がないねと思うんだけど、PTA会長なんて、人前でしゃべるのがめちゃくちゃ苦手そうなのに、下を向いて一生懸命、長い原稿を読んでいるのが不可思議だった。

当時、思った。

もし将来自分が人前で「挨拶」することになったら「こんにちは!おめでとう!さようなら!」と颯爽と壇上を去りたい。カッコいいだろーなー。拍手喝采だろうなー。

その機会はまだ来ていない。
 
スカートもスピーチも短いほうがいいに決まってる。
 
50代の友人は「私たちのころはさー、長いのが流行りだったよ」という。

長く?スカートを長くするって、どうやるのだ?水につけて引っ張るのか?

と聞くと

「家ではできないからさー、そういうのやってくれるところがあるんだよ」という。店の名前を出せないところがリアルである。

短くするより、気合もお金も手間もかかりそうだ。
 
私が中高6年間通ったのは「皇居に一番近い」という枕ことばがつく女子校でした。

毎朝3000人の13-18歳の女子が一点を目指して黙々と歩くわけです。ちょっとすごいですね。
鳥瞰図で見てみたい。なんかその一帯だけボワッと温度が高くなってそうだ。

教室のすぐ外に高速道路が走っていて、しかも校舎周辺では「にっきょーそーはーんたーい!」の街宣車が頻繁に通るため窓を閉め切っていることが多かった。

「だからうちは東京で冷房を完備した初めての学校なのです」

と先生が言ってたけど、真偽のほどは不確かであります。
こっそり冷房完備する学校だってあるだろうし、そんなの分からないよね。

「うちの調理実習室は全国一きれいなのだ」

というのもよく聞かされた。

『全国中高調理実習室ピカピカコンテスト』なんてのがあったりするのか。

たしかに調理実習の後の片付けチェックは厳しかったです。班ごとにチェックされてOKが出なければ何度でもやり直し。鍋に水滴がついているだけでハイやり直し。次の授業に遅れることもよくあったなあ。よくやったなあ。実習室の清掃まで懐かしく思えるとは。時間の浄化作用はすさまじいですね。どこまで過去を美しくしてくれるんでしょう。

もとい、制服。
友人は「制服はさ、そのままで天皇陛下に会うこともできる便利な服なんだよ」と言っていた。制服は便利。制服に感謝もしなかったことが後ろめたい。いつもトーゼンそこにあるものとして粗雑に扱ってしまったことが少々悔やまれる。もうどうしようもない。

気づけば今はユニクロのジーンズと、ユニクロのTシャツが制服です。

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