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【第32回】 2021年9月リリースの Apple の Mail Privacy Protection (MPP) - メールプライバシー保護機能について

2021 年 9 月リリースの「メールプライバシー保護」機能は、メールマーケティングにおいて重要な機能です。この機能について Salesforce Marketing Cloud と関連付けてその意味を探っていきます

※ この機能をすでに理解している場合は、読み飛ばしてください。

■ 機能概要

2021 年 9 月にリリースとなった「メールプライバシー保護」機能は、iOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey 以降のアップデートで追加された機能で、メール購読者が任意でこの機能を有効化することで、メールの送信者に対して、メールの開封情報を知られないようにしたり、購読者の IP アドレスを隠し、送信者が IP アドレスを使って、ユーザーの位置情報を把握したり、プロファイルを作成したりできないようにしたりする機能です。

この機能は、Gmail など、他のメールドメインに関わらず、Apple Mail アプリから開いたメールすべてに影響します。つまり Apple Mail アプリで Gmail のメールアドレスを管理していれば、Gmail のメールアドレスも対象になるいという意味になります。

また、ある購読者が Apple Mail の利用者であるかどうかは、メールアドレス自体からは判断できません。

■ MPP の技術的仕組み

  1.  メールホスト(Yahoo や Google など)から、Apple に対してメールのダウンロードが指示されます。

  2.  Apple はランダムなタイミングで(すぐに、または数日後に)メール内のすべての画像をダウンロードし、Apple プライバシーキャッシュの新しい場所に画像のコピーを作成します。

  3.  このキャッシュのプロセスにおいて、Apple は Salesforce Marketing Cloud に対して「オープントラッキングピクセル」を含む画像を要求します。この結果、Salesforce Marketing Cloud 側ではメールが開かれたと判断します。

  4.  後に、購読者が実際にメールを開くときには、メールの画像をダウンロードして表示する要求がなされますが、これは Web ホストや Salesforce Marketing Cloud のサーバーから送信されるのではなく、Apple キャッシュから送信されます。

■ 技術的な補足

  • 画像ダウンロードのタイミング(開封時間)は「ランダム」となります。ちなみに Gmail アプリでも、開封状態になることは知られていますが、こちらの場合、タイミングはランダムでなく「即時開封」となります。

■ Apple Mail アプリ・・・ランダムな時間に開封となる
■ Gmail アプリ・・・即時に開封となる

■ 何ができなくなるか

  • メールを開くことに依存する自動化されたジャーニーは、再設計する必要があります。

  • 開封情報を使用して勝者を決定する A/B テストの件名テストは、機能しなくなります。

  • Einstein 送信時間最適化機能(Einstein STO)が、不正確になります。

■ 今後どうなると予想されている?

Apple Mail の開封率は、ピーク時で 75% となると予想されています。これは日本のみではなくグローバルデータ基準となります。プライバシー設定をオフにする人もいるので、今後も 100% にはならないでしょう。

■ 考察

今後、開封数、開封率、CTOR を、唯一のパフォーマンス指標にするべきでは無くなりました。クリックやコンバージョンなどの他の指標をレポートに含め、それらを強調することが必要となります。

一方、メリットとしては、MPP によって画像がキャッシュされるため、メールアドレスが有効であることが分かります。したがって、本当の開封数や開封率は表示されなくなりますが、本当の購読者は表示されるようになったと言えるでしょう。

■ 引用

■ Salesforce社の記事
https://www.salesforce.com/blog/apple-privacy-changes/
■ Litmus社の記事
https://www.litmus.com/blog/apple-mail-privacy-protection-for-marketers/

今回は以上です。


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