#俺とアイマス 初春の怪談~SideM 3rdLIVE視聴感想~
https://www.youtube.com/watch?v=K349QsBNMBw
■先週の日曜日のことだったんですけどね。
「ええと、どこから話しましょうか」
「わたくし、少し前から副業を始めまして。ええ、アレです。アイドルのPってやつで。これくらいの歳になると若い女の子の気持ちはあんまりわかりませんで、男衆の面倒みることにしたんです。315プロダクションってところで仕事させてもらってます。担当は……もしかしたらわたくしよりも詳しいんじゃないですかい?"もふもふえん"って子達でさぁ。いやあ、かわいい。身を固めるのが遅れてるもんで、なんだろうな、息子がいきなり三人できたみたいでもうかわいくて仕方ないんです」
「なんだいそんなうんざりした顔をして。本題に入れって?あぁ、まぁ、いいや。先週の日曜日のことだったんですけどね――」
■THE IDOLM@STER SideM 3rdLIVE TOUR ~GLORIOUS ST@GE!~』幕張DAY1配信 感想
「なんでも、その日は6時間ばっかりSideMのアニメ第一期をぶっ続けで流してから休憩を五分挟んで3rdLIVEの初日を流すってんで楽しみにしていたんですよ。ええ」
今冷静になったんだけどもうこの段階で怖いな。
「失敬、冷静になっちまいました。それでだ、その日はわたくしちょっと体の調子崩してまして、歳も歳だ、ぶっ続けで六時間供給され続けたら神経どころか何らかの内臓疾患になると思いましてね、あとで円盤買うなり借りるなりしようってことでのんびり作業ゲームやりながら休日を過ごしておりました」
「で、そういや19時からわたくしの担当も上がるライブじゃねえかと。同僚のPからも浴びろ浴びろと言われてたもんで、急いで身支度して配信URLにアクセスしてみたんですよ」
「コメ欄の子たちが元気でねえ。多分六時間完走してたんでしょう、そりゃあもう熱がすごいものでした。引きはしませんでしたが単純に怖くなったわそのタフネスに。アイマスのPは改造怪人か何かか」
「すいませんねえ。つい我に返っちまう。わたくしは昔はKEMURIやら陰陽座やら色々まあ箱に通ったもんでして、畑違いのところから久しぶりに腰据えてライブ映像を観るってんでワクワクと緊張が走りました。そりゃあこの歳でそんなものをまた持てるとは思いませんや。いやあ、ありがたいことです」
■※この感想文はセットリストへの言及などはなく、中年男性の驚愕が記されています
「まず、現場のPたちの練度が本当に高い。訓練されているっていう言葉以外わたくしには思い浮かばなかった。幕張のキャパシティでその練度は尋常なことじゃあない。このご時世で色々制限かかることでしょうが、まずこの子たちなら大丈夫だろうって確信しましたね、わたくしは」
「――そして、幕があがったんですよ」
「まずド頭の全員集合の絵が強かった。それでもう掴まれましたよ。わたくしはまあこんな歳だ、それなりに色んなライブパフォーマンスも観ましたし、何なら昔は……ああ、この話はよしておきましょう。彼らに失礼だから」
「そして各ユニットのパフォーマンスが始まるんですが。あんた、信じられるかい?演者が幕張クラスの箱と勝負できるほどの地力を出してかつ役のオーラを放ってパフォーマンスにムラが出ないんだ。あたしゃ震えました。何なら後悔しましたよ……心のどこかで、ああ、敢えて悪い言葉使いますよ。ナメてた。認めますよ。あたしは本気で生きてる、本気でやってるあの子たちをナメてた。このレベルのパフォーマンスを現場で浴びたらあたしゃどうなってたんでしょうかねえ。若い子に手当てしてもらわないといけなくなってたかもしれませんねえ」
「みんな素晴らしかった。ええ、あたしゃ自分の担当以外の子たちについてはそこまで詳しくはないんでそれぞれのユニットにどうこう言う野暮はしません。その上で、特にカマされたのは神速一魂、彩、F-LAGS、Legenders、High×Jokerあたりですかね」
「Jupiter?ああ、ええ、一応歴史は知ってる身だ。だからこそここで語るべきことじゃない。あたしはあのパフォーマンスを観て想いが溢れてる子たちに"良かったね"と言ってやるだけです。謙遜でもなんでもなく、本格的に踏み込んだのがつい最近なんだ。あたしが口挟むことじゃない。ただ、素晴らしかったと。それだけです」
■初春の怪談~もふもふえん担当はその時何を見たのか~
「なんだい、あんた。さっきから首かしげて。ああ……あたしの担当の話ですか。そうですね、そろそろ話しましょうかね」
「始めの演者挨拶であたしは"ふんふん、こんな子たちなのか"ってくらいの認識だったんですよ。それで素晴らしいライブを観ていくにつれ"このレベルで担当のパフォーマンス来たら死ぬ"って本気で思ったんで、人生で初めてこんなTweetしたんです」
「あたしは本気でTweetしました。初見のライブのセットリスト教えろっていうとんでもない野暮をTweetしたんですこのあたしが。笑っちゃいますよねえ。どうしたんです?笑っていいところですよここは。笑えよ。なあ」
「で、優しい同僚Pから防御タイミングを教わって、楽しみつつも衝撃に備えてたんです。ええ、腹をくくるってやつですよ。このあと担当が上がる。どういうパフォーマンスが来るんだってね。いやあ、予想も想像もできやしない状況で怖かった。本当に、多幸感に溢れる恐怖でした」
「そして――もふもふえんのパフォーマンスが始まったんです」
「そこからあの子たちのパフォーマンスが終わるまで、あたしは、よく覚えてないんです。まず、ステージに演者が居なかったんです。何を言ってるんだって?あたしもそう思います。居なかったんです。そこに担当が居たんですよ。あの子たち三人が。何度も記憶の演者の姿とステージを照らし合わせました。一致しない。一致しなかったんだ。どうしたんです?あたしは正気だ。正気だから今これを打つ手が震えてんだよ」
「その後のライブも楽しみましたよもちろん。最高のライブだったと言い切れる。アンコールまで含めて、満喫しました。だけどね――未だにあの時あたしが何を見たのか確証がないんだ。あのパフォーマンスは一体なんだったのか。理解を拒絶してるわけじゃあない。そうか……ああ、そうなんだな」
「理解を、超えられたんだ」
■「どうしたんです?そんなおっかない顔して」
「ねェ?怖かったでしょう」
「で、実はあたしの話、もうひとつの本題があるんだ」
「一番最初に張ったURL――アレ、そのLIVEのアーカイブだ」
「一週間限定です。ねえ、あんた。あんたもあたしと同じところに来ませんか。来ちまえば怖くないですよ。記憶の外でスマホにアイマス各種アプリがいつの間にかインストールされてるくらいですが、まあそこはあんたも大人だろう。ほら、どうした?あんた、なんでそんなに震えてるんだい?」
(暗転)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?