小林信也「勝手にスポーツ大臣」2 年間スポーツ予算1兆円を確保する
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日本のスポーツ予算がいくらか、知っていますか?
スポーツ庁はきちんと議論もなしに「中学部活動の地域移行」を決めた。一応、有識者会議もやったが、その時点でもう「地域移行」は既定事実。最大の目的は、教員の働き方改革。部活を強いられ「ブラック部活」だと不満を訴える教員たちの「ガス抜き」。
少子化もあり単一中学では部活動が成り立たない現実もあり、部活の地域移行は必然と言われるが、議論の過程に「スポーツ不在」「生徒不在」の印象があり、対処的で、政治的都合が優先している感は否めなかった。
この地域移行、3年で実施と謳ったのに早くも時期は延長された。受け入れ態勢もない上、何より「予算」がなかったからだ。
スポーツの国家予算は大谷翔平選手契約金の約3分の1!
スポーツ庁の年間予算ーツ国家予算はたったの361億円(令和6年度)。大谷翔平選手がドジャースと結んだ契約金の約3分の1。うち102億円が強化費(競技力向上事業)だから、スポーツの普及振興、関連事業への予算はたったの約260億円しかない。
僕はスポーツ大臣としてこれを「1兆円に増額する」方針を明示する。
1兆円あれば、多角的で本質的なスポーツ施策が実行できるだろう。
財源はいくらでもある!?
簡単な話、防衛費から1兆円回してもらってもいいと思うのだが、そう言うとあまりに「政治音痴だ」と批判されそうなので、それは脇に置くが。置くが、と言いながらやっぱり少し言及すると、スポーツは国威発揚、国際的な国力アピールにも実際に貢献している。それならば、軍備増強と似たような機能を持っていると言えないだろうか?
防衛費がダメなら、総務省の広報予算を回してもらっても罰は当たらないと思う。スポーツ選手の活躍は、日本の国際的アピールそのものだ。
あるいは外務省からもらってもいい。なぜなら、スポーツが果たす民間交流、友好親善の役割は誰もが認めるところだろう。トップ選手に限らず、スポーツ交流は民間外交そのものだ。
ところが、オリンピックなどのビッグイベントの開催時や、国民的な騒ぎになった時に便乗する以外、、政治家はほとんどスポーツを語らない。マニフェストにスポーツを盛り込む政党や政治家もほとんどゼロ。それほどスポーツは軽視されている、スポーツの価値を国や政治家は理解していない、だから活用する意識も知恵もないのだろうか。
海外ではもう桁違いの財源確保が始まっている
防衛費からの譲渡がダメでも、財源は他にいくらでも考えらる。税金に頼る必要もない。スポーツ界が独自に財源を生み出す方法を採ればよいのだ。それくらいの魅力と可能性をスポーツは秘めている。
このシリーズは毎回なるべく簡潔に、長文にしないと決めているので、最後にひとつ、明快な具体案を提示して今回は終わろう。
ひとつの有効な方法は「スポーツベッティングの導入」だ。スポーツ財源を賭け事に頼るのは僕自身も忸怩たる思いだが、それが世界の趨勢であり、有効な方法なら議論・検討はすべきだと思う。
アメリカでは2018年に合法と判断され、いまや40近い州で合法的に認められている。すでに年間売上(掛け金の総額)は18兆円と言われる。最大の人気イベントNFLのスーパーボウルではわずか1試合で2兆円を超える売上が記録された。
日本で導入を提案する企業の試算によれば「日本でも年間7兆円の売上が見込める」とのこと。売上の10%をスポーツ界に還元する決まりにするだけで年間7千億円のスポーツ財源が確保できる計算だ。どうだろう?
「年間1兆円の財源確保」という小林信也スポーツ大臣の大風呂敷は、決して絵に描いた餅ではない。詳しくはまた次回。