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「勝手にスポーツ大臣」9 小林信也 新しい「スポーツ憲法」を作ろう!
小林信也スポーツライター塾、開講! 詳しくはHPをご覧ください。
https://nobuya2.wixsite.com/mysite/blank
「スポーツをするいちばんの目的は、スポーツマンシップを育てることだ」
東京2020が延期になり、五輪反対論が渦巻いていたころ、僕は初めて川淵三郎さん(Jリーグ初代チェアマン)にお会いした。川淵さんは「スポーツをするいちばんの理由は、スポーツマンシップを育てることだ」と言われた。
「イギリスの少年がテレビで『スポーツマンシップって何だと思う?』と質問されて即座に、『仕返しをしないこと』と答えた。小学生がすぐ答えるってことは、日ごろからコーチに指導されているからだろう。日本では、サッカーを始める最初にそこまでスポーツマンシップをしっかり教えていない。それをやりたいんだ」
川淵さんの熱い思いに感銘を受けた。確かにそうだ。日本のスポーツ界は、パワハラ、イジメ、支配的な上下関係など、歪んだ体質が染みつき、様々な不祥事や日常的なストレスを含んでいる。これを一掃するには、根本的な取り組みが必要だ。スポーツをする人も、教える人も、応援する人も、みんなが「スポーツマンシップとは何か」「スポーツの目的は何か」を共有できていれば、勝つことに執着しすぎたり、そのために高圧的な指導を繰り返したり、親までが「勝つためなら暴力的な指導でもいい」と望むなんて愚かな発想はなくなるのではないか。僕は川淵さんの話を聞いて、なんとかスポーツマンシップを共有できる本をまとめたいと約束した。いや、口に出したかどうか定かでないが、心の中で固く誓った。
スポーツをするみんなが最初にかわす《スポーツの約束》
最初に考えたのは『日本スポーツ憲章』という題名だった。スポーツをするみんなが最初に学び、共有するスポーツ界の憲法。そんなものは見たことも聞いたこともない。それを作ろう! まずは草案を作って世間に問いかけよう。決意して一応ネットで検索したら、なんと日本スポーツ協会がまったく同じ名前で制定していた。僕の勉強不足と言うべきか。これまで監督にも先輩からも教えられた経験はなかった。日本スポーツ憲章があるなんて、知っている人は何割いるだろう。それを熟読し、熟知し、厳守する意識を持ってスポーツと取り組んでいる人がどれほどいるだろう。実感的にいえば、限りなくゼロに近いのではないだろうか。
読んでみると、いかにも面倒くさい。綺麗ごとと言うか、胸に迫ってこない。こんなんじゃ、ダメだ。僕は改めて、憲章に代わる、もっとみんなが日常的に共有できる《十ヵ条》みたいなものが作れないか、構想を練った。そして昨年の秋、ようやく原稿が書きあがった。
題名は《スポーツの約束》。
スポーツを始めるいちばん最初に必ず読む「約束」。スポーツをする人も、指導する人も、応援する人も、親も子も、メディアもスポンサーも、大切にする10の約束。
川淵三郎さん監修。絵は黒井健さんが提供してくださいました!
川淵三郎さん監修、小林信也著でこの春、出版される運びになっている。
視覚的にしたかったので、文字はできるだけ少なく。絵と文で構成する。
幸運にも、《ごんぎつね》《手ぶくろを買いに》《ころわんシリーズ》などの絵で知られる黒井健さんが、これまで書かれた絵の中からご自身でこのテーマに合う絵を選び、提供してくださった。
この《スポーツの約束》が、日本じゅうのスポーツを愛する人たちのバイブルのようになり、スポーツマンシップの礎になったら、うれしい。
上の絵は、本に収録される黒井健さんの作品です。
新刊《武術に学ぶスポーツ進化論》~宇城憲治師直伝「調和」の身体論~
発売中です。ぜひご購読ください!
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