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「勝手にスポーツ大臣」21 小林信也 部活の健全度・パワハラ度をAI認定する
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高校部活動のパワハラ、イジメのSOSが多数寄せられる……
高校の部活動に限らないけれど、監督・コーチのパワハラ、部内のイジメ、最近では父母が関与したトラブルの相談が僕の元にも多数寄せられる。中でも高校部活に関するものはやはり多い。
現状、その解決方法がほとんどない。
学校に相談しても監督や教員の側を弁護して、生徒の訴えを真っすぐに聞き入れてくれない例が多い。
被害者の多くは、「テレビなどに訴えて問題にし、解決につなげたい」と考えるが、テレビは被害者の思うように動いてはくれない。彼らは視聴率こそが大切で、社会正義や一人ひとりの心の問題の解決に情熱を持っているとは思えない。
個人情報や人権保護は重要だが、それがパワハラやイジメをしている当事者側に有利に働くのでは本末転倒だ。だがどうもいろいろな相談を受けるたび、学校や組織は巧妙に、自分たちを守るために個人情報の保護だとか人権を主張して情報を秘匿し、問題そのものを顕在化しない方向で本質的な解決から逃げる傾向が少なくない。
監督、コーチは、指導の健全度・パワハラ度のAI認定を受け、公表する
競技団体ごとに、指導者の資格公認制度は積極的に進められていると聞く。
「勝手にスポーツ大臣」は、これをさらに進めて、指導者たちのリアルタイムの指導健全度・パワハラ度をAIで算出し、チーム内外で共有される制度を作ったらどうかと提案する。
例えばバスケットボールは、試合中、ヘッドコーチ(監督)のアクションが派手なことでも知られる。プロだけでなく、高校バスケットでも同様だ。その叱咤激励が、すべてパワハラとは言えないだろう。これを試合中撮影し、できればタイムアウト中の助言も含め、AI判定してもらう。
練習中も随時撮影を行い、普段の指導が健全かどうか、常に評価を受ける体制を整える。可能なかぎり公表されるといい。そうすれば、これまでは競技実績だけで進学先を選んで、行ってみたら考えていた指導と違った、という残念な例が頻発していたが、そういう不幸を未然に防ぐ助けになるだろう。
パワハラ通報窓口に加え、調査・改善する実効組織の充実を図る
本来なら、通報機関があって、通報に基づいて調査され、解決に向かう仕組みがあるのが普通だ。
ここ数年は、各競技団体は通報窓口を備え、形の上では風通しのいい仕組みを作ったように見えるが、実際どの程度、通報窓口が機能し、一人ひとりの悩みや問題が解決されているのだろう。もちろんゼロとは言わないが、僕の元に寄せられるパワハラ、イジメがなかなか解決しないどころか、ほとんど動かない、ごまかされ、隠蔽され、泣き寝入りするしかない状態に追い込まれる実例をいくつも聞かされている立場からすると、深刻なトラブルが現在の通報制度で解決した例はさほど多くないように感じる。
これをなんとか、具体的に調査し、解決する機関を整え、本当に被害を受けている側の立場になって事情を調べ、解決する凄腕の専門家たちを養成、組織できないかと考える。
パワハラの被害者は生徒とは限らない。僕の元には、俗にモンスター・ペアレントと呼ばれる父母から告発され、学校側を巧妙に懐柔した結果、ほぼ無実と思われる監督が解任された実例相談もあった。学校側は地元の新聞社まで巻き込んで学校の非が洩れないよう画策した形跡も確認できた。僕自身、無力でなんら解決できない自分に失望し、地団駄を踏む思いでいる。だから、せめてこのような発信をしているのだが、本来は「勝手にスポーツ大臣」がリーダーシップを発揮し、こうした解決組織を立ち上げ、せっかくの高校部活動が理不尽な苦悩に覆われ、競技と別次元の苦しみで踏みにじられる高校生をなくする体制を整備したい。
現在の日本スポーツ協会会長、スポーツ庁長官、文科大臣には、そういう気持ちになってもらえないのだろうか。
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