「勝手にスポーツ大臣」16 小林信也 GHQの政策に乗せられたままでいいのか
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心あるアメリカ人たちが敬い畏れているのは日本の文化だ
日本人は「欧米化することが近代化だ」と勘違いして明治維新以降を生きて来た、という指摘がある。
それは少し前、「グローバリゼーション」という波に変わって一斉を風靡した。
世界と同じになることが、次代を生きるための必須条件?
世界と同じになって、日本人はどうやって世界舞台で秀でた才能を発揮できるんだ? などという反論は一笑に付され、外国人と同じように振る舞える人間がエリート然とした顔で威張っていた。いまもまだそうかもしれない。
僕は、21歳の春に初めてアメリカ西海岸に行き、アメリカの風に打たれ、流行り病のように影響を受けた経験を持っている(フリスビープレーヤーとして、本場アメリカ西海岸のプレーヤーたちの家を転々と居候する旅だった)。そのままの勢いなら、僕だって半端な“国際人”になっていたかもしれない。そうならなかったのは、最初の旅の終わりに、ヒッピーとかフラワームーブメントとか呼ばれる彼らの精神的主柱が、実は東洋文化、東洋思想にあること、さらに、僕の出会ったフリスビープレーヤーの多くが影響を受けていた師が日本人だという衝撃的な事実を知らされたからだ。
アメリカに渡って「素晴らしい、こんな発想は知らなかった、日本にはなかった!」と昂奮した文化や思想のルーツが日本文化だったなんて、開けてびっくり玉手箱のようだった。それほど日本は、僕が子どもの時代から、子どもたち若者たちに日本文化を教えていない、恐ろしい事実を物語っている。
世界に類を見ない「和の身体文化」に誇りを持てない日本人
最近では、自虐史観という言葉が盛んに使われる。その通りだと思う。日本人は、自分たちの歴史や文化を卑下し、否定的に捉え、ともすれば子どもたちにさえ伝えずに絶やそうとする信じられない習性を持っているようだ。
アメリカが第二次世界大戦中からGHQの時代を通じて、「意図的に日本を無力化した」事実は、妙な陰謀論でなく、歴史的事実と言っていいと思うが、日本人の自虐的な習性と相まって、見事なまでに日本文化、日本人的精神は破壊され、根絶やしにされてきた。生活様式、食生活の欧米化は、そのまま日本の生活文化、身体文化の破壊であり、かつて欧米人たちが畏れ敬い、そして心底恐れた日本人の神秘性、彼らには理解できない人間力、団結力、忠誠心は消滅しつつある。なぜなら、日本人の生活様式、生活文化、身体文化にこそ、そうした神秘性、目に見えない力の源泉があったからだろう。
日本は、そして日本人は、まんまとアメリカの策謀にはまり、のせられ、世界に誇る神秘性、人間力そして国力をこの80年間に滅失してきた。僕はその事実を認識し、学び、地団駄を踏む思いで、なんとかしなければと静かに呼吸を整えている。
スポーツは日本人を堕落させるための3S政策の柱だった
GHQの3S政策は公然の事実だ。アメリカは日本を3つのSで堕落させようと試みた。
スクリーン、スポーツ、セックスの3つ。スクリーン(映画)はほどなくテレビに形を変え、テレビのホームドラマから流れるアメリカ家庭の生活様式に日本人は憧れた。そしてスポーツの熱狂、性的束縛からの解放。いずれも日本人を骨抜きにするために意図された政策。
この歴史を直視すれば、僕らはまっすぐに認めるべき事実がある。「勝手にスポーツ大臣」はこれを大きな声で叫び、みんなと共有することから始める。
「スポーツは日本人を堕落させるため、GHQが意図的に普及させ、日本人の熱狂を煽ったものなのだ」
そしてその通り、十代のころの僕も、そして多くの日本人も乗せられ、熱狂する日々をいまも繰り返している。これでいいはずがない。心ある者は、「ちょっと待て」と立ち止まり、一度アメリカに知らずしらず支配されている負のスパイラルから抜け出さないと、自分たちがどんどん自分たちじゃなくなるぞ、と気づいてくれると信じている。冷静に日本の身体文化を取り戻す、逆回転のムーブメントに変えなきゃいけないギリギリの時が目の前にある。
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