![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169007854/rectangle_large_type_2_c972c60f77c0d4b4c4b1910fec21da39.png?width=1200)
「勝手にスポーツ大臣」7 小林信也 「日本高野連は解体」しても困らない
小林信也スポーツライター塾、開講! 詳しくはHPをご覧ください。
https://nobuya2.wixsite.com/mysite/blank
日本高野連は解体しても大丈夫
高校野球の問題は、真剣に議論し、根本的な改革を進める必要がある。
「日本高野連は解体しても支障なし」と考えている。なぜなら、「日本高野連の役割は、春と夏の甲子園大会を開催すること」だから。それならわざわざ《日本高野連》などと、偉そうな名前を名乗る必要はない。そんな名前だから、まるで彼らが、日本の高校野球の全体をリードし、《教育》としての側面も含めて総合的なマネジメントをしているかの印象を与える。実際彼らは、そのように振る舞っている。僕は、直接、日本高野連の事務局に取材してはっきりとわかった。彼らは、春夏の甲子園大会を主催する事務局である。だから、その主催者(共催者)である朝日新聞、毎日新聞の意向を反映し、実施要項を決める。それを下部組織のように見える全国都道府県の高野連に通達し徹底する。
「のように見える」と書いたのは、つながっているようで、つながっていない。例えば僕が、「甲子園の暑さ対策が万全でも、地方大会ではそこまでの予算もなく、十分でない都道府県もあるのではないか」と質問すると、「それは各都道府県の責任においてやっている」と、我関せずの態度なのだ。
朝日新聞と毎日新聞の方針に従う《大会事務局》だけで十分
コロナ禍でセンバツが中止された時、記者会見の真ん中で喋ったのは、主催者の毎日新聞の社長だった。日本高野連の会長ではなかった。夏も同様。この時もはっきり、甲子園大会が誰の大会かを印象づけられた。「高校教育の一環」とはお題目で、「教育は主眼ではない」のだ。新聞社のトップが実質的に重要案件の決定権を持つ組織は、僕が思う「日本高野連」ではない。
日本高野連は、すべての加盟校と濃密な情報交換を行い、時代の流れに即応しながら高校生一人ひとりの高校生活を野球を通じて充実させる、崇高で責任ある使命を担っているはずだ。
不祥事が起きた時は処分を決め、まるで裁判所みたいな役を演じて責任を果たしているような顔をもう数十年もして変わらない日本高野連など、なくなっても構わない。彼らがいくら処分を下しても、パワハラ体質はなかなか変わらない。処分が明ければ平気で監督に復帰する監督が後を絶たない。これにもビックリだ。それはもちろん日本高野連だけでなく、高校野球全体の体質、「多少のパワハラや暴力はOK、甲子園に連れて行ってくれる名将に子どもを任せたい!」と本気で思う親と選手がいる限り、変わりようもない。
高校野球の方向性は、現場の情熱ある教員たちが合議で決めたらいい
日本高野連がレジェンド扱いし、世間で「名将」と呼ばれる高校野球指導者とは付き合いもあるし、何人もの方に取材で会った。彼らは、高校球界の常識の中では異質な存在ではないし、厳しさを徹底できる指導者という意味で尊敬も浴びて来た。しかし、現在の世間の常識に照らせば、彼らの多くはパワハラ体質そのものであり、その厳しさは尊敬でなく非難の的になるものだ。暴言、イジメ、人格否定、脅し、見せしめ、辱め、無視……。体罰はもってのほかだが、《名将》の多くが、精神的な虐待を日常的に行っている光景とごく自然に接してきた。そう言う僕自身だって、中学野球の指導者になった途端、ひどい言葉の暴力を繰り返した時期があるから、他人事で批判するわけじゃない。普段は温厚な(?)僕でさえ、「野球の監督」という立場になった途端、人格が麻痺する。そういう体質、世間に充満している空気そのものを相当な覚悟で変革しないと、野球界は変わらない。だから、日本高野連を解体するくらいは、やって当然の第一歩。日本高野連を守る意味など、どこにあるのか、考えてほしい。大会は《甲子園大会実行委員会》とか《大会事務局》で十分だ。高校野球全体を考える組織は、本当に高校野球に携わり、「教育」と「高校生支援」に情熱を持つ現場の指導者たちの合議で行えばいい。
「権力を持った偉い人」を作りたがる、あるいは「なりたがる」「その人に忖度して自分も偉そうにする」そういう傾向も悪しき野球人(体育会人)の習性だ。一人ひとりの高校球児にとって、そんな仕組みは迷惑でしかない。
新刊《武術に学ぶスポーツ進化論》~宇城憲治師直伝「調和」の身体論~
発売中です。ぜひご購読ください!
https://www.dou-shuppan.com/newbookdvd/