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「勝手にスポーツ大臣」20 小林信也 プロ野球の試合時間を2時間に短縮する

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4時間近い試合を野放しにしたら、野球はまもなく「終わり」ます
プロ野球界に危機感が感じられない。ほとんど改革への動きもないし、改革案を熱心に議論している形跡もない。セ・リーグに比べ人気のなかったパ・リーグは、6球団一致して会社を興し、〈パ・リーグTV〉を立ち上げるなど振興策に取り組んで来た。その甲斐あって、いまは「人気のセ、実力のパ」という言葉は死語になり、「人気も実力もパ」と言われるくらいの勢いがある。
ところがセ・リーグを含めた12球団となると、相変わらず抜本的な取り組みをする気配がない。
「プロ野球の観客動員が過去最高を更新」と騒いでいるが、冷静な関係者は、「その数字には影がある」とわかっている。「潜在的なファンは減っている。熱烈なファンクラブ会員、いわばリピーターが動員数宇に貢献してくれているんです」
確かに、「別に野球は見なくていい」「巨人? 興味ない」という人の割合は明らかに増えているのではないだろうか。
 
毎晩4時間近い時間をファンから奪って平気な神経が理解できない
「勝手にスポーツ大臣」最大の不満は、長すぎる試合時間。退屈すぎる間延びの展開だ。ナイターが終わって、どこか寄ろうか」と思っても、お店の大半が閉まっている。最寄り駅からのバスは間違いなく終わっている。そういうファンの事情を、プロ野球関係者は考えないのだろうか。
「試合は2時間で終わる」、それが大前提だと「勝手にスポーツ大臣」は考えている。
IOCと同調するのは忸怩たるものがあるけれど、テレビを見るにしたって、2時間は最長だ。そもそも、一個人の大切な時間を4時間も奪って平気でいられる傲慢さがもう時代錯誤だ。
「勝手にスポーツ大臣」は文武両道を重んじているから、平日の夜、4時間も野球観戦に現を抜かしている青少年には「時間の使い方を見直した方がいい」と助言するだろう。
大人にしたって、毎晩4時間近く、移動時間も入れたら6時間前後におよぶ時間を連日費やすのは健全だろうか。

長考でなく、〈一瞬の閃き〉にこそ野球独自の崇高さがある
MLBは時間の課題と向き合い、スピードアップに人気回復をかける意識に目覚めたようだ。ピッチクロックも試合時間短縮の一策だ。
かつて日本で試合時間短縮の議論があった時、「野球は間を楽しむゲームだ」「考える時間がある、それも野球の醍醐味だ」といった長老たちの発言が尊重され、「試合時間を短くする」という方針性自体を無用と断じたように思う。
だから敢えて言う。試合時間短縮は野球が生き残る必須の課題だ。
プロなんだから、攻守交代は全力疾走で当たり前。高校生にできることをプロができないっておかしくない? ここが不思議なのだけれど、日本のプロ野球選手って、まったくアマチュア選手のお手本じゃないのだ。だらしないユニフォームの着方、余計なアクセサリー、むさくるしい髭や長髪。小中高生が真似したらNGなことをたくさんやっている。子どもが真似しちゃいけない見本が日本のプロ野球選手なのだ。そのおかしさを誰も指摘しない。
ブルペンで投球練習をやってきた投手はマウンドに上がって3球も投げたら十分。選手交代は俊敏に、無駄なストライクの見逃しはやめる。ファーストストライクから打つ。そういう野球の方がずっと溌溂として、スリリングじゃないだろうか。野球の試合の中で「考える」というのも、「一瞬のうちに閃く」感覚的なものだから崇高なのであって、〈囲碁や将棋の長考〉とは質の違うものだと「勝手にスポーツ大臣」は感じている。
 
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