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古代ギリシャの惚れ薬


古代ギリシャ時代の珍薬は、子牛の脳、おおかみのしっぽ、ヘビの骨、フクロウの羽、人間の死体の一部を原料とし、これらは大きな鉄釜の中でかき混ぜられ、媚薬として用いられていた。媚薬の効果を発揮させるには、必ず、新月の時、愛の女神アフロディーテの君臨を請う祈祷を捧げ、供え物をした後に、これらの気味悪い原料を調合しなければならなかった。この秘薬が人間に飲ませる惚れ薬として製造されていたかどうかは不明である。

古代ギリシャの珍薬

西暦紀元1世紀の植物学者でもあったギリシャ人内科医ディオスコリデスは、メスやぎの乳、オーキッド(蘭)の塊茎、性欲をそそるとされていたカブの一種を原料とする珍薬をつくり、初期の恋の魔法に貢献した。古代中国の媚薬は、蜂蜜、胡椒、そして強力な催淫効果で名高かったジンセン・ルート・パウダーが原料とされていた。ジンセン・ルートは現代でも強力な催淫剤とされ、世界中で精力剤として使われている。ジンセンの一種、アメリカン・ジンセンは、かつてカド一族系のポーニー族の間で惚れ薬の原料とされていた。また、アメリカン・ジンセンの他に、ベニバナサワギキョウ、コロンバイン(オダマキ)、ワイルド・パセリなどの魔法のハーブを原料とするこれらの秘薬は、特に、理想的な結婚相手を獲得する魔力を持つと高く評価され、男女を問わず愛用されていた。

ペリウィンクル(ツルニチニチソウ)は、愛の火付け役的なパワーを持つ植物とされていたところもあった。あまり気持ちの良いものではないが、ミミズといっしょにして粉状にすりつぶしたものを、肉にふりかける魔法の調味料として用いられていた。できれば、ロマンチックにキャンドルを灯した夕食のテーブルで使用するのが効果的で、カップルがこの調味料をかけた料理を食べると、たちまち、お互いにぞっこん惚れ込んでしまう、と信じられていた もしあなたが男性で、限りない愛欲をお望みならば、魔女ドクターからはおそらく次に紹介する催淫薬が処方されるだろう。メスやぎの乳にサテュリコン・ルートを溶かした、月がさそり座(生殖器と愛欲を支配する星座)に位置するときにこれを飲む。魔術伝説によれば、この媚薬を飲むと70回連続可能な絶倫パワーが得られるそうである。


アフロディーテ

古代ギリシャ人は、愛と美と愛欲の女神とされるアフロディーテを海の水と関連付け、同じく、古代ローマ人も、アフロディーテに相当する愛と美と愛欲の女神ビーナスを海の水と関連付けた。ローマ帝国の人々は、深海生物の多くはビーナスに支配されているため性欲を刺激する強力なパワーが備わっており、これを食べると精がつくと信じていた。古代イタリアの媚薬に、オイスター(牡蠣)、コウイカ、シビレエイ、ヒメジなどの海産物に、ペッパー(胡椒)とミルラの木を加えて作ったものがある。確かに、これらの原料からすれば、この通念はいかにも明白である。これらのシーフードには性欲刺激作用があることを裏付ける決定的な科学的証拠もなく、また、多くの研究家が特定の物を食べた後にたまたま性欲が出ただけで、気のせいだという説もあるにも関わらず、現代社会においても、オイスターやその他のシーフードは強力な催淫薬であると信じる人は多い。

©Gerina Dunwich

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