それはもう覚えなよ
人の顔を覚えるのが難しい
初対面の人のことが怖いので、架空の人物として接してしまう節があり、
架空なら記憶に留めておかなくていいや!と思い込んでるのかなんなのか。
数回会わないと認識ができません。
だから私と会うのが2回目の人は、「どうもこんにちは(などの任意の挨拶)、〇〇〇〇(名前)です」と言ってくれたらなと思います。
でもな、私とちょうど1回しか会ったことなくてこれを読んでいる人はいないだろうしな。
難しいですねやはり
異国の人の顔は、だいぶ覚えられません。
ダニエルラドクリフとかは大丈夫だけど、あの人は物凄い長い期間で何回も見ているからわかるわけで。
日常に現れる異国の人は、よっぽどのことがない限り覚えられないです。
そんな私にも、よく行くケバブ屋さんがあります。
誰に対してもお会計を10,000倍にして「650万円ネ!」とか言ってくる古典的なケバブ屋さんです。
私は顔を覚えるのは難しくても、なんとなくフォルムとか帽子とかメガネとかは把握できるので、3パターンくらいの陽気なおじさんの店員がいることは認識できていました。
そして、その3パターンのうちの一人が、記憶力がいいんだか、私が通いすぎたからなのか、いよいよ私の顔を覚えてしまいました。
「ヒサシブリ!キョウはシゴト?ツカレタ?」
10回以上行ったなかで、ヒサシブリと言われるのは初めてでした。
自分が他人の顔を全然覚えられないのに、異国の人が自分の顔を認知したことにびっくりしてしまい、
ケバブ屋さんに覚えられるくらいまで、ケバブを買ってしまっていた自分が恥ずかしくなりました。
なんか恥ずかしいから、もうここに行くのは辞めようと思いました。
「コレ!アゲルヨ!」
お金を置くトレイ(カルトン)の上に紙コップが置かれ、
中を見ると知らない赤い飲み物が入っていました。
異国の人が突然くれる知らない飲み物は、焦ります。
平気なふりをして「わーい!これはなんですか?」と聞きました。
「チェリージュース!」と言われたので、
とりあえず一気飲みしてケバブを受け取り、
恥ずかしいし怖いジュースを飲まされるからもうここに行くのは辞めよう、と決意をして店を後にしました。
それが先月のお話。
そして今日。私は歯を食いしばりながらそのケバブ屋さんの前に立っていました。
最寄りの美味しいケバブ屋がここにしかないからです。しかも安い。
幸い、いつもの黒い帽子を被っているおじさんではなかったので、
なあんだいつもの人じゃないなら余裕じゃん。と思っていました。
そんな矢先でした。
「ヒサシブリ!キョウモオツカレサマ?」
お疲れ様に「?」が付くことがあるんだなと一瞬思い、
え?なんでヒサシブリとか言うんだ?と顔を上げたら、
いつもの黒い帽子のおじさんが帽子を脱いでいるだけでした。
やっべ!また知らない飲み物を飲まされる!と焦っていたら
「ビールはノム?」
と聞かれました。
あんま飲めないですと答えると、
「イイネ!」
と言って、可愛い包装紙に包まれたストロベリー味のチョコをくれました。
見たことのある包装紙だったので、すごい安心して受け取れました。
全然関係ないけどちょうど今日、自分がお酒を全然飲めないことについて悲しがっていた日だったので、飲めないことについて「イイネ!」と言ってくれたことが無性に嬉しくなりました。
多分飲めますと言っても「イイネ!」ルートだったんだろうけど。
そろそろあのケバブ屋さんの店名くらいは覚えようかなと思いました。