
ボルボXC60リチャージ03:ちょっとおかしな私のクルマ偏愛歴2=父親時代の11台
当然ながら、結婚して、父親になれば、乗る車も変わってきます。山道をドリフトして回るようなマネはできません。デザインが愛らしいからと、いつ壊れるかわからないイタ車や旧車に乗るわけにもいかないのです。
とは言え、それでもフツーのクルマはイヤだという困った私。
■10.SUZUKIエスクードノマド(初代)モンスターバージョン
グーネットより
当時はRVブームで、都会でも大きなRV車が幅を効かせていました。なぜかサスペンションを持ち上げて高床式住居のようなクルマもありましたね。
でも、私が一目惚れしたのは、初代のエスクード、イタリア名ヴィッタラです。ちょうど5ドアのノマドが出たのでイロイロ探していると....あのオフロードの帝王、モンスター田嶋さんのお店にオーバーフェンダー付のすごいノマドがあるじゃないですか。
田嶋さんは、世界一過酷なヒルクライムレース、あのパイクスピークをツインエンジンのエスクードで制した巨人です。竜洋のSUZUKIテストコースで、目の当たりにした、田嶋さんのツインエンジンエスクード4輪ドリフト、半径30メートル360度ターンは忘れられません。
その田嶋さんが、今では、日本では珍しいEV専門メーカー「タジマモーターコーポレーション」を率いて、出光興産と一緒に新時代を切り開こうとしているからなんだか不思議です。
このノマドには、RECAROのシートとNARDIのステアリング、そして、Accustic Artsのアンプと、Boston Acousticsのスピーカーをつけて愛でておりました。そして、自転車やテントを積んでは、幼い子供を連れて、全国を旅して回ったのです。
■10.日産アベニールワゴン(初代)
グーネットより
これも社用車のご近所配達&集金グルマでした。欧州車のようなデザインで新鮮だった初代プリメーラのワゴン版です。これまたワインレッドの美しいデザインのクルマでありました。
何のことはないフツーのクルマなのですが、何とも味わい深いのです。合わせてワゴンブームもやってきますが、商用車と思われていたワゴンが、実は家庭用にもぴったりだと気づいた人が増えたのでしょう。
そして、そのワゴンブームも、いつしかSUVブームに取って代わられるのですが、それはまた別の話。
■12.いすずジェミニZZ handling by LOTUS
妻の足代わりのクルマが必要になったので中古のhandling by LOTUSを選びました。かつて愛したピアッツアは、実はジェミニの兄弟車で、ジェミニには愛着があったのです。
本当はFF(フロントエンジン前輪駆動)になってからの初代が愛くるしいのですが、程度の良いものが見つからず鉄仮面のようなあのスタイルの2代目となりました。モモのステアリング・レカロシート・BBSのホイールの3点セットがついて、ロータスチューンなのですから、驚きのものすごい企画車です。走り屋の残り火がくすぶる私としては、FR(フロントエンジン後輪駆動)ではなくFFというのが残念なのですが、まあスパルタン(死語)でおそるべし。
クセのあるデザインの不人気車の中古ということもあって格安でした。この懐かしいルックスそのままで、ロータスがチューン?したスペシャルEV車があったらまた欲しいのです。
■13.ルノーメガーヌ5ドアハッチバック先代
ジェミニがあまりにへたってきたので、ようやく授かった長男の誕生を機に、かわいらしいクルマを選ぼうと探しました。当時は、中古のルノートゥインゴが何とも愛らしくて妻に勧めたのですが、セミオートマの運転がなんとも難しい。そこで、隣に置いてあったメガーヌに乗ってみると、その内外装のかわいらしさと乗り心地のよさにひと目ぼれです。
ルノーと言えば、国営化後、デザインが死んでしまい、どこにでもあるような凡庸なクルマになってしまいました。そこにパトリック・ルケモンなるデザイン担当の重役が登場して生まれ変わったのです。
乗れば乗るほどその劇的なデザイン進化に感銘を受けてしまいました。フランス車ならではの乗り心地もすばらしかった。ドイツ車のカッチリした感じもいいですが、ゆったりフワフワな仏車もいいものなのです。
■14.トヨタ センチュリーV12(2代目)
亡父は、大きくてイバリが効いた?黒塗りのクルマが好きだったですが、トヨタには数々のTシャツでお世話になったこともあって、人生最後のクルマは、プレジデントと双璧をなすセンチュリーを選びました。
やはり、このクラスは作りこみが違います。塗装から、して明らかに手間暇がかかっているのです。V12型DOHCエンジンは、加速するためというよりも、動いていることを乗客に感じさせないためにあり、明らかにベンツのSクラスとも設計思想が異なるのです。
しかし、何といっても大きい。街乗りには大きすぎます。足立ナンバーで、富岡八幡宮の交通安全シールが貼ってあるせいか、なぜか周りがよけてくれるので楽ですが、車庫入れなど至難の技です。
それでも、プレジデントとセンチュリーを、たまに運転してもらったおかげで、エルフトラックと合わせて、私の車両感覚は磨かれました。しかし...本来は小さなクルマが好きなのです。
ちなみに息子たち二人は幼少期に、亡父の運転で、センチュリーに乗せられ、よくマザー牧場や、ホテル三日月にドライブしていたようです。綾小路きみまろのCDを聴いて「あれから40年」とゲラゲラ笑いながら。リアシートから操作できるカーナビでは、よく海の真ん中に目的地が立てられていました。トヨタでは想定していない使い方ですね。
■15.エスティマ(二代目)ハイブリッド(初代)MC後
年を重ねるうち、長男と長女の夫婦である私たちは、子供のためのみならず、今後、運転をしなくなるであろう両親も時にはのせられるクルマを選ばなくてはならないお年頃になりました。
そこで、散々考えて選んだのがエスティマハイブリッド。一度乗ったら、センチュリーをしのぐ、あまりの快適空間と、多人数で会話できる楽しさに驚くミニバンの世界に圧倒されました。
ネックは燃費とエコ性能です。仕事柄、オーガニックコットンのTシャツや、グリーン電力を使った生産を通じて、環境関係のNPOのみなさんとも交流ができました。大いに感化され、やはりクルマ選びにも地球環境問題への対応が迫られます。
その時点で、ミニバンにおいては、最も環境に配慮していると思ったのがこのクルマだったのです。カタログ表記ほどは好燃費ではありませんでしたが、ノマドやメガーヌよりも燃費が良いことは驚きです。しかも、電子制御された4WD性能については、おそらく当時は世界最高水準だったでしょう。毎冬、学生時代にバイトをしていたスキースクールの志賀高原教室に行くのですが、重いミニバンでも雪道を走りながら安心できたのです。
■16.ルノーメガーヌ5ドアハッチバック 2代目
欧州で大ヒットした先代のルノーメガーヌが、驚くべきフルモデルチェンジをしました。あの衝撃的作品アヴァンタイムを思わせる、恐るべきリアデザイン。普通ならばキープコンセプトで行くところが...大いなるチャレンジ。
良く見れば、インパネのアイコンから、ドアノブまで、ディティールのデザインがなんとも愛らしいのです。
まったく異色ながら、同じ時期にモデルチェンジがあったプリウスとも悩みに悩んだのですが、トヨタのハイブリッド車が2台並ぶのもどうかと、こちらに....。
結果は正解でした。クルマを停めて離れる時に眺めては幸せになり、戻ってきて触れては幸せになる不思議なデザインだったのです。
■17.フォルクスワーゲン イオス
webCGより
相変わらずデフレの出口は見えず、経営はつねに緊張状態。そんな中、東京の美しさと風を感じながら、ゆったりとエコに、それでいて楽しく面白く走りたくなったのです。
これまで、ドイツ車とは縁がなかったのですが、小排気量のTSIエンジンとDSGというハイテクで低燃費であることを、雑誌で知りました。
何といっても、アルファロメオ・スパイダーで味わったオープンエア・ツーリングの幸せを、ボタンひとつで開閉できるハードトップで楽しめるコンセプトに惹かれたのです。
仕事で疲れ果てた夜など、皇居や東京タワーを横切って帰る時に、いつも通っていたはずなのに気が付かなかった絶景に、何度ハッとさせられたことか。
欲を言えば、この外観と機能のままクリーンディーゼルのハイブリッドにしてくれたら申し分ないと思っておりました。今だったらEVでしょうね。
■18.ホンダ CR-Z
ふだんを変える。それがいちばん人生を変える。
CR-Zとは、Compact Renaissance Zero の略。そのコピーとネーミングに、心意気に魅せられました!
2007年の東京モーターショーで一目惚れ。3年越しの恋でした。まさかほぼそのままのデザインで市販されるとは?!私ごのみの小さなクルマで、なおかつハイブリッド。メカのみならず、エクステリアにもインテリアにも未来がいっぱい。
とは言え、問題は、ほぼ2シーター状態で家族を乗せられないこと(イオスより狭かったのです)。
悩んでいた矢先に、東京商工会議所で「勇気ある経営大賞」の特別賞を受賞することになり、審査員だったホンダの吉野 浩行社長(当時)にお会いする機会がありました。受賞のお礼をと思い「CR-Zイイですよねー」とお話したら、「久米さんお買い上げだそうだ―」と担当者につながれて、気が付いたらオーナーに。
でも、おかげで素敵な思い出がたくさんできました。一代限りで生産終了になってしまいましたが...。
■19.NISSANエルグランド(三代目)RIDER 2.5 4WD
三世代で移動して、Tシャツ用綿摘みからスキーまでアウトドア活動をする機会も多い大家族系家長の選択肢は、どうしてもミニバンに帰着します。
しかしながら、低燃費でエコノミー、低排出ガスでエコロジー、セダンを超えるアメニティ、高速走行も雪道もセーフティ...の選択は厳しいのです。
これまで乗っていたエスティマハイブリッドは思うほど燃費も伸びず、新型は、3列目シートの居住性が限界的でしたので、当時はピンポイントでこのクルマになりました。ケンメリTシャツの復刻プロジェクトで久米繊維が、そして、社外役員をしているベンチャーでも、日産にお世話になっていることも後押しをしてくれました。
今回も10万キロ以上乗るのは必至なので、レギュラーガソリン仕様の2.5リッターの4WDで革シートを所望すると、泣く子も黙る恐ろしい顔のライダーしか選べませんでした。慣れると、これはこれで美しいのですが。
しかしミニバンとは思えない存在感、走行感、剛性感、質感に感動。しかもECOモード走行なら町中で9km/l弱なら、まだ許せる範囲でしょう。
結局、長く大切に乗ることが大切と考え、10年近く乗って、20万キロにも届こうという勢いですが、これまで良くがんばってくれました。
■20 マツダ アテンザワゴン XD L Package
そして、現在の私がメインで乗る愛車は、マツダ アテンザワゴンのクリーン・ディーゼルです。
私たち久米繊維の理念「日本でこそ創りえるTシャツを世界へ。未来の子供たちへ」に叶った車。即ち、日本製として誇れる独創的な機能と美しさを持ち、走って楽しく快適で、地球環境にも配慮したエコカーを選んでいくと、当時は、このクルマしか考えられなかったのです。
あのクルマの聖地、自動車産業王国ドイツでも、デザインと機能が認められた日本車であります。
惚れ込んで、発売と同時にオーダー。(大人気で納車に時間がかかりましたが)
なにしろ、こんなに大きな図体をしていても、以前乗っていたhonda CR-Zと燃費が変わらないのがスゴい。それにお安い軽油ですから、ガソリン価格高騰時にも大変助かりました。
ディーゼルなのに昔より静かだし、アイドリングストップはしてくれるし、レーダー追尾のオートクルーズもついています。それに、BOSEのオーディオシステムも楽しめるのであります。
それから、毎回、エコ運転度をチェックしてくれるのが楽しいのです。昔ならエンジンを回すのが喜びでしたが、今では、いかに無駄にエンジンを回さずに走れるか、高得点を取れるかというゲームをしている感覚です。
エルグランド同様、気にいって、もう8年ぐらい、十数万キロも乗っているのであります。
ということで、ありがたいことに、エルフからセンチュリーまで、スパイダーからイオスまで、魅力的で個性的なクルマを乗り継ぎ、楽しんで参りました。乗る車こそ変われど、私のクルマの性癖は一貫して変わっていないことに改めて気づきました。
第一に美しいこと
内装も外装も個性的で、見ていて飽きない、むしろ見れば見るほど好きになるようなクルマを乗り継いできたことに気づきます。この角度から見るのが好きとうっとりできる視座がいくつもあると幸せになります。
第二に走っていて楽しいこと
クルマの大小や、エンジン性能に関わらず、運転をしている喜びを与えてくれるクルマが好きなのです。速く走らなくとも、たとえ渋滞があっても、運転が楽しいクルマは疲れないものなのです。
第三に個性的であること
空力抵抗やグローバル市場などを考えすぎて、どこのクルマも似たり寄ったりになりつつあります。そんな中でも個性を発揮しつつ、あまりみんなが乗っていないようなクルマが好きなのです。
第四に環境に配慮したクルマであること
クルマに乗ること自体、エコではないかもしれませんが、それでもガソリンを浪費し、有害な排気ガスや温室効果ガスを吐き散らすのは控えたいのです。ハイブリッドやクリーン・ディーゼルのクルマを乗り継ぎ、これからはEVに向かうことになるでしょう。
おそらくは、クルマ好きの中には、どうせ10年後は電気自動車になるのだから、ガソリン車のスポーツカーや、ディーゼルの大型SUVの乗るんだという人もいるでしょう。
正直言えば、私も、ホンダS660(最終版も売り切れらしいです)を買っておけばよかったと思わないでもありません。
しかし、そんな矢先に、ボルボのプラグインハイブリッドの1年無料モニターが当ったのです。ひょっとしたら、これは、何かのメッセージなのかもしれません。
つづく