英語ができなかった帰国子女~親や周りの協力がなかった私の場合 ⑱
帰国して楽になったかというと全然そうではなく、色々な別の地獄が待っていました。その一つが薬害による手の障害の悪化で、以前別の記事でも書いたことがあります。
でも、中学時代海外であんなに苦労した英語は、高校時代にかなり力が伸びて得意科目になりました。学校の授業で文法を体系的に教えてもらえたので、ここでようやく私は文法を一通り理解しました。
発音は高校の親切な英語の先生が勉強の仕方を教えてくれたので、その先生のアドバイス通りにやりました。それと並行して、市販のカセットテープ付きの発音の本を買って練習しました。それを半年ほど続けたら、通じる程度の発音はできるようになりました。
発音を矯正するのは結構大変でした。なまじカタカナ発音である程度英語を覚えてしまっていたので…。でも、帰国した時点で英会話力がかなり低かったので、それが発音矯正にはかえって良かったのかも知れません。
何とか矯正できたから良かったものの、かなり回り道をしたと思っています。やはり初歩の段階から正しい発音も学びながら英語を習得したかったですし、通じる発音で海外生活を送りたかったです。
リスニングは帰国した時点ではネイティブの英語、特にアメリカ人の英語に不慣れで、学習者向けにはっきり話されている英語すらなかなか聞き取れませんでした(ESLで一番コマ数が多かったネイティブの先生の英語は、アメリカ英語とはかなり違いましたし)。でも、ラジオ講座を聞いたりしているうちにだんだん慣れてきました。
海外では早い段階で英語の上達が止まったのに、日本に帰って来てからはそこそこスムーズに上達しました。もちろん海外でたくさん英語に触れていたから帰国後の上達が早かったことは否めませんが、英語が殆どできない状態で海外へ行ってしまった為に余計な遠回りをさせられたのも事実です。
こんな経過を辿ったので、私は「帰国子女だから英語ができるんだね」と言われると複雑な気持ちになってしまいます。
帰国子女が皆、外国語ペラペラ!天然のバイリンガル!のような扱いを受けがちなのも、私には違和感があります。私のようにある程度大きくなってから渡航した人は、呼ばれ方は「帰国子女」でも、言葉を体で自然に吸収するのではなく頭を使って勉強しないといけない点では大人と変わりません(もちろん若い分吸収力は高いと思いますが)。たまたま最初に外国語を学んだ場所が海外だったというだけで、それが吉と出るか凶と出るかは状況次第です。私の場合は思いっきり凶と出たわけです。
また、インター出身だと英語ができて当然と思われがちですが、インターはある程度大きくなった子供がゼロから英語を学ぶ為の学校ではありません。私のように英語力がほぼゼロで入ってしまうと、基礎がないままになるので発音等に変な癖がついたり、早い段階で英語力の伸びが止まってしまったりすることがあります。
「帰国子女は羨ましい」と言われるのも好きではありません。羨ましがられるような楽しい思い出なんて、私にはほとんどないからです。
これで私の海外時代の話は終わりです。もし後で何か思い出して、これも書けばよかったなあと思ったら、番外編として別途記事を書くかも知れません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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