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もし、1本しか観ることができなかったら???

いよいよ今週8日(金)から始まります。
JACROW#34「闇の将軍 四部作」
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今回、“四部作”と銘打っているように4本(うち1本は短編だけど)の作品を交互に上演するパッケージ公演になっている。
当たり前だが、4本とも観ていただきたい。なぜなら4作品は密接に繋がっていて、連続ドラマのようになっているから。4本全部観ることでいろいろ楽しめるつくりになっているのだ。

・・・とはいえ、である。

そんなお金もないし、時間もないって人はそれなりにいるのではないか?と思ったり。師走だし。そんな人向けに「どれを観ればいいの?」という質問にお答えしようと思う。つまり1本だけ選ぶとしたら???である。もちろん4作品ともお薦めではあるけども、である。

指標をつくってみる

作品を紹介する指標をいくつか考える。
①フィクション性(フィクション要素がどれだけあるか?)
②エキサイティング性(ケレン味がどれだけあるか?)
③ドラマティック性(ドラマ要素がどれだけあるか?)
④ビューティ性(美しさ/華やかさがどれだけあるか?)
⑤コメディ性(笑える要素がどれだけあるか?)
⑥政策論争性(政争劇ならではの指標として)

以上、この6つの指標を★★★(三ツ星)で評価してみる。もちろん俺の主観による評価である。あしからず。

第1話『夕闇、山を越える』について

①フィクション性 ★★★
②エキサイティング性 ★
③ドラマティック性 ★
④ビューティ性 ★★★
⑤コメディ性 ★
⑥政策論争性 ★★★

この作品が他の作品と大きく異なる点は「フィクション性がめっちゃ高い」ってことである。かなりの「嘘八百」だと思って差し支えない。そもそもこの作品の大きな柱である各派閥が角栄を取り込もうと必死になる、ということ自体が大嘘だから。あったかもしれないけど、たぶんそんなことなかったと思う。苦笑
そして舞台が料亭、芸者が花を添えるので、他の作品よりも圧倒的に華やかだ。髪型指導で潤間先生、所作指導で藤間先生、方言指導で根津先生と各専門スタッフにご指導いただいてることもこの第1話の大きな特徴だ。
ドラマ性は低めだが、のちに総理大臣になる若き政治家たちによる政策論争も見どころのひとつ。おふくろさんとのほっこりする会話もあるし、「かたさ」と「やわらかさ」が適度に混ざり合った作品だと思う。
演劇に“目新しさ”を求めるお客様にぜひお薦めしたい作品である。たぶん、こんな作品、ほかでは観られないと思う。

第2話『宵闇、街に登る』について

①フィクション性 ★★
②エキサイティング性 ★★★
③ドラマティック性 ★★
④ビューティ性 ★
⑤コメディ性 ★★
⑥政策論争性 ★★

これは田中角栄が総理大臣になるまでを描いた作品だ。
そもそも事実として高等小学校しか出ていない、何の後ろ盾もない田中角栄さんが総理大臣になったこと自体がすごいことなのである。だから当然、この作品においてもその高揚感、興奮感を大事に作劇したつもりである。血沸き肉躍る・・・まではいかないかもしれないが、総理の座を目指し、突き進む姿はエキサイティング性MAXだと思う。狩野和馬演じる角栄が書道するシーン、総理を目指し田中派を旗揚げするシーン、総裁選を制し、演説するシーンなんかはめっちゃエキサイティングなのでぜひ注目いただきたい。
そして俺的には、この作品はコメディ要素が高いと思っている。ふざけたシーンもいくつか。特にテレビ番組との掛け合いもこの第2話の見どころのひとつだと思っている。
演劇に“カタルシス”を求めるお客様にぜひお薦めしたい作品である。登場人物がみんなお茶目で格好いいのだ。

第3話『常闇、世を照らす』について

①フィクション性 ★
②エキサイティング性 ★★★
③ドラマティック性 ★★★★
④ビューティ性 ★
⑤コメディ性 ★★
⑥政策論争性 ★

この作品はシリーズ完結編ということもあり、ドラマ要素がめっちゃ高い。だから+★の★★★★(四つ星)を付けた。ちなみにこの第3話における作品テーマは「世代交代」、角栄が世代交代を迫られるシーンは圧巻である。そしてこの作品には世代交代=親から子へ、ということで眞紀子さんも登場する。倒れた角栄の想いを受け、眞紀子さんはどう行動するのか、ぜひ見届けていただきたい。
周りにいる登場人物も、全員ではないが、それぞれの結末を迎える。つまりそれだけドラマティックな作品なのだ。いい意味で一番疲れるかもしれない。一瞬たりとも目が離せない、という意味で。
他の作品との比較ではあるが、フィクション性、政策論争性は低い。ただその分、人間ドラマの部分は一番濃い。それぞれがどういう運命を辿るのかが一番の見どころだ。
そのままかもしれないが、“ドラマ”を求めるお客様にぜひお薦めしたい作品である。いろいろ揺さぶられるはずである。

第0話『やみのおふくろ』について

①フィクション性 ★★★
②エキサイティング性 ★
③ドラマティック性 ★
④ビューティ性 
⑤コメディ性 ★★
⑥政策論争性
⑦見やすさ ★★★★★

20分の短編である。登場人物は角栄とおふくろのフメさんのみ。舞台も基本は実家の和室。内容も角栄が初出馬で落選、翌年、当選するまでを描いたドタバタ会話劇。なので見やすさは他の3作品と比較にならない。そこで見やすさ指標を新たにつくり、★★★★★(五つ星)を付けた。この作品に「よくわからない」という感想を持つ人、おそらく皆無だと思う。そのくらい見やすい。難しい話は一切ない。苦笑
そして特徴的なのはフィクション性。この作品は、「角栄がなぜ政治家を目指すのか」を親子で問答する物語だが、その答えとして描いたことは「嘘八百」である。完全に私の、希望も含めた解釈である。とはいえ、当たらずとも遠からずではないかと思ったり。
角栄役の狩野和馬とフメ役の宮越麻里杏の息の合った会話の応酬をぜひ観ていただきたい。『宵闇~』ほど、コメディコメディしてないが、でも終始ニコニコして見られること請け合いである。
演劇に“ほっこり”を求めるお客様にぜひお薦めしたい作品である。とはいえ、あくまでこれは本編3部作のスピンオフ。これだけ単独というよりは本編とのセットをお薦めしたい。

疑問、質問、大歓迎!

ということで、主観ではあるが、各作品の特徴を俺なりに書いてみた。もしお金や時間がなく、どれか1本しか観られないという場合に参考にしてほしい。繰り返すが、もちろん4本とも観ていただくほうが満足度は倍増することを保証するけども、である。
そしてこの解説ではわからない、もっと踏み込んだことを教えてくれ、という方がいらしたら、ぜひ返信やリプライ、DMなどでその旨、お寄せいただきたい。きちんと対応するつもりである。

ご予約、心よりお待ちしております。

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