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がんをやっつけろ!最終話「徒然なるままに2」

シリーズで書いてきた闘病記だが、これでとりあえず終えようと思う。
前話で書いたように治療自体は来年9月まで続くし、いわゆる(転移がないかの)経過観察は5年間らしいので、病院通いはまだ続くのだが、皆さんにお伝えしたいことはほぼ書き終わったので。
ということで最終話となる今回は、がん患者になって思ったことや知り得た情報などをつらつらと書いていこうと思う。

とにもかくにも食事に気を付けろ!

がん関連の本やYouTube、経験者の話など、いろんな情報を見たり聞いたりすると、発がん性の高い(と言われてる)食べ物がいくつかあることがわかる。食事に起因することもあるんだろう。
もちろん俺は専門家じゃないので根拠があって論じるわけではないこと、あらかじめご容赦いただきたい。

とにかく1番目にするのは「人工保存料」だ。一説によれば、タバコやお酒より発がん性が高いとのこと。喫煙者は減ってるのにがん患者は増えてることの説明として言われた。なるほど、言われてみると俺自身、「人口保存料」の恩恵をたぶんに受けた食生活をしていた。
「人工保存料」とは、言うまでもなく、加工食品が日持ちするよう加えられる物質だ(と思う)。コンビニ弁当や菓子パン、おにぎりなどに入っている(と思う)。腐らないように。
改めて考えると化学のチカラはすげえなと。腐るものを(しばらく)腐らないようにさせるんだから。でもその代償はそれなりにあるということか・・・と、こんなことを書いてたら、ある広告を思い出した。

バーガーキングの広告(米国)

3年前だったか、カンヌ広告祭にてグランプリを獲ったバーガーキングのグラフィック広告。「バーガーキングは人口保存料を使っていません」というメッセージを伝えるために、カビだらけのハンバーガーを広告にしているというインパクト大の広告だ。おそらく日本じゃ無理な広告。
ちなみに余談だが、日本もこんな(いい意味で過激的な)表現を寛容する国になったら面白いのになーと思ったり、思わなかったり。

「人口保存料」の次に見たり、聞いたりするのが「砂糖」。特に飲料(コーラや缶コーヒー、エナジードリンクなど)に入ってる糖類はよくないらしい。それと「加工肉」。ハムとかウインナー、ベーコンだ。「加工肉」の摂取量とがん発生率に相関性があるというのが最近の研究でわかってきた・・・らしい。これはネットで調べるといろいろ出てくる。とはいえ、「人工保存料」「砂糖」「加工肉」、いずれも飲みすぎたり、食べ過ぎたりした場合の話だ(と思う)。食べたからといってすぐがんになるわけではない(と思う)のであしからず。そもそも砂糖を摂りすぎって、がんになる前に他の病気になりそうだし。でもまあ事実として俺自身、たぶんに心当たりのある食生活であった。
参考までに書くと、逆にがん予防の観点から身体にいいとされている食品は、大豆、キノコ類(特に舞茸)、魚(青でも赤でもいいらしい)とのことだ。

身体はがんに侵されていたことを知っていた?

俺自身が違和感を自覚したのは第1話「入院までの道のり」で書いたように、今年の2月、食事中に嘔吐したことがきっかけだ。それまではまったく自覚症状がなかった。が、自覚がなくても身体は知っていたのか、去年の春頃からなぜか急に健康意識が高まっていた。今、思えばだ。
郵便受けに入っていたチラシが気になりスポーツジムに通うようになったり、急にウォーキングに目覚めたり、それこそ食事に気を使うようになっていたり、自覚がなくても身体はがんに侵されていることを知っていて、健康に気を遣うよう仕向けていたのではないかと思ったりする。だって本当にこの1年なのだ。いろいろ気を遣うようになったの。
そのおかげで術後の回復が比較的早かったんじゃないかと。とはいえ、筋肉と会話していたがために腹筋痛が地獄の苦しみだったことは第6話「俺の5日間戦争」で書いた通りだ。

基本的には週1で無酸素運動をしている。今も。

死ぬことについて

今まで「死ぬ」と思ったことが1回だけある。
大学1年生の夏、台風が近づいているにもかかわらず友人と海で遊んでいた(よい子はマネしないでね)とき、俺は浮き輪で泳いでいて、気付いたら沖の方に流されていた。「これはヤバい」と自覚し、浜辺を目指し、泳ぐも進まない。むしろどんどん沖に流されていく始末。これはもう浜辺を目指すより、横に見えるテトラポッドから上がった方が早いと判断し、海に浮き輪を捨てて必死に泳ぐ。なんとかテトラポッドにたどり着き、上がろうとするも、波のチカラでなかなか上がることができない。「波の引く力には逆らえない」とよく聞くが、身を持ってそれを体験した。確かに逆らえない。テトラポッドに足を掛けるも、引く力がすごすぎてまた海に落ちてしまうのだ。繰り返し繰り返し。いやー、そのときはホントに死を覚悟したよ。とにかく怖かった。結局、一緒に泳いでいた友人が傷だらけになりながらも先に這い上がり、その彼が手を貸してくれて助かったのだった。

今考えるとテトラポットの方が危険だったな 苦笑

今まで「死ぬ」と思ったことはその1回だけ。そのほか、何回か交通事故にあったりもしたが、一瞬過ぎて「死」を意識することはなかった。

ツーリング先にて@文章とは関係ない大学1年のころ

今回、何人かの人から「がんになって怖かった?」って聞かれたが、まったく怖くなかった。第1話「入院までの道のり」で書いたように、がん告知が異様にあっさりしていたんで、深刻にならなかったってこともあったけど、なんとなく「なんとかなるだろう」っていう楽観的な考えがあったからだと思う。今やがんは治療可能な病気で、昔ほど怖い病気じゃないことを知っていたから。つまり、自分はどこかで絶対治ると信じていたのだ。
・・・でも、実は、それ以上に、矛盾することを書くが、どこかで「もう死んでもいいかな」と覚悟もしていた。これが俺の運命なら潔く受け入れようと。今まで散々好き勝手に生きてきた(と思っている)から、思い残すことがあんまりなかったのだ。強がりでもなんでもなく本当にそう思っていた。人間はいつか必ず死ぬ。それが10年~20年、早まっただけじゃないかと。事実、がんが発覚した後、俺は大切なひとに「機密情報」を伝えてもいた。いつ死んでもいいように。
なんかこう書くと悲観的、後ろ向きに思えるかもしれないが、なんていうか、かなり前向きな後ろ向きだ。なんのこっちゃかもしれないが、前向きな後ろ向き、それが当時の正直な気持ちだった。
ネットで“食道がん”を検索すると、ステージ3は「5年後の生存率30%」とあり、思ったより低くて、だからそんな気持ちになったのかもしれない。
あ、でも先生曰く「手術で食道を取ったら5年生存率が60%に上がるよ❤」って言われたんで、たぶん俺は5年経っても死なない。60%っていうのがなんか微妙だけど。半分以上だから良しとしよう。苦笑

と、こんなことを書いていたら、第0話「世界の終わり / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT を聴きながら」でも紹介したチバユウスケの訃報を知る。同じ食道がんと闘っていた者同士、びっくりした。しかも55歳。俺のひとつ下じゃないか!ショックだ・・・
チバユウスケに関しての大切なご報告

ロックンロールをありがとう!


改めて振り返ると、今回、大学1年生以来、もっとも「死」を身近に思う体験だったように思う。でもあのとき感じた恐怖はまったくなく、ただただ淡々と運命を受け入れようと思っただけだった。それが海と病気の違いからくることなのか、歳のせいかはわからない。そう思ったという事実があるだけだ。

さて、「心残りはあんまりない」と書いた。つまり裏を返せば、ひとつやふたつはある、ということだ。これからもその願いを叶えるべく、誠実かつ真摯に生き続けようと思う。

心配を寄せてくれた皆様に感謝を!

がんになってよかったことは、「人間はひとりじゃない」という当たり前の事実を再認識できたことだ。本当にいろんなひとから心配の言葉を頂戴したし、助けられた。SNSなどでメッセージをくれたひとやお見舞いを送ってくれたひと、もちろん陰ながら心配してくれたひとたちには感謝しかない。本当にありがとうございます。皆さんのおかげで「地獄の5日間」を乗り切ることができたと思っています。重ねて御礼を!

特に両親には何から何まで助けられた。手術後は、今もだけど、食事が大変なので、本当に助かった。ふたりとも80オーバーのシニア(父親は今年米寿だ!)であるが、ひとり暮らしの俺のため、献身的にサポートしてくれた。いや、過去形じゃなく今も。ありがたい。とにかくこれからは今まで以上に親孝行せねばと改めて決意する次第。

体験者だから言えること

今やがんは2人に1人の割合で罹るし、日本人の死因30%を占める国民病だ。30%ってことはほぼ3人に1人ってことだ。そんなに!?
もちろん高齢者も含めての数字なので、若い人たちがそこまで心配することはないとは思うが、でも数字自体は事実だ。
日本人の2人に1人ががんになる時代(秋田魁新報2019年7月27日付)

そこで、みんなに意識してほしいことを書いてみる。至極当たり前のことばかりだが、つい忘れがちになることだらけなので、これを読んで改めて自分ごととして捉えてほしいなと願って。

  1. とにもかくにも食事である。健康は口に入れるものに気を遣うことから始まること、ぜひ肝に銘じてもらいたい。コンビニで売っている弁当類(菓子パンも含む)は特に控えた方がいい。もちろんカップラーメンも。ジムのトレーナー(健康オタク)は「コンビニには僕が食べられるものが全然売ってない。唯一、フルーツくらい」と言っていた。極端な例かもしれないが、「便利」と引き換えに払わなければならない「犠牲」はそれなりにあるということだ。

  2. 健康診断は定期的に受けるべし。忙しかったり、自分は何の問題もないと思ってたりすると行かないと思う。が、しかし、何よりがんは早期発見が生命線。少しでも進行してしまうとそれこそ命に関わる。面倒くさいと思わず、できれば年に1回、少なくとも2年に1回は受けるべきである。

  3. がん保険は入っていると安心かも。もちろん収入に寄りけりだとは思うが、なってからじゃ遅いので、早いうちに入っていた方が掛け金も抑えられるし、俺は「入っておいた方がいいよ」と思う派だ。ちなみに今回、抗がん剤治療が3回、手術が1回で、大体150万円掛かった。高っ!・・・がん治療は金が掛かると言われるわけだ。俺は「がん保険」に入っていたので、100万円の保険金が下りたが、それでも足りなかったのだ。・・・実は今続けているオプジーボはもっと高くて腰を抜かした。まあ命には代えられないので納得はしたが、それにしても、ではある。苦笑

  4. 健康に感謝しよう!もし今あなたが「自分は健康だ」と思っているなら、それはとても尊いものだ。無茶することなく、どうすればそれを維持できるか、少しでもその想いを巡らせてほしいなと。

  5. それでもがんは怖くない。第4話「ビフォーアフター」でも書いたように世の中にはがん情報が溢れているし、何よりがんサバイバー(「がん体験者」のことをそう呼ぶ)が結構いることに俺は驚いた。ブルータスじゃないけど、「お前もか!」ってなった。つまりは治療可能な病気なのだ。もしなったとしても決して悲観することはないと思う。

以上が体験したことで思ったことだ。

大好きな曲をあなたに

もっとも敬愛するアーティスト桑田佳祐も10年ほど前に食道がんが見つかり手術を受けている。そのときに制作したと言われるアルバム「MUSICMAN」から『銀河の星屑』を。
歌詞を読むと病気との関連を想像してしまうが、本人曰く「病気の前に書いた詩」とのこと。名曲だと思う。

ちなみにヘッダーの写真は今年の9月にサザンの茅ヶ崎ライブに行った時のもの。めっちゃ楽しかった!!!

シリーズの締めくくりに

この「がんをやっつけろ!」シリーズはもうこれでお終いだけど、治療に関わる体験記的なことは書きたくなったら単発で書く予定である。まあ気が向いたらなので、気長に待ってほしい。誰に言ってるかわからんが、これを読んでるあなたに、だ。笑

では最後にこの夏に撮った(撮られた?)動画を。

これは退院直後、実家に帰省していた時、JACROWメンバーのみんなが見舞いに・・・というより遊びに(笑)来てくれて、それでみんなでマザー牧場に行って、バンジーに挑戦したときの動画である。第4話「ビフォーアフター」で書いたけど、「バンジージャンプをしたい!」という俺のささやかな願いを叶えるために。
そう、夢、希望、願い・・・こそ生きるエネルギーだと思うのだ。

ここまで読んでくださりありがとうございました。


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