ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。令和2年度編
はじめに
先日よりTwitterにて投稿している「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。」シリーズです。
前回の「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成31年度編」に続いて、令和2年度分の指摘をしていきます。
なお、この年からNPO団体名として前身の「ポルノ被害と性暴力を考える会」から「ぱっぷす」名義となっております。
ぱっぷすの令和2年度事業報告書
ぱっぷすの事業報告書は以下の東京都のサイトにありますので、皆さんもダウンロードしてみてください。
東京都が出している記載例と照らし合わせれば、すぐにおかしな所を指摘することができます。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/documents/files/0000001198/sankou.pdf
では、そんな令和2年度の事業報告書のおかしな点を1つづつ指摘していきましょう。
事業の実施に関する事項
まず冒頭の相談件数ですが、相変わらず「人」と「件」がごっちゃですね。
令和2年度の事業報告書の「1 事業の成果」では新規281件、前年度182件となっていますが、「2 事業の実施に関する事項」の同項目では新規相談281人となっていますね。
ちなみに、前年度は181人なので数字も微妙に違ってますね。
相変わらず整合性が皆無。
また、平成31年度にもあった話ですが、その他事業で合計50万円の費用が記載していますが、
活動計算書の「その他費用」に一切費用計上されていません。
その他事業の費用はどこへ?
それから、外注で「性的画像記録の削除要請事業」として外部委託費用45万円を計上しているようですが、
活動計算書の業務委託費を見ると事業費の業務委託費は¥36,900-であってないですね。
管轄外の管理費の業務委託費も¥175,000-で足しても¥211,900-にしかならず、20万円以上の差が出ていますが、どういう仕分けにしているのかな?
それとも中抜きでもしてるの?
貸借対照表
令和2年度は貸借対照表自体はちゃんとバランスしていますね。
やればできるじゃん。
ただ、他の文書と整合性が取れていないところが多々あります。
なので、計算書類の注記を中心に貸借対照表や活動計算書を見ていきたいと思います。
計算書類の注記
この年から計算書類の注記を一応記載するようになったのですが、色々問題があるので、それを見ていきます。
まず貸借対照表で無形固定資産としてソフトウェア費が固定資産として計上されました。
で、活動計算書を見ると減価償却費が¥443,333-発生しているので、このソフトウェア費は¥3,356,667+¥443,333 =¥3,800,000-として初期に計上されていることが解ります。
ちなみに5年の定額法で減価償却されているようなので今年度は7か月分償却したようです。なので、ソフトウェアの使用開始は令和2年度の9月から。
で、計算書類の注記を見ると、「棚卸資産の評価基準及び評価方法」が「該当なし」になっています。
???
いや、ここに定額法で減価償却している旨を記載するんですよ。
そもそも貸借対照表の固定資産に資産計上していて、減価償却もしているのに「該当なし」ってどういうこと?
あと、何をもって減価償却して減価償却費を活動計算書に計上したの?
意味が解りません。
その流れで、「固定資産の増減内訳」も記載しないといけないのですが、それもないですね。
本来であれば以下の様な表を作成して、資産の状況を明示しないといけないのですが、必要なものを記載していないですね。
別に特別なことではなくて、東京都の記載例には当然書かれていますので、記載例をちゃんと見ていない証左ですね。
また、計算書類の注記の「使途が制約された寄付金等の内訳」の記載がないですね。
ぱっぷすは平成31年から以下の通り厚労省から「児童ポルノ・リベンジポルノ等の性的画像記録の削除とその支援事業」でお金貰っているので、
「使途が制約された寄付金等の内訳」は記載しないと駄目ですね。
こちらも別に特別なことではなくて、東京都の記載例には当然書かれていますので、記載例をちゃんと見ていない証左ですね。
社員名簿
この年は役員名簿は問題ない、というか黒塗りでさっぱりわかりませんが、社員名簿も同じく黒塗りでほとんどわからないですね。
まぁ、そのほとんどが個人情報でしょうから、黒塗りで良いのですが、そんな中でもおかしなところがあって、
これ令和2年度の報告書ですよね?
何で令和3年6月20日現在なんですかね。報告期間外ですよ。
これちゃんと社員の履歴管理できてないんじゃないですか?
最後に
いかがでしたでしょうか?
以上が「ぱっぷす」の令和2年度の事業報告書です。
この年は貸借対照表の間違いという重い問題は回避していますが、それなりのミスを連発していましたね。
東京都が要請している記載例を無視しているのですから、東京都はちゃんと指摘しないといけないと思うのですが、全くできてないですね。
というところで今回はここまでとさせていただきます。
次は本日(2023/4/9)次点で最新となる「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。令和3年度編」でお会いできればと思います。