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NPO しんぐるまざあず・ふぉーらむ 令和4年度東京都ひとり親家庭就業推進事業の収支予算書と収支決算書


はじめに

先日ニュースで元職員の会計不正が発覚したしんぐるまざあず・ふぉーらむについて、Twitterにて事業報告書等を読み解いてきましたが、今回「令和4年度東京都ひとり親家庭就業推進事業」の開示資料を手に入れることもできましたので、それとも比較しながら、主に開示資料でおかしな点について見ていきたいと思います。

前提資料

本noteは以下の資料を基に作成しています。

事業報告書

しんぐるまざあず・ふぉーらむの事業報告書は東京都のNPOサイトに掲示されています。

また、しんぐるまざあず・ふぉーらむのHPにも掲示されています。


収支予算書令和4年度東京都ひとり親家庭就業推進事業の開示資料

アクリルさんがnoteにアップされていますので、ご興味のある方はダウンロードしてみてください。

アクリルさんにはこの場を借りて感謝を申し上げます。

それでは次項より、そのおかしな点と内容について記載していきたいと思います。

収支予算書と収支決算書の乖離

令和4年度東京都ひとり親家庭就業推進事業は事業計画書に「収支予算書」を、実績報告書に「収支決算書」を添付する形になっています。

事業計画書と収支予算書
実績報告書と収支決算書

この収支予算書と収支決算書を比較しながら、そのおかしな点を挙げていきたいと思います。

科目の差異

まず科目の差異ですね。
収支予算書にだけにある科目:3項目(青下線) 
 ・会議費
 ・備品購入費
 ・保険料
収支予算書にだけにある詳細項目:2項目(水色下線)
 ・チラシ送付外部委託費
 ・Line公式アカウント
収支決算書にだけにある科目:4項目(緑下線)
 ・研修費(PC研修・MOS)
 ・支払手数料
 ・新聞図書費
 ・広告宣伝費

収支予算書と収支決算書の科目・項目差異

表に抜き出すと以下の通り。

収支予算書と収支決算書の科目・項目差異抜き出し

これだけ科目・実施手段が変わっているのに、東京都は決算書をこのまま承認したんですかね。
研修費と言いながら「MOSの受験チケット等」とか、もはや研修の域を超えて受験費用の肩代わしていて、かつ計画に無いことを実施していたりするわけです。
契約書には以下の通り事業変更計画が必要なはずですが、

契約書 事業計画及び実施方法

事業変更計画の提出をしていたんですかね・・。
見当たらない訳ですが・・・。

予算額との差異(大きく変化したもの)

また科目だけではなくて、収支予算書の記載金額から収支決算書の金額が大きく変わっているものも多く見受けられます。
収支予算書から収支決算書で大きく費用が増減しているところに下線を引いてみました。

収支予算書と収支決算書の金額差異箇所

表にするとこんなところです。

収支予算書と収支決算書 金額差異箇所比較

科目の付け替えで消耗品と通信運搬費がえらいことになっていますが、他項目も8-9割ほど予算を単純に消化していない項目もあって、「何でこんな計画を立てて、実施されていないの?」と突っ込みたくなる要素が多いかな。
また、それらの消化できていない内容も矛盾を感じる点もありますが、それは後続の「個別項目の疑問」で見ていきたいと思います。

科目の変更

ホームページ改修費:雑役務費⇒再委託費
パソコン貸出料:賃借料⇒消耗品費
Wifi貸出:賃借料⇒通信運搬費

科目・費目の付け替え

パソコンはレンタルから中古購入になったのですかね。
実際には48台を研修参加者に譲渡していますね。

研修参加者へパソコンを譲渡

パソコンをレンタルから、中古購入⇒一部譲渡に変更したのであればこちらも計画の変更として事業変更計画が必要と思いますが、これを東京都はチェックしているのかな?

WBPCの東京都若年女性支援事業の際もそうでしたが、これだけ科目や内容が変わっているのに、東京都の職員は理解して承認をしているのかと毎回疑問に思います。
事業を委託し監督者の立場として、普通なら「受け取り側に理解できるように記載して欲しい」と是正させるかと思うのですが、福祉保健局の職員はそういうことをしないんですかね・・。

個別項目の疑問

それでは次に個別の科目・費目の内容について、疑問点を書いていきたいと思います。
現時点でもまだ全ては見きれてはいないので、今後追加・修正もあるかと思いますが、その点はご容赦ください。

賃金・賃借料と活動に付随する科目の差異

まず、賃金・賃借料とそれに付随するはず科目の差異ですね。
それらをまとめた下表を見れば明らかですが、

賃金・賃借料と付随する科目の比較
賃金・賃借料と付随する科目の図

賃金・謝金は収支予算書とほぼ変わっておらず、賃借料(教室代と事務費)は150万円程増えていたりします。
これを見るに、事業計画書通りの活動か、もしくはそれ以上に事業が活発であることが伺えます。
ですが、その活動に付随する科目、福利厚生費・旅費・水道光熱費は収支予算書の半分以下しか使用されていないですね。
逆に言えば、これらの経費を見るに予定通りの活動ができていないようにも見えるわけですが、賃金・謝金が維持され、賃借料に至っては増加しているのはどういう活動をしたんでしょうね。
その辺りの理由は実績報告書には記載は見受けられないかな・・。

賃借料と謝金間の疑問

次に前項でも触れた賃借料ですが、ここももう一点疑問点があります。
まず収支予算書ではパソコンとWifi貸出が含まれていますが、決算書で別の費目に移しているのでここでは省きます。その上で

収支予算書と収支決算書の賃借料

収支予算書では 
 教室等賃借料:1,590,750-
 事務所費  :1,090,800-
 合計    :2,681,550-
となっていますが、決算書では
 教室等賃借料・事務所費 合計:4,237,425-
となっています。
事務所費は急遽移転でもしない限り予算と変わることはないと思われますので、事務所費は収支予算書と同額であると考えると、教室等賃借料は¥1,590,750⇒¥3,146,625-
に増加したと考えられます。
収支予算書では教室等賃借料は 
¥70,000×25×0.909(恐らく消費税10%分を除いている)
と記されているので、7万円(正確には¥63,630-)で25回教室を利用・開催する予定だったようです。

収支予算書 教室賃借料

ですが、¥3,146,625-となると、約2倍の49回程度講習などで教室を開催していることになります。
では開催数が増えた分、講師の報酬にあたる謝金は増えているかというと

収支予算書と収支決算書の謝金

ほぼ変わらずですね。
謝金の内容がまるめられてしまっているので、講師報酬の内訳が変化している可能性もありますが、実績報告書にも「開催数を増やした」との記述は見られないので開催数の増加は謝金の観点では見受けられないですね。
教室等賃借料が増えてるけど、謝金からは開催数は変わっていないように見える・・・、この矛盾はどう説明したのかな・・。
教室等賃借料が計画時の倍にでもなったのかな?
それだと計画が杜撰すぎますね・・。

水道光熱費の疑問

最後に水道光熱費ですね。
年間で¥15,526-と記載されています。

収支決算書 水道光熱費


内訳の「水光熱費×12」という記載からして意味不明ですが、毎月1,294円固定?ということですかね。
東京都だと水道料金と電気代は何もしなくても 水道¥860/月、電気¥295~321/月は料金が発生するので、どうしているの?と思う所もありますが、恐らく、他の事業や自己事業と按分したものを記載していると考えられます。

ただ、按分をしているにしても、その按分方法に疑問が残ります。
しんぐるまざあず・ふぉーらむの事業報告書を見ると、実際この「東京都ひとり親家庭就業推進事業」は「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」に属しています。

特定非営利活動に係る事業

この「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」事業の全体経費は
¥144,468,320-(下図:最下部青線)
東京都の委託料が
¥47,052,294-なので本委託規模としては「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」のうちの1/3となります。
また、地代家賃で考えても
¥5,219,795-(下図:中ほど青線)
で、本委託事業の事務所費(予算ベース)は¥1,090,800-なので約1/5となります。
つまり水道光熱費の按分の目安として「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」全体の1/3~1/5になると考えられます。

事業報告書 計算書類の注記

ところが、「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」の水道光熱費は¥591,619-なのに対して「東京都ひとり親家庭就業推進事業」の光熱水費が¥15,526-とすると約1/40となるため、全体経費や地代家賃に対して全く按分割合が異なるわけです。
この按分を東京都はちゃんとチェックしているのかな?

ちなみに個人的な想像ですが、本当は水道光熱費は月平均¥15,526×12=¥186,312-なのに、誤って月平均¥15,526-をそのまま年間の水道光熱費として記載してしまった、というポカではないかと考えています。
¥186,312-であれば、事業報告書の「主としてひとり親と子への就労支援事業、無料職業紹介事業」の水道光熱費の約1/3なので按分として腑に落ちるところですかね。
ただそうなると、
「その差額はどうしたのか、何で補完したの?」
という話になるし、
「検査で領収書はどうなってるの?」
という話でもあるので、
「何処かで鉛筆を舐めているのでは?」
という疑問がどうしても湧いてきてしまいますね。
そもそも、検査しているのかな・・・。

最後に

いかがでしたでしょうか?
これまで東京都若年被害等支援事業についてWBPCのおかしな会計をTwitter等で掘ってきたわけですが、この「東京都ひとり親家庭就業推進事業」のしんぐるまざあず・ふぉーらむの実績報告書(収支決算書)も色々おかしいところが見受けられますね。
なお、「若年被害等支援事業」が少子社会対策部で、この「ひとり親家庭就業推進事業」が子供・子育て支援部と、部こそ違いますが、共に東京都福祉保健局(令和4年当時)の事業ですね。
なので、東京都の受託団体に対するチェックも東京都若年被害女性等支援事業と大差がない可能性がありますので、この「ひとり親家庭就業推進事業」でも、色々と出てくるのかもしれませんね。

今後も少しづつこの事業も調べていくこととなりそうですが、新たに何か見つけましたら、またnoteにまとめさせていただければと思います。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。






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