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ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成30年度編

はじめに

先日よりTwitterにて投稿している「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。」シリーズです。
前回の「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成29年度編」に続いて、平成30年度分の指摘をしていきます。

ぱっぷすの平成30年度事業報告書

ぱっぷすの事業報告書は以下の東京都のサイトにありますので、皆さんもダウンロードしてみてください。

東京都が出している記載例と照らし合わせれば、すぐにおかしな所を指摘することができます。

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/documents/files/0000001198/sankou.pdf

では、そんな事業報告書のおかしな点を1つづつ指摘していきましょう。

事業の実施に関する項目

まず冒頭の「1 事業の成果」にて「『上記事業に関する報告書等出版事業』について、~パンフレットのリニューアルを行い2000部印刷」と記載されていますが、

事業の成果

「2 事業の実施に関する事項」の同項目では「1000部作成」となっています。残り1000部は何処に行ったのでしょうか?

事業の実施に関する事項 上記事業に関する報告書等出版事業


また、「2 事業の実施に関する事項」の「その他の事業」の「出版物等の書籍・物品販売事業」で費用が2万円かかっています。

事業の実施に関する事項 出版物等の書籍・物品販売事業

でも、活動計算書の内容を見ると、事業費のその他事業の項目ではなく、管理費のその他事業に計上されていますね。

活動計算書 その他の事業

管理費の内容は「事業の実施に関する事項」に記載する内容ではありません。「事業の実施に関する事項」は活動計算書の事業費にあたるので記載も誤りということになります。
また、「事業の実施に関する事項」の事業費の総費用と、活動計算書の事業費も一致しないといけないので、会計も疑わしいということになってしまいますね。
「事業の実施に関する事項」の事業費の総費用では、(1)特定非営利活動に係る事業が826.7万円、(2)その他事業が2万円で合計828.7万円ですが、

事業の実施に関する事項 事業費の総費用合計

活動計算書の事業費は¥8,267,260-なので、その他事業の2万円分がちょうどズレてますね。

活動計算書 事業費抜粋

ここがズレているということは他の何かが計算を間違えているはず、ということになりますがどうなんでしょうね。

活動計算書

上記の問題に加えて、「賛助会員受取会費」もおかしいですね。
活動計算書の「賛助会員受取会費」が¥1,148,100-となっていますが、

活動計算書 賛助会員受取会費

定款では「賛助会員受取会費」は1口1,000円になっています。

定款 賛助会員会費

なんで、100円単位の「賛助会員受取会費」になっているのか解りません。
自らの定款を守ってないんですかね。

で、ここまでは軽いジャブですかね、次から重い話です。

貸借対照表

さて、この年度の一番の問題の箇所がここになります。
少しややこしいですが、結構な問題です。
ここで、前回平成29年度の事業報告書で予告していたズレの話が登場します。
まずこの年の貸借対照表は資産が¥5,490,616-、負債と正味財産の合計が同じく¥5,490,616-でバランスしています。
資産合計の場所に資産を正しくかけよというツッコミはありますが・・。

貸借対照表

バランスしているので問題ないように見えますが、これ「前期繰越正味財産額」¥10,731,876-が間違っているんですよね。
前期繰越正味財産額は前期の正味財産の合計額になります。
ということで前回みた平成29年度の年度の貸借対照表を見てみましょう。

平成29年度 貸借対照表

平成29年度の正味財産額は¥10,469,080-ですので、平成30年度の貸借対照表に記載の前期繰越正味財産額¥10,731,876-と不一致ですね。
じゃあ、平成30年度の貸借対照表に記載の前期繰越正味財産額¥10,731,876-は何処から来たのというと、恐らくその上の流動資産額合計と一致するので、これかと。

これが何を意味するか。
平成30年度の貸借対照表は誤った数字でバランスしているので、貸借対照表自体が誤っているということになります。

それを踏まえて活動計算書とも見比べてみましょう。
ややこしい話ですが、活動計算書に記載の前期繰越正味財産額は¥10,469,080-ですので正しいんですよね。

活動計算書 正味財産額抜粋

で平成30年度の正味資産増減額は¥△5,084,032-と約508万円の赤字だったんですね。
ところが、貸借対照表では当期正味財産増減額は¥5,416,828-という、「何処から出て来たんだその数字は?」という謎数字が記載されています。

貸借対照表 正味財産の部抜粋

そして、前期繰越正味財産額も本当は¥10,469,080-なのに、¥10,731,876-が記載されています。
間違った数字から間違った数字を引いているんですよね。

しかし、結果の正味財産合計¥5,315,048-。これ活動計算書の次期繰越正味財産額(=活動計算書の正味財産合計)と一致してますね。

活動計算書 次期繰越正味財産額抜粋

間違った数字から間違った数字を引いて結果はあっている。
ホラーですね。

整理すると、前期繰越正味財産額-当期正味財産増減額=正味財産合計
なので、貸借対照表のどこがおかしいかと言えば、
①前期繰越正味財産額・・・誤っているが引用元は明確
②正味財産合計・・・活動計算書と一致している。(=正しいと仮定)

貸借対照表 正味財産の部 推測

なので、当期正味財産増減額の鉛筆舐めて、数字を合わせに行った可能性が高いということになりますね。

はい、もちろんこれは駄目ですね。
当期の正味財産増減、企業会計で言えば損益計算書の結果が間違っているわけですから、領収書の仕分けから全てやり直すレベルかと思います。

で、各自治体でも「こうなっちゃだめですよ」と丁寧に説明してたりチェックリスト化されているくらいなので、基本中の基本の内容なので、間違って良いものではありません。

福岡市のNPOチェックリスト

役員名簿

前述の貸借対照表の誤りに比べてば、既にどうでもよいレベルかもしれませんが、一応やっておきましょう。

年間役員名簿

①「年度年間役員名簿」?
「平成30」の記載漏れでしょうね。

②H30/4/1~6/1は理事不在?
前年の同資料と見比べると平成30年4月1日~6月30日の期間の記載がないので同期間は理事不在ですね。

定款 役員の項

定款の役員の項目を見る限り、理事不在はないはずなんですがね。

③そもそも年度の期間が変わっていないか?
任用期間が7月から翌年6月になっていますね。年度の期間の概念を変えたのかもしれませんね。ちなみにBONDプロジェクトは11月~翌10月いう変則的な年度の概念で運用していますね。
でもそれであれば、どの期間の資料か平成29年度のように記載しないといけないのですが、そもそもその記載がないんですよね。

計算書類の注記

そして、平成29年同様、本来はこの後に計算書類の注記が記載されていないといけないのですが、平成30年度も用紙そのものがありません。

東京都 事業報告書等の提出

最後に

いかがでしたでしょうか?
以上が「ぱっぷす」の前身「ポルノ被害と性暴力を考える会」の平成30年度の事業報告書です。
早速、貸借対照表の間違いという重い問題が発生しています。
実はこの後も貸借対照表で色々問題が続きますので、乞うご期待状態です。

暇空さんが「ColaboはWBPCの中ではマシな方」とよく言われてましたが、BONDプロジェクトに続いて、ぱっぷすに関してもそれが良く解る内容になっています。
東京都は監督できてるとは言い難いですし、むしろ東京都を誰かが監督して、できてないならペナルティを与えないといけないですね。
というところで、今回の話は締めたいなと思います。

次は「ぱっぷすの事業報告書のおかしいところ。平成31年度編」でお会いできればと思います。


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