NPO しんぐるまざあず・ふぉーらむ 事業報告書 令和3年度の助成金支給実績を助成先の事業報告書と比較する
はじめに
先日ニュースでも報じられた「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の元職員の会計不正が発覚した件について
Twitter(X)にて事業報告書を読み解いてきました。
前回は令和3年度の助成金支給実績とアニュアルレポートを比較してみましたが、
今回はアニュアルレポートに記載されている助成金が、助成先の事業報告書にどのように記載されているかを確認し、それをしんぐるまざあず・ふぉーらむの助成金支給実績と比較していきたいと思います。
助成金支給実績の支給先を確認する
助成金支給実績は支給先が黒塗りされていて支給先の団体は解りませんが
アニュアルレポートには支給先の団体名は記載されていますね。
上記団体の中から、いくつか内容を確認しましたが、どれもいまいちな事業報告書なのでした。(記載がないとか平気である・・・。)
ただ、そんな中でも今回の話で読み解きやすそうな「NPOインクルいわて」の事業報告書を確認して、しんぐるまざあず・ふぉーらむの助成金支給実績を比較していきたいと思います。
なお、念のためですが、NPOインクルいわての事業報告書が怪しいというわけではないです。むしろしっかり記載している印象です。
あくまでも、しんぐるまざあず・ふぉーらむの助成先としての記載を確認することが目的になります。
NPOインクルいわての事業報告書との比較
助成先団体の確認
「NPOインクルいわて」は「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」のアニュアルレポートを見るだけでも
・令和3年度の厚生労働省ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業
・だいじょうぶだよ!基金第三次助成
を受け取っていることが確認できます。
「NPOインクルいわて」もNPOですので事業報告書の提出・掲示が義務付けられていますので、NPOインクルいわての事業報告書を次項より確認します。
NPOインクルいわて事業報告書(計算書類の注記)
では、NPOインクルいわての令和3年度の事業報告書を見ていきましょう。
NPOインクルいわての事業報告書は下記リンクから確認できます。
事業報告書の中で助成金関連を確認する場合は、計算書類の注記の「使途などが制約された寄付等の内訳」が参考になると思われます。
ここには助成金や補助金の様な特定の目的のために受け取ったお金で、団体が自由に使用できないお金の出入りが記載されます。
ただ、しんぐるまざあず・ふぉーらむをはじめとして、ここの記載をマルっとした記載にしていて、詳細を解らせないようにしているんじゃないかと疑念を感じるほど、詳細が解らないことが多いですね。
(なお、記載がないところもあります)
ただ、NPOインクルいわては助成金別にきっちり記載しているので、事業報告書としてしっかりしている印象。
これをみると、NPOインクルいわてはしんぐるまざあず・ふぉーらむから6つの助成金事業で助成金を受け取っているように見受けられます。
(下表:青枠)
そのうち以下はしんぐるまざあず・ふぉーらむの令和3年度の助成金支給実績(下表)には含まれていません。(上表:赤線)
「ゴールドマン・サックス緊急子ども支援基金第2フェーズ」¥2,385,125-
「カプコン株式会社ひとり親支援助成金」¥2,000,000-
「カプコン2021年年末食糧支援助成金」¥1,020,000-
なお、「通販生活1%ネット支援」はアニュアルレポートだと「だいじょうぶだよ!プロジェクト」に内包されているようなので、上表の「だいじょうぶだよ!プロジェクト(1月~12月)」に含まれていると思われます。
アニュアルレポートでも確認する
上記の助成金名をアニュアルレポートから確認すると。
「カプコン株式会社ひとり親支援助成金」¥2,000,000-
「カプコン2021年年末食糧支援助成金」¥1,020,000-
については「だいじょうぶだよ!基金」に、「その他」という形で総額や詳細は不明ですがそれっぽいものを確認することができます。
2回助成金を支給したのも一致していますね。
しかし、助成金支給実績には助成金(事業)名も金額も存在しません。
そうすると、カプコンの助成金は20団体に寄付していますので、仮にNPOインクルいわてと同額が全団体に配られていると、総額約6,000万円の助成金の記載が、漏れていた可能性があります。
一方、
「ゴールドマンサックス緊急子ども支援基金第2フェーズ」¥2,385,125-
ですが、助成金支給実績には助成金(事業)名も金額も存在しません。
しんぐるまざあず・ふぉーらむアニュアルレポートにも記載がないですね。
というか、協力企業にもゴールドマン・サックスはないですね・・・。
記載がないので、どれだけの団体に支給したのかは解りませんが、1団体で¥2,385,125-受け取っていますから、複数の団体に配布していたとすると、数千万単位で記載が漏れているように思えます。
以上から、しんぐるまざあず・ふぉーらむの助成金支給実績は6000万円~1億円弱の記載漏れが発生している可能性がありますね。
改めて助成金支給実績とは
「助成金支給実績」は助成金の支給を行った団体に対して報告が義務付けられている書類です。
ですので、当たり前の話ですが、記載漏れはNGなわけです。
しかも数千万円単位とか、にわかに信じられませんが・・・。
ただ、これが現実であり、だから11/2に記者会見で会計不正の発表に至ったのかとは思いますね。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は他のNPO団体の事業報告書も確認するという試みも実施してみましたが、結構数字を追えるものですね。
11/2に団体が発表した使途不明金の総額が802万7603円だったわけですが、前回の述べたように令和3年度のたった1年の助成金支給実績とアニュアルレポートのズレが使途不明金の総額が802万7603円を超えている状況でした。そして、それに加えて今回はそもそも令和3年度のたった1年の助成金支給実績の記載漏れが数千万円存在する可能性が見えてきました。
もうだいぶ感覚が麻痺してきているのですが、このズレがどこまで膨らむのか正直見当もつかなくなってきました。
令和3年度のたった1年だけを確認しただけでこれだけ出てくるとなると2019(令和元年)年度から2022年度(令和4年度)の4年間ではどれくらいになるのでしょうね。
取り敢えずは第三者調査委員会の調査結果報告を待つとともに、他年度も調査してみたいと思います。
それでは今回のお話はここまでとなります。
最後までご覧いただきありがとうございました。