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BONDプロジェクトの事業報告書のおかしいところ。第9期編

はじめに

先日よりTwitterにて投稿している「BONDプロジェクトの事業報告書のおかしいところ。」シリーズですが、文字数制限なく書けるnoteにも残そうかなと思って、書いてみます。
ちょっと動画投稿の台本にもなるかなと期待しつつ、進めていきたいと思います。

BONDプロジェクトの事業報告書

BONDプロジェクトの事業報告書は以下の東京都のサイトにありますので、皆さんもダウンロードしてみてください。

今のところ遡れる事業報告書で一番古いものは第9期(2017年11月~2018年10月)になります。
本noteもこの資料を基に作成しています。

BONDプロジェクトの事業報告書は少し見てもらえばわかりますが、あからさまにおかしな箇所が多すぎるということです。
例え会計の知識がなかったとしても、東京都が出している記載例と照らし合わせれば、すぐにおかしな個所を指摘することができます。

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/documents/files/0000001198/sankou.pdf

東京都はこれを受け取っただけではなく、東京都のサイトに「これがBONDプロジェクトの事業報告書です」を公開していますので、東京都も中身全然確認してないんだなというのが良く解ります。
ではそんな事業報告書のおかしな点を1つづつ指摘していきましょう。

事業の実施に関する事項

まず、第9期の事業報告書ですが、「事業の実施に関する事項」の事業費がすべて空白です。 報告書としては明らかに不備ですね。

事業の実施に関する事項 事業費がすべて空白

まったく活動してないのかとも受け取れそうですが、全然そんなことはないんですよね。
では次に活動計算書を見てみましょう。

活動計算書

同期の活動計算書には例えば
情報発信事業費:¥123,820-
青少年保護事業費:¥1,437,866-
としっかり計上されています。

活動計算書 事業費

なので、事業費が発生しているにもかかわらず、「事業の実施に関する事項」の事業費欄に費用を記載していないという、明らかな不備のある資料です。

また、この活動計算書もおかし所があって、普通は各事業を科目毎に「給与」や「旅費交通費」、「水道光熱費」等に分解して記載するはずなんですが、何故か「情報発信事業費」「青少年保護事業費」のように事業費を科目にしています。
下の東京都の活動計算書の記載例を見ていただければそれが変なことであることが解ると思います。

東京都作成の活動報告書の記載例

通常、各事業費の中に「給与」や「旅費交通費」、「水道光熱費」等が含まれるので、「情報発信事業費」「青少年保護事業費」等の事業費を科目にしてしまうと、結局「給与」や「旅費交通費」、「水道光熱費」等がいくら使われているのかわからず、かつブラックボックス化してしまうので、提出書類として意味をなさなくなってしまいます。
逆に科目として記載のある「人件費」「旅費交通費」「賃借料」「消耗品費」「設備投資費」「減価償却費」と「情報発信事業費」「青少年保護事業費」が被っていない(二重で計上していない)とするなら、この事業費の中身は何ですか? という話になります。
「青少年保護事業費」に「人件費」や「旅費交通費」が発生しない?
それはおかしいですね。

また、これは前にツイッターに投稿した時は気づかなかったのですが、この書類、上から何かしらで貼り付けていますね。
下のように罫線が何カ所かおかしいですね。

活動計算書 経常費用

これって、物理的にまたはExcel等の図形の埋め込み等で、以下の点線枠のように、上から貼り付け状態になっているように見えますね。
しかも3種類ありそう。(赤枠 橙枠 青枠)

活動計算書 経常費用

貼り付けているということは、どこからデータを持ってきて切り貼りしているということになります。
しかも小計・合計欄や資産の所は切り貼りしていなさそうなので、事業費用の所を操作している疑いがもたれますね。

次は貸借対照表を見てみましょう。

貸借対照表

貸借対照表ですが、まず大問題として、貸借対照表としてそもそもNGです。
貸借対照表はバランスシートと呼ばれます。
何故バランスシートというかと言えば、内容が正しければ資産と負債+純資産が必ず同額になる、つまりバランスするからバランスシートな訳です。
NPOの貸借対照表でいえば「資産=負債+正味財産」にならなければいけません。
ということで、第9期の貸借対照表を見てみましょう。

第9期 貸借対照表

資産:¥16,347,581-に対して
負債:¥16,271,454- 正味財産¥△700,627-で
負債+正味財産:¥15,570,827-
はい、バランスしていません。
やり直しです。

さらに第9期で正味財産が¥△700,627-になっています。 なので翌期の第10期の前期繰越正味財産はこの約-70万円を記載することになります。

第9期 貸借対照表

ですが、 第10期の前期繰越正味財産は何故か¥76,127-。

第10期 貸借対照表

つまり、第9期の正味財産に¥776,754-が何かしらの形で加えられています。 これは第9期に関して報告していない正式の貸借対照表があることを意味することになります。俗にいう「裏帳簿」があることが見えてきます。
これが、BONDプロジェクトが差し替え版を提出していなければ本当に「裏帳簿」になっていますし、東京都が差し替えていないなら、東京都のミスですね。
というか、第10期の貸借対照表を受け取ったときに気付けよって話なんですけどね。
これは、本人の意思に反して暇空さんから資料を無理やり押し付けられた、とされるYoutuberの方が指摘してましたね。

あ、先にやられた。と当時を振り返る私がいます。(笑)

とはいえ、もっと前から指摘していた方も多分いらっしゃったと思います。
その位、会計の世界では基本な話と思われます。
福岡市ホームページの貸借対照表の記載例にはチェックリスト付きで掲載されています。

福岡市 貸借対照表 記載例

で、このレベルのことを東京都はチェックできていないというのが現実、ということですね。

計算書類の注記

事業報告書には「計算書類の注記」という、決められた補足事項を書く様式があります。
 事業報告書:書式第12号
 活動計算書:書式第13号
 貸借対照表:書式第15号
 計算書類の注記:書式第16号
 財産目録:書式第17号
のような感じです。
計算書類の注記にはいくつか記載項目があり、
・事業別損益の状況
・使途等制約された寄附金等の内訳、
・固定資産の増減内訳
・借入金の増減 内訳
・役員及びその近親者 との取引の内容
など、割とセンシティブな内容を記載するところがあるのですが、第9期に関しては、これが全くありません。
もしかすると、この時は計算書類の注記の提出義務がなかったのかもしれませんが、そのあたりの経緯をご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただければ幸いです。

まぁ、第10期以降は「計算書類の注記」の書類は提示されるようになったのですが、これもツッコミどころが多いのですが、それはまた今度の機会に。

最後に

いかがでしたでしょうか?
暇空さんが、「WBPCの中でcolaboはまだましな方」と確か言われていたかと思いますが、BONDプロジェクトのこの事業報告書を見れば確かにと思わされる部分がありますね。
私は大学の時に単位を取るために少し簿記をかじった程度の知識しかありませんが、自分の仕事を委託先に依頼して、その監査などでこの資料が上がってきたらこう指摘するよね、というレベル感でこれだけの指摘ができる訳です。
ところが、東京都はこれを受領したのみならず、東京都のサイトに「これがBONDプロジェクトの事業報告書です」と公開していますので、東京都も中身全然確認してないんだなというのが良く解りますし、これが現実であることに落胆します。

東京都生活文化スポーツ局 法人団体情報 BONDプロジェクト

もちろん、この報告書を作成して提出したBONDプロジェクトにその責任がまず第一にあることは確かですが、一方で東京都がこれを阻止できないことにも私は危機感を覚えます。
なぜなら、WBPCが今回の件で何かしらの決着が付いたところで、第二第三のBONDプロジェクトが出てきた時に、また暇空さんの様な特異な、しかも個人に頼らないといけないのか、という話になってしまうからです。
本来であればBONDプロジェクトを監督する東京都がちゃんとチェックをして、書類がおかしければ指導・指示をして、公金が無駄に使われていないか事業結果を検証したうえで、今後の事業者や予算の配分などを検討し、議会にかけて議論し行使するというPDCAサイクルをまわさなければいけないのに、それ以前の問題で報告書のチェックすらできていない、でも予算は増額とか、もうグダグダもいいところだろって話です。
東京都に限った話かもしれませんが、本来できていないことをできていることにして、ろくに検証してないのに検証したことにして、中身が空っぽの行政を進めていないか、このままでは組織が腐敗する一方になってしまうので、WBPCだけでなく行政側も我々が厳しくチェックしていかないといけないなぁと痛感します。
というところで、今回の話は締めたいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次は「第10期編」になるかと思いますが、気長にお待ちいただければと思います。

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