NPO しんぐるまざあず・ふぉーらむ 令和4年度の支払助成金がやはり数千万ズレる疑い
はじめに
先日ニュースでも報じられた「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の元職員の会計不正が発覚した件について
Twitter(X)にて事業報告書を読み解いてきました。
前回は令和3年度に引き続いて令和4年度の助成金支給実績について投稿しましたが、
今回は令和4年度の助成金支給実績の内容と事業報告書とを比較して検証していきたいと思います。
令和3年度に引き続いて、令和4年度も支払助成金がおかしなことになっているので、その点を見ていきたいと思います。
事業報告書・助成金支給実績
しんぐるまざあず・ふぉーらむの事業報告書・助成金支給実績は東京都のNPOサイトに掲示されています。
なお、「事業報告書」は全NPOに、「助成金支給実績」は助成金の支給を行ったNPO団体は報告が義務付けられているものです。
それでは、次項から令和4年度の助成金支給実績と事業報告書とを比較しながら見ていきましょう。
事業報告書
事業報告書の確認
それでは助成金支給実績を事業報告書と比較していきたいと思います。
事業報告書の活動計算書を確認すると
助成金支給実績が関係する支援費・支払助成金の額は
支援費 :¥286,762,517-
支払助成金:¥123,135,500-
であることが解ります。
その上で、事業報告書の計算書類の注記「事業別収益の状況」を確認すると
支払助成金は全て「活動を行う団体への支援事業」に集約されていますね。
事業報告を確認すると「活動を行う団体への支援事業」は以下の4事業になりますね。
少なくとも支払助成金はこの事業内に絞られるので、これらの事業について内容を確認していきたいと思います。
事業報告:厚労省ひとり親家庭等の子ども食事支援事業
まず、「厚労省ひとり親家庭等の子ども食事支援事業」
事業報告書は82団体になっていますが、
助成金支給実績では97団体
アニュアルレポートでは39団体、39団体で半数以上が複数の助成を受けているので、延べだと80団体になりますね。
まとめると
・事業報告書:82団体
・助成金支給実績:97団体
・アニュアルレポート:39団体、延べ80団体
対象の団体数がどの資料も異なるのは一体どういう絡繰りなんですかね。
事業報告:だいじょうぶだよ!基金助成金事業
次に「だいじょうぶだよ!基金助成金事業」
事業報告書だと18団体に助成したと記載されています。
ですが、前回も記載しましたが、そもそも該当期間の助成金支給実績にこの記載は無く、アニュアルレポートには時期の異なる第4次助成が掲載されています。
ちなみに前年度の2021年度の助成金支給実績にだいじょうぶだよ!基金第四次助成の記載はありますが、2022年3月22日の支給日になっているので、事業報告の2022年12月~2023年5月の期間が全く異なりますね。
なお、団体HPにTopicsでは2022年11月30日に第5次助成が記載されていて22団体¥20,149,000-です。
前回のnoteにも記載しましたが、この第5次助成は助成金支給実績・アニュアルレポート共に記載がありません。
ただ、事業報告の日時2022年12月~2023年5月の期間と一致するので事業報告が示しているだいじょうぶだよ!基金は第五次助成に思われます。
ですが、一方で団体数が
Topic:22団体
事業報告:18団体
なのでココも異なりますね。
事業報告書の記載はアニュアルレポートにある第4次助成の団体数18団体を引っ張ってきたのかな。
もう何が何やら・・・。
助成金を支給した団体数ですら、事業報告書、助成金支給実績、アニュアルレポート各書類でズレているこの有様です。
いわんや、お金の方は・・・という話になりますね。
次項から金額についても確認していきたいと思います。
事業別損益の状況
前述しましたが、事業報告書の計算書類の注記「事業別収益の状況」を確認すると、支払助成金は全て「活動を行う団体への支援事業」に集約されています。
なので、助成金はこの「活動を行う団体への支援事業」で完結することになります。
助成金支給実績等と支払助成金の比較
前述した通り、「活動を行う団体への支援事業」は
①厚労省ひとり親家庭等の子ども食事支援事業
②見守り体制強化促進のための広報啓発事業
③だいじょうぶだよ!基金助成金事業
④カプコン助成金事業
この4事業が支払助成金の対象ということになります。
そして②見守り体制強化促進のための広報啓発事業は助成金は配布していないようなので、①②④実質3事業ですね。
そして事業報告書の事業別収益の状ではでは支払助成金は
¥123,135,500-
支払われていますね。
では、この支払助成金¥123,135,500-と、前回のnoteのまとめで確認した助成金支給実績・アニュアルレポート等に記載された各助成事業の金額を比べていきます。
上図の通り、支払助成金の対象事業は赤字に記載した所になります。
これを見ると、助成金支給実績・アニュアルレポートで記載のある
①厚労省の助成と④カプコン助成の合計だけでも
助成金支給実績:¥121,427,500-
アニュアルレポート:¥120,575,130-
になります。
ここに助成金支給実績・アニュアルレポートで記載のなかった③だいじょうぶだよ!基金第5次助成の¥20,149,000-を加えると
助成金支給実績:¥141,756,500-
アニュアルレポート:¥140,724,130-
となり、事業報告書の事業別損益の状況に記載の支払助成金¥123,135,500-を上回りますね。
さらに、④のカプコンの助成は、NPOインクルいわての事業報告書に記載のあった「カプコン2022年春食糧支援助成金」の推定総額約1500万円があるはずなので、それも加えると
助成金支給実績:¥156,756,500-
アニュアルレポート:¥155,724,130-
になりますね。(下表青字)
事業報告書の事業別損益の状況に記載の支払助成金¥123,135,500-と比較すると、約3000万円の以上の差が生まれますね。
約3000万円の差額は支払助成金¥123,135,500-基準で見れば支払助成金の約25%に当たる金額が合わないということになりますね。
金額も割合も相当なズレなんですが、これはもうどうしようもないレベルかなと私は思いますが、皆さんはどう思いますか?
さいごに
ということで、令和4年度の支払助成金が約3000万円の以上、割合にして25%ズレている疑いがあるという内容でしたが、いかがでしたでしょうか?
前回のnoteでも書きましたが、会計担当を2022年度から2人増やして体制を強化してもこの会計ですからね。
到底、元々の会計担当者1人のやらかしというレベルの話ではないと思いまし、800万円の会計不正というレベルではないですね。
前回のnoteで、令和4年度の助成金支給実績で約5600万円分。
その前のnoteで、令和3年度の助成金支給実績で約6000万円~1億円分。
2年で合計1.1~1.5億円分の助成金支給実績のおかしい点が見受けられたわけです。
今回の会計不正の発表から、2019年~2022年分を再調査することになっているようですが、第三者調査委員会の2024年1月の報告でどう説明があるのかを見守りたいと思います。
また、これまで確認してきたおかしな所と比較しながら同報告の説明を読み解くと新たな問題点も見えてくるかもしれませんね。
というところで、今回の投稿はここまでとなります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?