現場の人間としての誇り
音響エンジニアのノブです。
THE ONEの現場を終えて、広島に帰ってます。
9月7日から始まった現場ラッシュがやっと終わりました。約1ヶ月ぶりのわが家です。笑
今回の現場は
俺にとって一生の課題であるぐらい
めちゃめちゃ重要な事が得られた現場だったので、
それを忘れないためにここに書き留めておきます。
はじめに。
THE ONEは、俺の音響屋の原点でもあるLESWORLDがずっと追い続けていた夢がひとつ叶った瞬間。
前の投稿で話してたクラウドファンディングも、
なんと102%達成しました!
ステージの最後の演目、「THE ONE」を見て、
7年前にYAをはじめて受けた時の瞬間、それと4年前、
無人島で、俺の人生が変わった瞬間が頭に浮かんだ。
あぁ、俺もこうなって心が動いたんだ。自分は変わったんだって。
音響屋として。現場の人間として。
はい。仕事の事になっちゃいます笑
俺が毎回どんな事を考えて現場にいるかをこれで分かってもらえたら嬉しいですね。
音響現場を踏んでいると、ライブハウスなどの小さな現場もあれば、大きな野外フェスなど、いろんな現場がある。機材の組み方も色々あるし、音響機材は使い方ひとつでも間違ったらシステム全体の調整が狂ったり使えなくなってしまうこともあるぐらい、繊細なもの。扱い方ひとつにも細心の注意が伴ってくるし、形状、大きさなどが様々な会場ひとつひとつに合わせた配線の組み方や備品の置き方など、ステージ周りの導線確保や見た目など。そこまで事細かく注意を向ける。
配線や設置のミスはあってはならない事だが、もしあった場合、小さなものでも大きなものでも、本番のアクシデントやトラブルに発展する事があるので、仕込み後のチェックの段階で全て見つけてなおさないといけない。現場では簡単な事や難しい注文など対応しなければいけない事は数多い中で、もちろんそれらを全て飲み込んだ上で、音響屋としての観点から、イメージに沿った最適なものを選び出して段取りを組む。ステージをより良いものにするために全て繋がってくるからである。そして、忘れてはいけないのが、出音、設備等、音響周りの責任は、もちろん全て音響屋が背負っているからである。これだけでも相当なプレッシャーだよね。
もちろん現場に出ると、こちらが機材周りや音作りに最大限気を配ったとしても、予期せぬ万が一のアクシデントや機材トラブルはいつ起きるかわからない。マイク叩いたり、スピーカーの上に飲み物置いたり、何も言わずケーブルとか電源を勝手に抜くとか... それ以外にもいろいろあるんだけど...笑
たまに一歩間違えたら事故に繋がるレベルのこともたまにあるわけで...
そのリスキーさをどうやったらきつい言い方にならずにソフトに分かってもらえるのか。難しいなぁ。
ライブハウスでバンドしてた頃は、箱の音響さん照明さんたちはめちゃめちゃ怖い人たちが多くて何かやらかせば怒られまくってきた。
音響屋始めてから舞台周りにも携わるようになって、そこでも舞台の人間はみんな怖いし、それなりにピリピリしていたと思う。そこで舞台上の機材周りのミスは一歩間違えたら事故に繋がるって事を散々叩き込まれたはず。
今回の小屋付きさんもまぁまぁ怖かったけど…笑
現場中きついこともしんどい事もめちゃくちゃ言われてきたし、これをされると何が起こるかを自分で分かっているからこそ、現場中にきついこと言っちゃうこともめちゃくちゃある。でも、言い方がキツすぎてトラブってしまう事もしばしば。
でもね、こんなんでええんかって、今回の現場で思ったなぁ。毎回、生半端な気持ちでやってるわけじゃないからこそ。また本気で現場に挑んでいるからこそ熱くなりすぎてしまうんだよね。俺のいいところでもあり悪いところでもあるんだけどね。
自分の伝え方ひとつで相手への伝わり方が180度変わる。
これです。これが本題みたいなもので今回の一番の収穫かな。
目まぐるしく変わる現場への対応に真剣になりすぎて、ピリつきまくっていた合宿の時に、ふとLESWORLDのカズが、俺に問いかけた。
「ノブは音響席から愛を届けるって思いで音響屋をしているはずだ。ノブが今やった事、言ったことは本当にそれに繋がるのか?」
「ノブ自身は間違った事を言ってないとしても、ノブの言い方ひとつで、相手は間違った事として捉えてしまう事もあるんだよ。」
これだ。我に返った。現場をこなしていくうちに、
忘れかけていた大事なものをふと思い出した。
合宿中のLESWORLDのみんなは、俺がきつい言い方をするような事だったとしても、それらを全てソフトにまとめ上げてみんなに伝えてるんだよなぁ。みんなにそれができるなら、俺も。負けてらんねえよ。
「なるべく大きなリスクがあるものでも、それをソフトに分かりやすく伝えてみること。」
たぶん今後はそれを考えなきゃいけないんだなって思う。ステージへ立つみんなへのリスペクトは忘れてないんだけど、キツい言い方しかしない音響屋を見たら、ここで人生変わるかもしれんって瞬間も変わらんものになっちまうんじゃないかって。
カズがそう言ってた。
そんな事考えたらそりゃ恐怖だわな。
3年間積み上げたもの、そして誇り。
4年前、LESWORLDの無人島に参加して、人生が変わって、俺は音楽の裏方で食ってくんだって決めて、何もわからないまま税務署に開業届を出し、機材を買い漁り、音響屋を始めて、独学で勉強しながら今まで現場を踏んできた。何もわからなくても、応援してくれる人は周りにいっぱいいてくれて、とある現場ではその場で少し教えてくれる人もいて、それを台無しにはしたくないよなって思った。
音響関連の専門学校に通ってたわけでもなく、一般大学の経済学部出身で、元々音響屋としての知識が開業前にあったわけでもない。今こうして音響屋として様々な現場をやらせてもらえてる事、現場で俺がアウトプットするものは、全て毎回の現場を積み重ねて身体に叩き込んだもの。音響知識と腕はネットも見てるけど、ほとんど独学の状態で3年間現場で身につけてきた。3年間現場を踏んで積んだものは、毎回の現場で全て生きるもの。決して無駄にはならない。
そして、忘れてはいけないのが、それが誇りだって事。
どの現場も毎回対応しなければいけない事案は色々ある。同じ現場なんかひとつもない。知識を身につけるのはもちろんのこと、それ以上に大切なものは、対応力を上げる事。それが現場でいかにタイトなスケジュールの中で円滑にプラン通りのオペができるかに全て繋がる。
急にプランが変わった、トラブルが起きたしてもどうすればトラブルを解決できて、元のプランに近いものにいち早く繋げられるかにも結びつくものだ。
この時間はこの機材が必要でその機材を組む時間も全部頭の中で計算して実際組み上げた後にサウンドチェックして、はいどうぞ!っていけるか。この段取りを頭の中でなる早で組み上げるの、結構大変なんだけどね...笑
広島に引っ越してから、音響周りの繋がりが少しずつできてきて、大きな案件もお手伝いで入らせてもらえるようになって、大規模な現場対応やトラブル解決法、プランの組み方はそこにいる先輩の音響さんたちの背中を見て身につけた。
まさにこれは職人たちが育って行くようなものだ。
何事も、現場で、生で身につけられるものこそ、自信、誇りに繋がるものはないと思う。
終わりに。
THE ONEの音響現場。合宿から本番まで、吸収できる情報は数多い。ここで得られた事を整理して、
今後も俺はさらに上を目指して精進する。
現場を踏み続けて、ひたすらに修行を積むのみ。
誇りを胸に。決して無駄にはしない。
今回のステージに立っていたみんな本当に輝いてたなぁ。世界の孤児院、スラムの子供達を招待して一つのステージを作り上げる。この超偉大なプロジェクトを成し遂げるために、めちゃくちゃいろんな人たちが力を貸してくれた。100人のクルーと半年間準備して駆け抜けて迎えた本番。やり切ったなぁ。
力を貸してくれた人たち、一緒に駆け抜けてくれたクルーのみんな、ステージで輝いてたみんな、見にきてくれたお客さん、そして、LESWORLD。本当にありがとう。
発達障害がダメなやつなんて絶対言わせない。
レッテルとジレンマがあってもそれは絶対に強みに変えられる。自分の思いと夢は自分の強みを生かして積み重ねていけば必ず形にできるし一生の自信に繋がるって、俺が必ず証明する。
音響現場が俺の生きる命の源であり、俺の居場所。
THE ONE 音響現場、マジで幸せでした。
不器用で拙い文章でしたが。読んでくれてありがとう。