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所得税の計算について

 今回は、給与収入を例にしてご説明したいと思います。
多くの方が会社に勤めて、毎月給与を受け取っていらっしゃるかと思います(給与所得者と言います)。

1.給与所得の計算

 給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を算出します。給与所得控除は、給与収入に応じて段階的に設定されています。

給与所得控除とは

 給与所得者は個人事業主と異なり、収入から経費を直接差し引くことができません。そこで、給与所得控除は仕事に関連する経費(スーツの購入費や交際費など)を概算で控除する役割を果たします

2.所得控除

 給与所得から各種所得控除を差し引きます。全部で15種類あります。これらの所得控除は、納税者の個人的事情を考慮して税負担を調整するために設けられています。これらの控除の適用を受けるには、特定の要件や適用条件があります。これらについては、別の機会にご説明します。

  • 基礎控除

  • 配偶者控除

  • 配偶者特別控除

  • 勤労学生控除

  • 医療費控除

  • 社会保険料控除

  • 小規模企業共済等掛金控除

  • 生命保険料控除

  • 地震保険料控除

  • 寄附金控除

  • 扶養控除(特定扶養親族控除、老人扶養親族控除を含む)

  • 障害者控除

  • 寡婦控除

  • ひとり親控除

  • 雑損控除

3.課税所得金額の算出

 給与所得から所得控除を差し引いた金額が課税所得金額となります。

4.超過累進課税による税額計算

 課税所得金額に対して、超過累進課税方式で税額が計算されます。超過累進課税とは、所得が一定額を超えた場合に、その超えた金額に対してのみ高い税率を適用する方式です。

具体的な所得税の税率

 次の「所得税の速算表」を使用すると、簡単に求められます。
課税所得金額が低い時は5%、徐々に税率は上がり、最高税率は45%です。

所得税の速算表

5.復興特別所得税

 最後に、2037年までは所得税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされます。

復興特別所得税とは

 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源を確保する目的で創設された税金です。

6.まとめ

 給与収入の全額に対して、税金がかかると思い込んでいらっしゃる方が多いようにお見受けします。ここでは、各種の控除により差し引かれた残りに対して、税率が適用されることをお伝えしたかったのです。
 税金を減らすために収入を減らすことを考えがちですが、以上のことが理解できると、各種の控除を活用することができれば、税金を減らせることができるとも読み返せます。控除を受けるための要件がそれぞれありますのでご留意ください。

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