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年収103万円以上は所得税がかかる事、説明できますか?

 「年収の壁」に関する相談をうかがっていると、年収103万円以上になると所得税がかかる事はわかってきたように思います。なぜ103万円以上なのか説明できますか?一緒に所得税の計算をしてみましょう。

1.給与所得の計算

給与所得は、以下の計算式で見積もることができます。

 給与収入 ー 給与所得控除 = 給与所得

給与所得控除は以下の表から見積もることができます。(国税庁No.1410)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

給与所得控除(令和2年分以降)

表より収入金額が162.5万円を下回っているので、給与所得控除額は55万円になり
 1,030,000円 ー 550,000円 = 480,000円

2.課税所得金額の計算

課税所得金額は、次の計算式で見積もることができます。
  給与所得 ー 所得控除 = 課税所得金額
便宜的に、基礎控除のみとします。状況としては、ご家族のどなたか(父、または母など)に扶養されていて、パートなどで働いて給与をもらっている人、というイメージです。実際には、国民健康保険料や国民年金を支払っていれば社会保険料控除、配偶者がいれば配偶者控除、生命保険に加入していれば生命保険料控除などがあろうかと思います。
基礎控除額は以下の表から見積もることができます。(国税庁No.1199)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm 

基礎控除額

表より、合計所得金額が2400万円以下なので、控除額48万円になり
 480,000円 ー 480,000円 = 0円

3.税額の計算

課税所得金額に対して、以下の計算式で見積もることができます。この時、税率と控除額は以下の表を参照してください。(国税庁No.2260)
 課税所得金額 x 税率 ー 控除額 =税額
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

所得税の速算表

課税所得金額が1000円に満たないので、この表に当てはめることができず
 0円
このようにして、税額はゼロ円と見積もることができます。

4.もし年収が104万円だったら

もし年収が104万円だったら課税所得金額は1万円になり、税額は
 1万円 x 5% ー 0円 = 500円
もし年収が110万円だったら課税所得金額は7万円になり、税額は
 7万円 x 5% - 0円 =3,500円
と見積もることができます。

5.まとめ

 学校教育で税金がどのように計算されるか教わったことはないと思いますし、社会に出てもなかなか触れる機会がないと思います。会社勤めしていると、会社で全部計算してくれて、差し引かれた残りが毎月銀行に振り込まれる。給与明細をみても難しい言葉の羅列で、それぞれの項目の意味まで意識を向けることは少なかったかもしれません。
 こうやって自分で税額を見積もることができるとわかれば、いろいろと考えることができるでしょう。給与明細をもう一度見てみようというきっかけになっていただければと思います。

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