3. 日本のロケットを使う日
1970年、日本で初めての人工衛星「おおすみ」が打ち上がりました。宇宙開発において世界で4番目の衛星保有国となったのもすごいのですが、実はこの「おおすみ」、日本のロケットで打ち上げているのです。衛星だけでなくロケット技術も日本は持っていたのです。
半世紀たった今も、世界でロケットを打ち上げられる国は10カ国のみです。それだけロケット技術とは難しいものなのです。10カ国の中で、私達のような民間事業者が打上げ契約を締結できるのは、ロシア、アメリカ、フランス、日本、インド、ニュージーランドの6カ国のみです。
日本のロケットを使えばいいじゃない!って思われるかもしれません。実際、海外のロケットを使うのは大きなデメリットがあります。時間とお金が余計にかかるのです。
• 輸出や税関の手続き
• 射場に衛星と大量の衛星検査機器や修理道具を輸送する必要性
• 射場作業のため複数のエンジニアを現地派遣すること
今回の射場はバイコヌール宇宙基地。カザフスタンの砂漠のど真ん中です。ものすごく遠いです。
残念ながら、現時点ではこういった様々なデメリットを考えても、日本のロケットは圧倒的に値段が高く、打上げ可能な日時も限られていて、民間事業者にとっては使いにくいサービスとなっています。
グローバルにはロケット開発競争が起きていて、打上げコストは毎年安くなっており、国内外の差は開くばかりです。実際、日本の宇宙ベンチャー企業は次々と海外のロケットを使って衛星を打上げています。
ただ、悪い話ばかりではありません。今、大手宇宙企業もコスト削減型次期ロケットを開発しており、ベンチャー企業も2〜3社、国内で打ち上げるロケットを開発中です。国内で毎週のように打ち上がる日よ、早く来いと思っています。
今回使用したソユーズロケット(細かくは2.1aというバージョン)は打上げ回数50回、成功47回、失敗2回、部分失敗1回です。この失敗2回のうち1回は私達が経験しました。成功率94%。2回連続の打上げ失敗はないだろうと思って、今回も同じロケットにしました。
そして、実際、3月22日に打上げに成功し、過去のトラウマは消え去ったのでした!
打上げ後の、衛星の運用については、いつか書くとして、次回は、「ワールドカップ級のチーム」についてお話しましょう。