
保育士はなんでも屋さんでないとダメ?
そんなことないこともないけど鵜呑みにするのはちょっと待って
「保育士さんってなんでも屋さんでないといけないよね」保育士をやっているとよく言われる言葉。
確かに、保育士の仕事は、保育だけでなく書き物もあれば保護者対応もあるし保育の準備も手間がかかる。時にはお裁縫をしたり、大工になったり、園内の整備を任される時もあるし、細かく言えば外部との連絡、相談もあったり…とにかくタスクはめちゃくちゃ多岐にわたります。
でもこれって本当に全部ひとりで抱えこむことでしょうか?
本投稿一発目は、この「保育士あるある?」を僕自身の体験をもとに掘り下げていきたいと思います。
保育士のぶの「首が回らなくなった話。」
僕がまだ働きだして数年目のころの話です。
当時、年少さんからの持ち上がりで年中さんの担任を任されていました。
はじめての一人担任で、「任されたからには頑張るぞ!」と絵に描いたように意気込んでいた僕は、とにかく子どもたちには全力アタック。前述した多岐にわたる仕事も一人で背負い込んでいました。まだ経験も浅く、保育のバリエーションも少ない。(まあ今もそんなに変わりませんが)
周りも見えない。見通しも甘い。
そんな僕がどうなったかは想像に易いですよね。
そう、日々の保育だけでなく各行事、書類などなどとにかく全ての仕事が 中途半端!気づいた時には泣いても怒ってもどうしようもない。寝る暇を 惜しんでももう無理!な状態になり、文字通り「首、回りません。」
今書いていても想像すると恐ろしいですが、本当に運動会も発表会も何とかなったことが奇跡のような状態でした。書類はもちろん年度末ギリギリ… いや少し年度を跨いだかな…ここでは濁します。
生え際が2センチぐらい後退したんじゃないかなと思います。
ではなぜそうなったのか、あの頃より少し大きくなった(笑)現在は
次のように考えています。
邪魔をするプライド
これに尽きます。
任された一人担任。気合入りすぎ&自分が大きくなった錯覚。
現実は厳しいもので、春からぶっ通しで自分の実力不足をあらゆる仕事で 痛感することになります。そりゃそうです。賃金は低い、低すぎるけど 立派な国家資格です。専門職です。初めからうまくできるなんて舐めないでいただきたい。
先輩方に少しひきつった顔で言われる「大丈夫?」に「大丈夫です。」としか返さず、会議で痛いところを突かれては黙り込む毎日。
そんなどうしようもない僕も、何年かして少し変わります。
1人で全部できるわけない(笑)
あれから数年経ち経験も少し積んだ僕ですが、未だにすべての仕事ができているか。と言われれば「いいえ。」と即答します。
「えっダメじゃん」と突っ込まれそうですが、僕はダメじゃないと思います。だってこんな僕でも、立派に子どもたちを小学校まで送り届けることができました。
あくまで持論ですが、子どもたちにとっての成長って色々なことを経験していく中で、「自分もやってみよう!」だったり「できた!」が積み重なっていくことだと考えています。
ではその色々な経験はどうすれば実現できるか?
一人でやるには荷が重すぎませんかね?
だから、一人でやらなくてもいいと思います。
成長の仕方は大人も子どもも同じ
そりゃ、担任にしかできないことは責任をもってしっかり全うするべきです。書き物や計画なんかのそのクラスの保育の土台は。
でも、例えば苦手なピアノが…とか体育あそびが…とか描画が…とかあるとします。
どうすればいいか?「教えてください。」「手伝ってください。」と まずは身近な人から頼ってみてください。大なり小なり助言をくれるはずです。運が良ければ手伝ってくれたり、得意な先生を呼んでくれます。
大事なのはその後。
先ほどの項目で子どもたちの成長について主観を述べ、一人でしなくていい。と書きましたが、少し補足です。
色々な経験の中には「色々な大人との関わり」も含まれます。担任が誰かを頼ればその保育士も「どうなったかな」と気にするようになります。
そうなれば、子どもたちとも自ずと関わるようになり結果的に
「色々な経験」が深まると思いませんか?
大人も同じで、同僚や子どもたちとの関わりが深まれば保育もきっとより 深く考えられるようになります。
それに、このタイトルにもある「なんでも屋さん」に必ずしもならなければいけないということもありません。
ぼくの考えるさいきょうのほいくえん
長くなったのでまとめに入ります。
僕が伝えたいことは「一人で抱え込むぐらいならだれかを頼る」
「担任だけでなく、関わる全ての人たちで育てていく。」
ということ。
「なんでも屋さん」にはいきなりなれないことを「仕事ができない」と
捉えないでほしい。ということです。できる人に頼っていいんです。
子どもも大人も色々な関わりと経験で成長していくものだと思います。
保育士みんなで子どもたちを見守る保育園。みんなで若手を育てる保育園。時には保護者の方々から意見をもらうこともあり、近隣の方々から協力してもらうこともあり。
そういった連鎖があって伝統があって人も場所も良くなるものと僕は思います。
だから、もし同じようなことで苦しんでいる働きだして間もない後輩がいるのなら、まずは誰かに「助けて」と零してみてほしいなと思います。
もちろん助けてもらったら感謝を忘れずに。(ここだけの話、可愛がられ 名人はかなり徳だから。保護者にだけじゃなく同僚にも積極的に愛想ふりまいていこう。)
そして、この長い記事を読んでくれている中堅以上の保育士の方がいたらどうか優しく。赤子を扱うように優しく。時には思春期の子どもを相手にするようにアプローチしてみてほしいな。と思います。
みんなで、日本中の保育園をさいきょうにしていきませんか?
長くなりましたが、「なんでも屋さん」の話はいったんおしまいです。
ここまで読んでくれた方がいらっしゃったら嬉しいな。
ありがとうございました。ではまた、次の投稿で…。 のぶ