ドニー・イェンの2020年新作は現代版「燃えよデブゴン」じゃー! 『肥龍過江』“Enter the Fat Dragon”
ドニー・イェン主演、我らが谷垣健治監督!の新作映画『肥龍過江』“Enter the Fat Dragon”である。香港では2020年の春節(旧正月休み)に合わせ1月23日に公開となったが、新型コロナ肺炎で当時ステイホームとなり、ぼくは劇場へ足を運べなかった。
そのため中国本土では、劇場公開されずいきなり配信となったと聞いた。
そんな事情もあり、香港NowTVでの配信も早めに始まったので、自宅でゆっくり楽しんだのだった。
上述の通り、これは正月映画だ。日本では既になくなっているが、その昔日本でも正月映画は、オールスター・キャストの大味だが顔見せ興行みたいな映画が多かった(例えば「大忠臣蔵」みたいなもの)。
この作品もそんなオールスター・キャストの賑やかなコメディ映画となっている。といっても、出てくるのは香港のテレビ局”TVB”のタレントが多いのだが(笑)。
日本へ行く話なので、竹中直人、岩永ジョーイ、渡辺哲なども出演。それにワンカットだがバービーも出て来たのは笑った。
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ストーリー
香港警察で働く熱血刑事ファーロン(ドニー・イェン/甄子丹)は、結婚の日にも銀行で強盗団に遭遇したため、一人で大立ち振る舞いをして、警察長官まで危ない目に合わせてしまい、彼女とも別れ、左遷されてしまう。あげく同僚と一緒にサイクリング中骨折してしまい、毎日毎日資料整理の部屋で食べてばかり、家に帰ってもブルース・リーの映画を観ながらまた食べてばかりで半年でぶくぶくに太ってしまう。
東京へ逮捕者を連行する任務で、容疑者を逃してしまうという失態をしたファーロンは、日本で昔から知り合いの香港人たちの協力を得て、容疑者を探すが、その過程で、日本のヤクザ組織との争いに巻き込まれる。
みどころとミニ解説
原題の『肥龍過江』(「燃えよデブゴン」)は、1978年のサモ・ハン・キンポー主演・監督作と同じ題名である。なので、リメイクかと思ったが、さにあらず、ドニー・イェンも「題名だけ借りた」というものだった(←だが、旧作にあった〈ブルース・リー愛〉はいっぱい感じた。それにサモ・ハン愛も。)
クライマックスの日本のヤクザ組織の島倉(岩永ジョーイ)と、ドニー・イェンとの東京タワーでの戦いは、なかなかのもの。スタイルのよい岩永ジョーイは今後アクションスターとして出てくるかもしれない。
ドニー兄さんも、ぶくぶくに太った身体なのに、足が上がること。それにスピードの早い事(笑)。
香港地下鉄構内の広告(2020年1月撮影)
日本のさえない遠藤刑事役の竹中直人が相変わらず可笑しい。カツラがずれるギャグも笑えるし、ブルース・リーの『ドラゴンへの道』(72年)はどうのこうのというところは、竹中直人という人そのものが、ブルース・リーのものまねで世の中に登場した経緯を知ってると余計に面白い。
築地のロケシーンが出て来たりするが、日本の場面の大半はセット撮影で、これがまた新宿あたりを模倣して作ってあるのだが、日本人の目で見るとよくできていて、これはこれで楽しめる場面になっている。
その築地で、無断でAVを撮ってるというシーンで、魚とまぐわうヴィーナスという役でバービーが出て来る(笑)。AV監督役は、香港で『3D SEX & 禅』"肉蒲團之極樂寶鑑 SEX AND ZEN: EXTREME ECSTASY"(11年)の主演などで活躍している葉山豪。
その他の出演者は、新宿で営む香港居酒屋のおばちゃんに、テレサ・モウ/毛舜筠。彼女のことを想うオヤジに数多くの香港映画を監督・製作しているバリー・ウォン(ウォン・ジン/王晶)← 日本ではジャッキー・チェンと後藤久美子が出演した『シティ・ハンター』(93年)が有名かな?
ドニー兄さんの彼女役に、ニキ・チョウ/周勵淇。香港警察の同僚役ルイス・チャン/張繼聰 等々。
ドニー・イェンのファンには『導火線/FLASH POINT』(07年)などのセルフ・パロディもありまっせ。
ともかく『ドラゴンへの道』のテーマがかかるたんびにクンフー・ファンなら熱くなるコメディ。「イップ・マン 葉問」シリーズとは違ったドニー兄さんを楽しめる「アチョー!」な映画でしたとさ。
てなことで
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!